アスラポート・ダイニングは今期再増額の可能性を評価してモミ合い上放れのタイミング接近

 外食FC事業や食品製造販売事業を展開するアスラポート・ダイニング <3069> (JQS)の株価は、290円~300円近辺でモミ合う展開だが、徐々に下値を切り上げている。今期(15年3月期)業績見通し再増額の可能性や中期成長力を評価して、モミ合い上放れのタイミングが接近しているようだ。消費再増税の先送り決定も支援材料だろう。  外食FC事業や食品製造販売事業を展開する持株会社である。傘下の事業会社に、焼肉店「牛角」エリアFC本部運営や釜飯・串焼が特徴の居酒屋「とりでん」FC総本部運営などのプライム・リンク、鶏料理専門居酒屋「とり鉄」FC総本部運営などのとり鉄、たこ焼きや洋菓子「GOKOKU」事業(13年12月事業譲受)のフードスタンドインターナショナル、業務用乳製品加工メーカーの弘乳舎(13年9月子会社化)を置いている。  14年6月末時点の店舗数は、焼肉「牛角」171店舗(直営6店舗、FC165店舗)、居酒屋「とりでん」69店舗(直営4店舗、FC65店舗)、居酒屋「おだいどこ」20店舗(直営7店舗、FC13店舗)、居酒屋「とり鉄」61店舗(直営11店舗、FC50店舗)など総合計344店舗(直営44店舗、FC300店舗)である。焼肉「牛角」のエリアは東北、北関東、北陸、東海、近畿、九州(大分・熊本を除く)、沖縄の27府県である。  FCによる外食ブランド展開、持株会社制による効率的運営とポートフォリオ管理、六次産業への展開を促す事業基盤がビジネスモデルの特徴だ。中期成長戦略として既存ブランドの競争力強化と成長、ブランド・ポートフォリオの多様化、海外市場への進出、食品生産事業と六次産業化への取り組みを推進している。従来の外食FC運営の枠にとどまらず、4つの重点戦略を連動させて生産から流通・飲食・小売までを包括し、多層的に協業することでシナジー効果を発揮する「食のバリューチェーン構築」を加速させる方針だ。  中期経営計画(15年3月期~17年3月期)では目標数値として17年3月期売上高112億71百万円、営業利益7億89百万円、売上高営業利益率7.0%、ROE20.0%、D/Eレシオ1.2倍を掲げている。17年3月期末のグループ合計店舗数は440店舗(うち焼肉「牛角」210店舗)の目標だ。  既存ブランドの競争力強化では、関西エリアにおける焼肉店「牛角」の都市型大型店舗の成功事例をベースとして積極出店を推進する。ブランド・ポートフォリオの多様化では、他社ブランド業態をFCパッケージに育成する戦略を推進する。また14年9月には、焼鳥居酒屋「ぢどり亭」「浪花屋鳥造」を関西中心に展開しているレゾナンスダイニングを子会社化した。  海外事業では14年9月、英国3社(水産物加工卸売のT&S社、食材輸出入のS.K.Y.社、寿司店および水産物小売店運営のAtari-Ya社)を持分法適用会社化した。欧米における日本食ブームも追い風であり、14年4月設立のアスラポート・フランスとともに欧州市場への進出を加速する。  11月13日発表の今期(15年3月期)第2四半期累計(4月~9月)連結業績は、売上高が前年同期比30.9%増の51億62百万円、営業利益が同2.1倍の3億51百万円、経常利益が同2.2倍の3億17百万円、純利益が同2.4倍の2億52百万円だった。売上伸長が想定以上となり、人件費が想定を下回ったことも寄与して売上高、利益とも期初計画を上回った。  部門別売上高は、店舗運営が直営店舗数の減少で同6.3%減の13億49百万円、フランチャイズがFC収入や食材供給の増加などで同11.4%増の18億90百万円、食品が乳製品販売やデザート受託製造の好調で同3.9倍の14億45百万円、その他が加盟企業向け販促物の好調で同8.3%増の4億76百万円だった。  通期の連結業績見通し(レゾナンスダイニング子会社化に伴って9月19日に売上高、利益を増額修正)は売上高が前期比17.3%増の110億26百万円、営業利益が同23.8%増の6億96百万円、経常利益が同35.4%増の6億23百万円、純利益が同18.3%増の3億55百万円としている。  関西都市部への「牛角」大型店舗出店、CMなどを活用した販促・集客、ポートフォリオ多様化戦略に沿ったアライアンス事業拡大、居酒屋業態の不採算店閉店や業態転換による収益力改善、そして洋菓子「GOKOKU」事業や弘乳舎の通期寄与、利益率の高いフランチャイズや食品の構成比上昇が寄与して大幅増収増益の見通しだ。  ブランド別既存店売上の状況(直営店+FC店、前年比速報値)を見ると、14年10月は「牛角」が105.3%、「とりでん」が98.6%、「おだいどこ」が101.2%、「とり鉄」が103.0%だった。10月は各業態とも9月に比べて大幅に改善した。消費増税や天候不順の影響は概ね一巡した可能性があるだろう。14年4月~10月累計では「牛角」が100.9%、「とりでん」が97.8%、「おだいどこ」が97.0%、「とり鉄」が100.5%となった。なお子会社化したレゾナンスダイニングの10月は「ぢどり亭」が107.0%、「浪花屋鳥造」が100.3%と好調だった。  通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が46.8%、営業利益が50.4%、経常利益が50.9%、純利益が71.0%である。主力の焼肉店「牛角」の既存店や乳製品製造の弘乳舎が好調であり、消費増税や天候不順の影響一巡も考慮すれば通期見通しに再増額の可能性があるだろう。ブランド・ポートフォリオの多様化戦略や海外展開の進展で、中期的にも収益拡大基調が期待される。  株主優待制度は毎年3月末および9月末時点の500株以上所有株主を対象として実施している。所有株式数500株以上~1000株未満所有株主に対して「お食事券」または「商品」の中から1点(3000円相当)、1000株以上所有株主に対して「お食事券」または「商品」の中から2点(6000円相当)を贈呈する。  株価の動きを見ると、9月末の株主優待権利落ち後は290円~300円近辺でモミ合う展開だが、徐々に下値を切り上げる動きだ。調整が一巡したようだ。11月19日の終値297円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS19円13銭で算出)は15~16倍近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS94円64銭で算出)は3.1倍近辺である。  週足チャートで見ると、上向きの26週移動平均線がサポートラインとなって徐々に下値を切り上げ、13週移動平均線突破の動きを強めている。今期業績見通し再増額の可能性や中期成長力を評価して、モミ合い上放れのタイミングが接近しているようだ。消費再増税の先送り決定も支援材料だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
外食FC事業や食品製造販売事業を展開するアスラポート・ダイニング<3069>(JQS)の株価は、290円~300円近辺でモミ合う展開だが、徐々に下値を切り上げている。
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2014-11-20 09:15