観光立国に向けて長期的な対策を

日本経営管理教育協会が見る中国 第332回--有元舜治(日本経営管理教育協会監査役) ● 観光客1300万人に    昨年(2013年)はじめて1000万人を超えた海外からの観光客は、今年(2014年)も順調に増加し、1300万人に達する勢いだ。日本政府観光局の発表によると、2014年9月までの訪日客数は昨年の同時期に比べ26%増加して973万人に達し、この調子でいくと年末までに1300万人を超えるという計算だ。2020年に2000万人突破も実現可能になりそうだ。   特に増加が著しいのが中国で、前年比80%増の179万人、首位台湾の212万人(27%増)、2位韓国の200万人(3%増)に迫る。このところの円安効果でさらに買い物客が増えることも期待できそうだ。訪日ビザ発給要件の緩和で東南アジアからの訪日客が増えており、タイ、マレーシア、フィリピンも増加率が50%を超えている。 ● 免税品目増加で売上急増     観光庁によると、2014年4~6月の訪日外国人による国内消費額は4874億円と過去最高を記録した。7~9月も前年同期比41%増の5505億円で、1~9月累計では40%増の1兆4677億円と、昨年1年分をすでに超えた。一人あたりの旅行支出は15万8257円と、前年同期比13%増加した。中国が23万6353円で最も多く、米国18万1896円、韓国7万3487円だった。   日本百貨店協会の調べでは、全国の免税売上高が1~9月累計で424億円となり、2013年通年を上回った。10月からの免税品目拡大の恩恵を受けているのが都市部の百貨店で、三越銀座店では国慶節(10月1~7日)期間中の免税対象品の売り上げが前年同期比2.6倍になり、店舗売上高全体の約25%を占めたという。   地方でも免税店に認可は増えているが、恩恵を受けるのはこれからのようだ。 ● 長期視点での受け入れ態勢を   訪日客の呼び込みはそれなりの成果を上げているようだが、気になるのは受け入れ態勢だ。北海道ではすでに観光バスの不足、運転手の不足が伝えられている。世界的に不足が話題になっている航空機のパイロットの問題、観光客が2000万人、3000万人になったときに十分対応できるよう準備しているのだろうか。空港も不足するのではないか。訪日客が2000万人、3000万人に増えれば、長期滞在する外国人も増えるだろう。   その時日本人だけのための今の医療制度では対応しきれなくなるのではないか。外国人の医師や看護師、介護士が一緒になって治療にあたるグローバルスタンダードの医療制度が必要になる。医師免許、看護師免許の制度も変える必要があるように思う。デバイスラグやドラッグラグがあり、大幅な輸入超過になっている医療機器や薬剤も、今の制度のままでの日本では、最先端の治療が受けられなくなるのではないか。日本で開発された医療機器や薬剤が日本の医療に活かされるようになってほしい。(執筆者:有元舜治・日本経営管理教育協会監査役 編集担当:水野陽子) 
昨年(2013年)はじめて1千万人を超えた海外からの観光客は、今年(2014年)も順調に増加し、1300万人に達する勢いだ。日本政府観光局の発表によると、2014年9月までの訪日客数は昨年の同時期に比べ26%増加して973万人に達し、この調子でいくと年末までに1300万人を超えるという計算だ。2020年に2000万人突破も実現可能になりそうだ。
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2014-11-12 10:30