「赤坂一丁目プロジェクト」・・・世界から選ばれる国際都市東京の顔へ=新日鉄興和不動産

 新日鉄興和不動産(本社・東京都港区)は13日、同社が進めている「赤坂一丁目地区第一種市街地再開発事業」(以下、赤坂一丁目プロジェクト)の計画概要・事業コンセプトについてのメディア向け説明会を行った。2020年開催の東京五輪も念頭に、外資企業・外国人も含め「だれもが住みやすく働きやすい、居心地のよい街づくり」を目指す。同社は他の開発会社との意思疎通にも注力し、赤坂・虎ノ門をエリアとする大街区を「世界から選ばれる国際都市東京の顔へ」とすべく、事業に取り組んでいるという。  「赤坂一丁目プロジェクト」の対象地は、新橋・虎ノ門エリア、霞が関エリア、六本木エリアのちょうど中心にあり、都内の他のビジネスエリアにも近いという利点がある。周辺地域を含めた大街区エリアは都内有数の職住近接エリアであり、外資系企業、大使館、ホテル、医療施設、文化施設も集中している。国際性と多様性が高いエリアであり、同大街区エリアと周辺では開発事業が「めじろ押し」と言う状態だ。  行政側も同エリアを、外国企業を戦略的に誘致する「アジアヘッドクォーター特区」、魅力ある都市拠点の形成を促す民間都市開発を支援する「特定都市再生緊急整備地域」に指定している。  赤坂一丁目プロジェクトは施行区域2.5ヘクタール、延床面積17万平方メートルの大規模複合開発だが、注目すべきは規模だけではない。むしろ、「だれもが住みやすく働きやすい街」の実現に、大きなウエイトを置いている。  まず、緑化率を50%以上とする。主要コンセプトのひとつである「街づくりを『豊かな緑』から」だ。高さ約200メートルの高層棟は大通り(六本木通り)沿いの北側に配置し、南側の日当たりのよい場所に、緑を確保することにした。  「豊かな緑」は1社だけで実現を目指すのではなく、他の開発業者と「緑道協議会」を発足させた。すでに開業した虎ノ門ヒルズまで続く、約850メートルの歩行者空間「グリーンアベニュー」を作る計画だ。建蔽率にこだわるのではなく、むしろ「豊かな緑とのシナジー」で機能性や価値を高めるとの考えは徹底している。  ホールやシアターなどのコンファレンス用施設も事業計画の“目玉”だ。外資系企業の誘致する上でも、大きな「魅力」になると期待されている。  さらに、クリニックや託児施設も設け、街の多様性に対応する生活支援機能も充実させる。  地震などの災害への対策だが、「赤坂一丁目プロジェクト」の対象地域の地下は江戸川層という強固な支持地盤があり、東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」(2013年)でも、5段階評価の危険度順位で「1」という、リスクが最も少ないランクに分類された。高層棟では直下型、長周期地震動も想定した、一般の超構想建築部物に求められる耐震性能の1.5倍を確保する。  さらに、停電時でも最大200時間の維持が可能な非常用発電施設を備えるなど、災害時にも安全を確保すると同時に「ビジネスを止めない」体制を実現する。また、コンファレンス用施設は帰宅困難者の一時避難場所となる。  エネルギー使用については、近隣施設と地域冷暖房を組み合わせるなどもして、二酸化炭素削減率を35%削減する。5000平方メートルの緑地は、クールスポットの機能も果たす。  同社の永井幹人社長は、2020年の東京五輪に向け、「赤坂一丁目プロジェクト」の対象地域を「国際都市、東京の顔にしたい」、「都心の軸をシフトさせたい」などの考えを披露。  大街区全体では、「各開発事業が機能を補完しつつ、全体として発展していく」ことが大切と考えている。さまざまなプロジェクトが前後して進行していることについては、誘致などでの競争は厳しくなるが、大街区全体として注目を集めるプラスの効果は極めて大きいという。  新日鉄興和不動産は、みずほフィナンシャルグループでビル事業が中心だった興和不動産と、新日鉄系で住宅事業の強みがあった新日鉄都市開発が2012年10月に合併して発足した。  同社の住宅事業としては、外国人をターゲットとする高級賃貸マンション事業がある。外国人を顧客とするノウハウを蓄積してきただけに、「赤坂一丁目プロジェクト」でも、外資系企業と外国人居住者の誘致を重視している。  永井社長は、「外資が日本にオフィスを構えるには、そのためのメリットが必要」との考えを示した。そのために、「だれにとっても魅力ある街づくり」が大切だが、さらにアジア系企業の誘致に力を入れるという。「アジア系企業が来れば、その情報を求めて欧米企業もやってくる」からだ。  同様の考えで実績を上げてきた都市にシンガポールがあるが、永井社長は「シンガポールに一人勝ちをさせておくわけにはいかない」と、「赤坂一丁目プロジェクト」と大街区の活性化に全力を尽くす考えだ。 画像提供:新日鉄興和不動産(編集担当:中山基夫)
新日鉄興和不動産(本社・東京都港区)は13日、同社が進めている「赤坂一丁目地区第一種市街地再開発事業」(以下、赤坂一丁目プロジェクト)の計画概要・事業コンセプトについてのメディア向け説明会を行った。
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2014-11-14 09:45