今週の為替相場見通し(2014年11月24日-)=為替王

 先週金曜日は、立て続けに3つほど為替相場を動かす出来事がありました。一つ目は、日本の麻生財務相が急速な円安について「テンポが速すぎる」と牽制する発言をしました。これにより、1ドル=118円台から117円台へと少しですが円高方向に戻りました。チャート分析の観点でも、米ドル円の急速な円安について過熱感は出ていますが、トレンド転換を示唆するような兆候はまだまったく出ていません。今回の相場トレンドの方向性が変わるにはまだまだ日数を要すると思われます。  二つ目は、中国の利下げ。景気が明らかに減速しており住宅市況も冷え込みつつあり、不良債権の増加などが懸念されていた中国が、金利を引き下げることを発表。中国だけでなく、中国との経済関係が近年とても強まっている豪州経済にとってもプラス材料になるとの思惑から、豪ドルが一時急上昇して、年初来高値の1豪ドル=102.8円を記録しました。このまま年内に最大ターゲット1豪ドル=104~105円あたりまで伸びるかもしれません。注目ポイントは引き続き豪ドル米ドル相場。豪ドル円とは対照的に豪ドル米ドル相場は依然として年初来安値圏から抜け出すことが出来ていません。今年10月からはおよそ0.85~0.88台での安値圏で保ち合いに入っています。もしこの安値圏のレンジから上方に抜け出すことができれば(目先の壁は0.87台半ば)、かなりしっかりした反発・上昇も見込め、それは豪ドル円のレートも引き上げる材料になります。相場のモメンタムは上向きに転じる兆候もかすかに読み取れ、引き続き注目したいです。  三つ目は、ECB(欧州中央銀行総裁)の発言。現在、欧州ユーロ圏ではデフレ突入が懸念されており、日米が実施してきたような大規模な量的緩和の必要性が議論されています。すでに資産購入など軽めの対応はしているのですが、今回、ECB総裁が資産購入の幅を拡大することを示唆するなど、踏み込んだ発言がありました。日銀が量的緩和を実施したときに円安が進んだように、ECBがそれをやればユーロ安になります。このECB総裁の発言に為替相場は大きく反応し、ユーロが急落しました。大幅に下落してきたユーロドル相場について、今月は反転・上昇の可能性が芽生えていたのですが、完全に腰折れる形になりました。チャート分析の観点で、これまで上昇に向かうと期待されていた相場エネルギーがすべて逆方向に噴射されると仮定しますと、下落ターゲットは1.21台が浮上します。ユーロ円も急落したものの、まだトレンド転換には至っていません。先週の高値は1ユーロ=149.1円で、ターゲットである150円まで到達してから反落していたほうがスッキリするのですが、これも米ドル円と同じく、完全に方向転換するにはまだ日数を要するかもしれません。(執筆者:為替王)
先週金曜日は、立て続けに3つほど為替相場を動かす出来事がありました。一つ目は、日本の麻生財務相が急速な円安について「テンポが速すぎる」と牽制する発言をしました。これにより、1ドル=118円台から117円台へと少しですが円高方向に戻りました。チャート分析の観点でも、米ドル円の急速な円安について過熱感は出ていますが、トレンド転換を示唆するような兆候はまだまったく出ていません。今回の相場トレンドの方向性が変わるにはまだまだ日数を要すると思われます。
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2014-11-24 10:00