【為替本日の注目点】ドル円堅調上値を試すか、ユーロ円142円目前「高値警戒感」
NY市場
ドル円は103円台前半で推移し、大きな値動きはなかったが、連銀総裁の「量的緩和縮小」の可能性が高まっているとの発言でドル円は堅調に推移。
ユーロドルも小動きながら続伸。1.37台前半から半ばまで買われ、ユーロ円がさらに上昇し141円台後半まで上昇したこともドル売りユーロ買いに働く。
株式市場は小幅ながら続伸。先週末の雇用統計の改善を受け、買い物がやや優勢の展開からS&P500は最高値を更新し、ダウは5ドル高で引ける。
債券相場は小幅なレンジで推移し、大引けは先週末より小幅に上昇し、長期金利は2.84%台に低下。
金は小幅に反発し、原油価格は7営業日振りに反落。
ドル/円 102.97 ~103.33
ユーロ/ドル 1.3714 ~ 1.3746
ユーロ/円 141.24 ~ 141.95
NYダウ +5.33 → 16,025.53ドル
GOLD +5.20 → 1,234.20ドル
WTI -0.31 → 97.34ドル
米10年国債 -0.012 → 2.848%
本日の注目イベント
日 10月景気動向指数(改定値)
中 中国 11月工業利益
中 中国 11月小売売上高
中 中国 11月マネーサプライ
独 独11月ZEW景況感指数
欧 ドラギ・ECB総裁講演(ローマ)
欧 イタリア7-9月期GDP(改定値)
英 英10月鉱工業生産
週明けの昨日の早朝に103円台に乗せたドル円は、その後大きな値動きは見られなかったものの、ほぼ103円台を維持し、次の展開を模索する状況でした。103円台ではドル売り意欲もそこそこ散見され、1週間前に記録した103円38銭を試す動きには至っていませんが、それでもNY市場では103円33銭まで上昇するなど、堅調な動きになっています。
昨日は米国経済指標の発表もなかったことで、先週末急騰した株式市場の行方を見守る展開でしたが、その株式市場にも大きな変化は見られませんでした。そんな中、連銀総裁の講演が多くあり、その内容が注目されました。セントルイス連銀のブラード総裁は講演の中で「労働市場のデータのみに基づけば、資産購入ペースの減速の可能性は高まってきている」との認識を示し、縮小する場合でも、低インフレの状況を考慮し小幅にとどめるべきだと発言しています。ブラード総裁は今年のFOMCでの投票権を持つ一人です。
また「タカ派」の代表格でもある、ダラス連銀のフィッシャー総裁は講演で、米経済にこれ以上の金融刺激策は不要だと述べ、「FRBはできる限り早期に資産購入の縮小を開始すべきだ」との見解を示しました。フィッシャー総裁はその根拠として、「全米規模とは言わないが、一部地域ではやや過熱傾向が見え始めている」と住宅価格の上昇を懸念する発言を行いました。同総裁は今年のFOMCでの投票権は持っていません。
さらにリッチモンド連銀のラッカー総裁は「来週のFOMCでは月額850億ドルの資産購入の縮小が協議に含まれる可能性が高い」とし、「主な問題は効果がコストを上回るかどうかだ」と述べています。量的緩和を継続することで、インフレなどの「副作用」を醸成し、将来多大なコストを払わなければならないような状況は避けるべきだとの意味合いと思われます。因みにラッカー総裁も今年の投票権は持っていません。
依然として103円台前半で推移しているドル円ですが、本日も一旦は上値を試す展開を予想しています。先週月曜日の103円38銭を上抜けるかどうかと、さらには103円台半ばから5月の高値である103円74銭が抜けるかどうかが注目されます。上記水準を抜ければ、年内に105円に向かってさらに上昇することも十分考えられます。
なかなか理解できないのがユーロ円の上昇です。昨日の海外市場では141円95銭までユーロ高が進み、2008年のリーマンショック直後の水準に近づいてきました。先週のECB理事会では政策金利の据え置きが決まり、ドラギ総裁のコメントでも利下げに関する示唆がなかったことで買われている部分はありますが、それでもスペインやポルトガルなど南欧諸国では既に「デフレ状態」に陥っているとの報告がある中、なかなか手が出せません。値ごろ感で安易に売っても、すぐに切らされる展開が続いています。
それでも、ここから上値の水準では「高値警戒感」を払拭できません。足元の、円を売ってユーロを買う動きはやや「投機的」と言えると思います。ユーロ円はリーマンショック前の高値169円97銭から去年7月の94円11銭の値幅の、61.8%戻し(140円99銭)を達成しています。警戒感は必要だと思います。本日のドル円のレンジは、102円80銭~103円80銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円は103円台前半で推移し、大きな値動きはなかったが、連銀総裁の「量的緩和縮小」の可能性が高まっているとの発言でドル円は堅調に推移。
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2013-12-12 15:30