業界初で中国人民元/円FXを提供できた理由=セントラル短資FX(3)

  セントラル短資FXは、2012年7月から業界に先駆けて中国人民元(CNH)/円のFXの取り扱いを開始した。ちょうど今年6月から円と人民元との直接取引が始まり、人民元に関する関心が一段と高まる中でのスタートになった。同社が中国人民元(CNH)/円のFXを取り扱うに至った経緯とCNHの特徴について、同社常務取締役営業本部長の阿草龍二氏に聞いた。 ――日本で初めて中国人民元/円のFXを始めたということですが、これまでも人民元/円のFXがありました。どこが違うのですか?   対円でリアルマネーの人民元を取り扱うは当社が本邦初になります。これまでは、現物の人民元を対象としないNDF(Non Deliverable Forward)といわれる為替デリバティブを利用することが一般的でした。東京金融取引所の「くりっく365」で行われている中国人民元(CNY)/円の取引もNDFを使ったものです。   また、オフショア人民元(CNH)を使ったFX取引は、これまでは対米ドルでの取引に限られていました。当社が、CNH/円の取り扱いを初めて提供することになります。   日中の政府レベルでの合意に基づき、人民元と日本円の直接取引が6月から始まりました。ちょうど、人民元が一段と身近に感じられるようになる時期に重なったために、開始前から多くのお問い合わせを頂き、7月2日に順調にスタートしました。 ――オフショア人民元(CNH)とは、実際に中国国内で使われている人民元とは違うのですか?   CNHは、「香港で流通している人民元」と考えると分かりやすいと思います。香港は、自由貿易港として発展してきた歴史があり、1997年に中国に返還された後も特別行政区として中国本土とは異なる経済制度が適用されています。香港では一般的には「香港ドル」が使われていますが、2004年に香港において人民元預金が解禁され、2009年には中国本土と香港の間で人民元による貿易決済が始まりました。   香港での人民元建て貿易決済の取扱高は、2010年に3,692億元まで拡大しましたが、2011年にはさらに大きく伸びて1兆9,149億元に達しています。また、2012年3月の月間貿易決済取引は、人民元から外貨転換が2兆307億元、外貨から人民元転換が2兆66億元となっていて、CNHが活発に利用されていることがわかります。   香港の人民元建て預金残高は、2010年末が3,149億元でしたが、2011年末には5,885億元へと1年で87%も増加しています。最近では、人民元建て譲渡性預金(CD)の発行も活発化(2011年末の発行残高は720億元)しているほか、2010年に解禁された人民元建て債券「点心債」も2011年末には発行残高が1,079億元になりました。   CNHの為替市場も徐々に拡大してきています。現在は、20程度の金融機関がCNHを活発に取引しています。依然として、中国政府によって管理されている通貨ではありますが、中国政府としてもグローバル通貨として育成していく意向を持っていることは間違いないと考えられるので、引き続き市場は拡大し、徐々に取引の自由度が高まっていくものと期待されています。本土の人民元は、ドルに対して1日当たり上下それぞれ1%の値動きに収まるように厳格に管理されています。CNHの扱いには上記のように徐々にグローバル化に対応していこうという意向が働いている分、少し自由度が高い通貨ということもできると思います。 ――CNH/円は、取り扱う上で難しい問題があるのですか?   NY市場が閉まって、中国大陸あるいは香港の市場がオープンするまでにCNHの市場取引には事実上4~5時間の空白ができます。お客さまに24時間CNH取引のサービスを提供するにあたっては、当社としてこの空白を埋める必要がありました。CNHの為替市場が大きくなってきているとはいっても、米ドルや日本円、ユーロなどの主要通貨と比較して十分に大きな流動性があるとはいえないため、空白の時間帯に取引レートを出すことが難しかったのです。   当社には約20先のカウンターパーティ金融機関があるおかげで、この空白時簡帯にも取引価格を提示してもらう体制を作ることができました。レートを出せる数少ない銀行と付き合いができるFX会社は限られているので、当社が他社に先駆けてサービスを開始できたということです。   今後は、他社でも追随するところが現れるかもしれませんが、そうなると、流動性が増すので、当社でお取引いただいているお客さまにもメリットになります。(編集担当:風間浩)
セントラル短資FXは、2012年7月から業界に先駆けて中国人民元(CNH)/円のFXの取り扱いを開始した。ちょうど今年6月から円と人民元との直接取引が始まり、人民元に関する関心が一段と高まる中でのスタートになった。同社が中国人民元(CNH)/円のFXを取り扱うに至った経緯とCNHの特徴について
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2013-12-12 15:45