きちりは既存店売上高が好調、中期成長力を評価して10月高値試す

  飲食店チェーン事業と飲食店運営プラットフォーム事業のきちり <3082> の株価は、急伸した10月3日高値1064円から一旦反落して概ね700円近辺でモミ合う展開だったが、足元ではモミ合いから上放れの動きを強めている。11月21日には763円まで上伸する場面があった。既存店売上高が好調であり、中期成長力を評価して10月高値を試す展開だろう。   カジュアルダイニング「KICHIRI」や「いしがまやハンバーグ」を主力業態とする直営店の自社ブランド展開事業、および飲食店運営のプラットフォーム提供や他業種企業のブランド・コンテンツ活用のプラットフォームシェアリング事業を展開している。   前期(14年6月期)末時点の店舗数は70店舗(関西エリア42店舗、関東エリア28店舗)で、新業態開発にも取り組みながら出店余地の大きい首都圏への新規出店戦略を強化している。14年3月には新業態「igu&peace」を出店した。   プラットフォームシェアリング事業は、当社がITやクラウドを駆使して構築した外食特化型インフラ(購買・物流などのバックヤード機能、会計・労務管理・教育・デザインなどのバックオフィス機能、取引先紹介などのバックアップ機能といった本部機能)を活用する事業だ。大別するとブランド・コンテンツ活用型(優れたブランド・コンテンツを持つ企業と業務提携し、当社のプラットフォームを活用して新しいレストランビジネスを創造する)、およびクラウドサービス展開型(当社が構築した外食特化型インフラを他の飲食店チェーンなどに提供してアウトソーシング受託する)を展開している。   ブランド・コンテンツ活用型では独自性ある新業態を開発できる、クラウドサービス展開型では参画企業・店舗数の増加に伴ってスケールメリットを享受できるなどのメリットがある。ブランド・コンテンツ活用型では13年2月精米機トップメーカーで「ギャバライス」ブランドのサタケ、13年4月イタリアのバッグブランド「オロビアンコ」、13年5月福岡県「はかた地どり」生産者の農業組合法人福栄組合と業務提携した。クラウドサービス展開型の提供店舗数は前期末時点で自社店舗を含めて約200店舗に拡大している。   11月4日に発表した今期(15年6月期)第1四半期(7月~9月)の業績(非連結)は、売上高が前年同期比3.4%増の17億03百万円、営業利益が同21.3%増の1億04百万円、経常利益が同17.8%増の1億10百万円、純利益が同25.4%増の68百万円だった。既存店売上高の好調などで増収増益だった。   通期の業績(非連結)見通しは前回予想(8月8日公表)を据え置いて売上高が前期比8.5%増の75億円、営業利益が同45.7%増の7億円、経常利益が同35.8%増の7億円、純利益が同41.9%増の4億20百万円、配当予想については前期から記念配当2円50銭を落として年間7円50銭(期末一括)としている。   既存店売上高は98.5%、新規出店は10店舗の計画だ。店舗展開戦略において優先的に出店したい立地の物件が確保できる状況ため、前期の新規出店4店舗に比べて大量出店となる。クラウドサービス展開型の提供店舗数は、自社ブランド店舗を含めて前期の約200店舗から今期は約300店舗に増加する見込みだ。   月次レポート(前年同月比、速報値)を見ると、14年10月の売上高は既存店(対象65店舗)106.1%、全店(対象71店舗)106.5%と好調だった。既存店売上高は3ヵ月連続の前年比プラスで8月100.3%、9月102.0%に比べて増収率を広げた。客数も3ヵ月連続の前年比プラスとなり、客単価は前年比プラスに転じた。ブランド認知度向上効果に加えて、消費増税や天候不順の影響も概ね一巡したようだ。   通期見通しに対する第1四半期の進捗率はやや低水準だが、既存店売上高は計画を上回るペースであり、新規出店は第2四半期(10月~12月)に加速している。クラウドサービス展開型の拡大も寄与して通期業績見通しに上振れ余地があるだろう。   中長期ビジョンでは、自社ブランド展開事業およびプラットフォームシェアリング事業を2本柱として展開し、目標値として18年6月期売上高100億円、営業利益15億円、経常利益16億円、純利益10億円、配当性向30%(当面は20%)を掲げている。事業別には自社ブランド展開事業が100店舗で売上高94億円、プラットフォームシェアリング事業が契約店舗数500店舗(契約売上規模300億円)で営業利益6億円を目標としている。   なお9月5日に発表した自己株式取得(取得株式総数の上限15万株、取得価額総額の上限1億円、取得期間14年9月8日~15年3月31日)については、10月31日時点の累計で取得株式総数3万6000株、取得価額総額2058万3700円となっている。   株主優待制度については毎年12月末日現在で1単元(100株)以上保有株主を対象として実施している。優待内容は8月8日に変更を発表し、従来の「当社運営店舗で利用できる優待券3000円分、または近隣に店舗がない等の理由で優待券を利用しない方はGABAライス3kgを選択できる」を「当社運営店舗で利用できる優待券3000円分、または近隣に店舗がない等の理由で優待券を利用しない方は当社事業における関連商品を選択できる」に変更した。14年12月31日現在の対象株主から実施する。   株価の動き(14年5月8日付で東証1部市場指定替え)を見ると、急伸して付けた10月3日の高値1064円から一旦反落し、その後は概ね700円近辺でモミ合う展開だったが、足元ではモミ合いから上放れの動きを強めている。11月21日には763円まで上伸する場面があった。   11月21日の終値761円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS41円35銭で算出)は18~19倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間7円50銭で算出)は1.0%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS157円27銭で算出)は4.8倍近辺である。週足チャートで見ると13週移動平均線が接近して水準を切り上げる動きとなった。上昇トレンドに変化はないようだ。中期成長力を評価して10月高値を試す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
飲食店チェーン事業と飲食店運営プラットフォーム事業のきちりの株価は、急伸した10月3日高値1064円から一旦反落して概ね700円近辺でモミ合う展開だったが、足元ではモミ合いから上放れの動きを強めている。
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2014-11-25 09:15