日本は世界で唯一、定年後も働いていたいと考える国=ランスタッドが調査

日本は世界で唯一、定年を越えても働きたい意欲が強い国。世界標準は、定年前にリタイヤしたいと考える――。
総合人材サービス会社のランスタッドが11月23日の「勤労感謝の日」を前に、世界23の国と地域の約20万人に実施した調査結果を発表し、日本人の「より長く働きたい」という意欲の高さが際立っていたと指摘した。世界平均では、「リタイヤしたいと思う年齢(平均55.6歳)」は、「働く必要があると考える年齢(60.3歳)」から平均して5歳ほど早いが、日本だけが唯一、「リタイヤしたいと思う年齢(62歳)」が「働く必要があると考える年齢(60歳)」を上回った。
調査は、ランスタッドがベルギーの第三者機関ICMAに委託して実施。2013年1月から2014年2月にかけて、18歳から65歳までの男女約20万人にインターネットで調査した。日本からは8511名が回答している。調査実施国は、ヨーロッパ地域(ベルギー、フランス、ドイツ、ハンガリー、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、ポーランド、スペイン、スウェーデン、スイス、UK)、アメリカ大陸地域(アルゼンチン、カナダ、USA)、アジアパシフィック・その他の地域(オーストラリア、中国、香港、インド、日本、ニュージーランド、ロシア、シンガポール)。
「働く必要があると考える年齢」は、定年・年金制度など国の施策によって差が出た。年齢が低いのはアジア諸国で、平均が57.8歳になった。一方、高齢化の進展で年金受給開始年齢が高い欧州では平均が65.5歳と高い結果になった。
また、「リタイヤしたいと思う年齢」は、アジアの平均で54.3歳(働く必要があると考える年齢との差は3.5歳若い)、北米平均は57.5歳(同5.5歳)、欧州平均は59.6歳(同5.8歳)。
これに対して、日本は、「働く必要があると考える年齢」は60歳に対し、「リタイヤしたいと思う年齢」は62歳という結果に。「リタイヤしたいと思う年齢」が60歳を越え、さらに、「働く必要があると考える年齢」よりも世界で唯一、「リタイヤしたいと思う年齢」が高く、より長く働きたいと考えていることがわかった。
さらに、日本での回答を、性別、学歴、職位などで分析すると、長く働くことに関して、学歴による差はなかったが、性別では男性、職位では管理職が、「より長く働きたい」と考えていることがわかった。
この調査結果に対し、ランスタッド(日本法人)代表取締役会長兼CEOのマルセル・ウィガース氏は、「欧州諸国では、伝統的に仕事だけでなく、家庭・趣味を含む生活も同時に重んじる文化です。そして、バカンスなどの経験から、仕事を長期間離れて過ごすことに抵抗がありません。また、退職後もボランティア活動や趣味サークルへの参加など社会とつながる素地があり、『退職』は必ずしも社会的活動からの引退を意味するものでないことも、早期退職を希望する理由であると考えられます。
日本では、生活の中心を『仕事』と捉え、業務に支障が出ないよう短期の休みをこまめに取得します。そのため、長時間仕事から離れることに慣れているとはいえません。また、世界一の長寿国であり、日本では60歳台はまだ働き盛りです。働くことにより社会とつながりたい、貢献したいと考える人が多いことも、長く働きたいと思う理由かもしれません」とコメントしている。
ランスタッド・ホールディング・エヌ・ヴィーは、1960年に設立され、オランダディーメンに本社を置く総合人材サービスグループ会社。世界39の国と地域で、4600を超える支店やインハウス・ロケーションに、およそ2万8000名の従業員を擁している。日本法人は1980年8月に設立した。
画像提供ランスタッド、(編集担当:風間浩)
日本は世界で唯一、定年を越えても働きたい意欲が強い国。世界標準は、定年前にリタイヤしたいと考える――。
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2014-11-21 14:45