生化学工業は調整が一巡して再動意、急騰した8月高値を突破して上値追い
関節機能改善剤アルツが主力の生化学工業 <4548> の株価は、11月20日に2090円まで上伸する場面があり、腰椎椎間板ヘルニア治療薬を材料視して急騰した8月高値を突破した。調整が一巡して再動意の形であり上値追いの展開だろう。
国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、およびLAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。
09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野に焦点を絞っている。開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603(コンドリアーゼ)、アルツの腱・靭帯付着部症の適応症追加SI-657、変形性膝関節症改善剤SI-613、ドライアイ治療剤SI-614、関節リウマチ治療剤SI-615などがある。SI-6603は14年1月に国内で製造販売承認申請し、米国では実施中の第Ⅲ相臨床試験の進捗に注力している。SI-614は14年5月に米国で第Ⅱ・Ⅲ相臨床試験を開始している。
なお14年10月、米国ニュージャージー州に駐在員事務所を開設した。ジェル・ワンおよびスパルツの拡販に向けて現地販売員への製品教育を推進し、米国市場に関する情報収集なども強化する。
11月7日に発表した今期(15年3月期)第2四半期累計(4月~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比7.5%減の142億47百万円、営業利益が同55.1%減の15億64百万円、経常利益が同44.2%減の21億09百万円、純利益が同45.9%減の16億87百万円だった。
前年同期との比較では減収大幅減益だった。国内医薬品は薬価引き下げの影響、海外医薬品は高水準だった前年同期の反動で、いずれも減収だった。利益面では減価償却費や研究開発費の増加が影響した。ただし売上高、各利益とも期初計画を上回った。売上面では海外医薬品が想定を上回り、利益面ではその他の販管費が減少し、円安進行に伴う保有外貨建て資産の為替評価益増加も寄与した。
通期の連結業績見通しは前回予想(5月13日公表)を据え置いて売上高が前期比1.6%減の291億50百万円、営業利益が同44.3%減の27億50百万円、経常利益が同28.5%減の42億円、純利益が同27.3%減の34億50百万円、配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。想定為替レートは1米ドル=102円だ。
売上面では、下期に米国向けジェル・ワンの出荷増加を見込むが、国内のアルツが薬価改定の影響を受け、米国向けスパルツが競争激化や前期の販売提携先での在庫積み増しの反動影響を受けるため、全体として減収見通しとしている。セグメント別売上高の計画は医薬品が同2.9%減の246億円(国内医薬品が同3.9%減の173億円、海外医薬品が同1.4%増の58億円、医薬品原体が同8.0%減の15億円)で、LAL事業が同6.5%増の45億50百万円だ。
利益面では、新生産設備稼働に伴う減価償却費の増加、研究開発費の増加などで大幅減益見通しとしている。通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が48.9%、営業利益が56.9%、経常利益が50.2%、純利益が48.9%と概ね順調な水準である。国内でアルツの市場シェアが拡大しているもようであり、拡販強化や円安進行メリットで通期上振れの可能性もあるだろう。
株価の動きを見ると、腰椎椎間板ヘルニア治療薬の15年販売開始を材料視して急騰した8月高値2054円から一旦反落したが、徐々に水準を切り上げて、11月18日に終値で前日比115円(6.24%)高の1958円まで急伸し、さらに11月20日には2090円まで上伸する場面があり8月高値を突破した。調整が一巡して再動意の形だ。
11月20日の終値2048円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS60円73銭で算出)は34倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1140円48銭で算出)は1.8倍近辺である。日足チャートで見ると目先的な過熱感を強めたが、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって高値を更新した。強基調の形であり上値追いの展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
関節機能改善剤アルツが主力の生化学工業<4548>(東1)の株価は、11月20日に2090円まで上伸する場面があり、腰椎椎間板ヘルニア治療薬を材料視して急騰した8月高値を突破した。
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2014-11-21 09:00