アメックスに清原正治氏が社長就任、積極果敢にカードの新たな利用提案を発信

 アメリカン・エキスプレス・インターナショナル,Inc.の日本における代表者(社長)に就任した清原正治氏は、「まずは、新たなことに挑戦することを恐れない組織づくりに取り組む」と語る。前任のロバート・サイデル氏が13年間の在任期間に成し遂げた成功と成長によって、「ともすれば“守り”に陥りがちな組織に、挑戦する意識を高く持たせ、これまでの成長を加速させたい」という。清原氏に社長就任の抱負と、当面の経営指針について聞いた。 ――住友化学から、GEコンシューマー・ファイナンスを経て、日産自動車のタイ日産販売金融会社社長兼日産自動車アジア・パシフィック上級副社長から、2014年9月15日付で、アメリカン・エキスプレス・インターナショナルの日本における代表者(社長)に就任されました。社長を引き受けてほしいという打診があった時に、どのような気持ちで引き受けられたのですか?  タイで日産自動車の車のオーナー向けに自動車ローンなどのファイナンスサービスを行う会社の社長を務め、その前は、GEコンシューマー・ファイナンスで個人向け金融サービスを提供する仕事に就くなど、リテール金融の業務は、長らく経験してきたホームグラウンドです。また、GEコンシューマー・ファイナンスの当時は、アメックスとの提携カードを発行するなど、アメックスとはパートナーの関係も経験しました。  そして、何より、私自身が個人的にアメックスカードのヘビーユーザーであり、グリーンカードから、ゴールドカードを経て、プラチナカードに招待されるほど日常的にアメックスのカードを利用してきました。1ユーザーとしてアメックスのサービスに大変満足してきましたので、そのアメックスから社長を引き受けてほしいと打診された時には、何か、運命のようなものを感じました。 ――前社長のロバート・サイデル氏は、13年間にわたって日本における代表を務められたわけですが、サイデル氏からは、引き継ぎにあたって何を託されたのですか?  サイデルとは、電話やメール、そして、面談など、さまざまな機会を通じて突き詰めた会話を重ねましたが、「非常に共通点が多い」ということを感じました。お互いに、タイ、日本、アメリカでの勤務を経験しているのですが、プライベートなことでも子どもがお互いに3人で、しかも、タイのインターナショナル・スクールに通わせていたことなど、話していて古くからの友人のような気持ちになりました。  また、自身の経営信条についてサイデルは「persistent(根気強い)」といいました。最後まであきらめないことが重要で、社員の一人ひとりが目の前の課題に根気強く取り組むことで道は開けるという考え方です。この言葉は、まさしく、私が日頃から意識していることで、この点でも意気投合しました。  サイデルと話していて、私が受け取った彼からのメッセージは、「ユーザー目線で、パートナーの視点で、そして、日本人の感性で、アメックスの成長を一段と推し進めてほしい」ということです。 ――現在のアメックスが抱える課題は何だと思いますか?  サイデルが務めた13年間にわたってアメックスは成長を遂げ、彼は経営から勇退する形で、私に業務を引き継ぎました。これだけ長く経営を託されたトップとして、何も問題がない状態で、事業を引き渡してもらいました。  日本は最重要な市場の一つであるため、米国本社では、日本では、もっと大きな事業展開が可能という期待を持っています。今回、私が社長に就任するにあたって、日本市場に対して、これまで以上に力強く経営資源を投入することを決定しました。 ――社長として、まず取り組むことは?  まずは、「組織作り」に取り組みたいと思います。日本でも1000人を超える陣容になりましたが、成功と成長の歴史を重ねてきたため、「守り」の姿勢になりがちになっていると思います。組織として失敗を恐れずにチャレンジし、たとえ失敗してもそこから学び、新たな挑戦に果敢に取り組むというサイクルを作っていきたいと考えています。  個人の支払いにおけるクレジットカードの利用率は、日本で近年15%程度にまで伸びました。このクレジットカードの支払比率の伸び率は、日本の経済成長率を上回り、デフレ不況といわれた中にあって、クレジットカードは順調に成長を遂げてきたのです。経済産業省の発表によると、2013年のクレジットカードの取扱高は40兆円を超え、2008年のリーマンショックを除き、取扱高は過去20年間にわたって成長を続けています。  ただ、クレジットカードによる支払比率は、米国では25%を占め、韓国では50%を超えています。日本では、もっとクレジットカード決済が増える余地があるのです。既に経済産業省が中心になって、2020年の東京オリンピックに向けて、日本での買い物などにおいてクレジットカード決済がスムーズに行えるよう環境を整備する運動が始まっています。これまで、クレジットカードでの支払いが一般的ではなかったような場面でも、クレジットカードを使っていただける新しい提案を、当社からもどんどん出していきたい。そこには、新しいことに積極的に挑戦することを後押しする組織が必要になります。 ――アグレッシブに挑戦する社風を植え付けるということですか?  社長として社員を挑発してやろうというようなことではありません。アメックスには「ダイバーシティ」という文化が根付いています。多様な価値観を受け入れ、共存する力ですが、この考え方と、「先入観を持たずに、新しいことに積極的にチャレンジする」という姿勢は似通っていると思います。  また、アメックスは「クローズドループ」というビジネスモデルがあって、カードの発行からサービスの提供を自社で完結しています。カードビジネスは発行体とネットワークによって構成されていますが、他の大手カードが、たとえば銀行のような業務委託先にカード発行をお願いし、そのような委託先が発行したカードについては発行会社まかせにしていることと決定的な違いです。 このため、多くの情報やデータが集まってきます。このデータによって、どんなサービスが好まれているかなど、たくさんの気付きがあり、これをサービス開発に生かしてきました。「新しいことに積極的に挑戦することを後押しする組織」とは、アメックスが培ってきた企業文化を、一段と磨いていくということだと思っています。 ――新社長として、消費者の方々へのメッセージは?  クレジットカードを使っていただきたいと思います。体験していただくことによって、カードの利便性についてわかっていただけます。アメックスからもTwitterやFacebookなども使って積極的な情報発信を行っています。世界においてアメックスカードは、他の国際カードと比較すると、カード1枚当たりの利用金額が3倍-4倍という統計値があります。アメックスカードを使っていただくと、その付帯サービスによって、現金よりもカードで支払うことを選んでいただけるようになるのです。  たとえば、今年9月から、ゴールドカードの年会費を2人目から無料にしました。夫婦でカードを持っていただくことに対応したものです。そして、あらかじめ登録したレストランで食事をすると、カード支払いの場合、2人分の食事代のうち1人分が無料になるサービスも始めました。このような利用シーンに合わせた会員サービスを、きめ細かく充実させています。このように、アメックスカードを使っていただくことによって実感していただける満足体験を、一人でも多くの方に広げていきたいと思います。 写真はアメリカン・エキスプレス・インターナショナル,Inc.の日本代表(社長)の清原正治氏、写真撮影サーチナ(編集担当:徳永浩)
アメリカン・エキスプレス・インターナショナル,Inc.の日本における代表者(社長)に就任した清原正治氏は、「まずは、新たなことに挑戦することを恐れない組織づくりに取り組む」と語る。
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2014-11-13 18:15