科研製薬は利益確定売りで高値から一旦反落だが、中期成長力や株主還元姿勢を評価する流れに変化なく上値追い

  科研製薬 <4521> の株価は、10月の直近安値2279円から切り返して11月4日高値2820円まで上伸した。その後は第2四半期累計(4月~9月)の業績発表で一旦は利益確定売りが優勢になったが、中期成長力や積極的な株主還元姿勢を評価する流れに変化はなく、上値を試す展開だろう。押し目買いの好機のようだ。   整形外科、皮膚科、内科といった領域を得意とし、農業薬品や飼料添加物なども展開する医薬品メーカーである。医薬品・医療機器は、生化学工業 <4548> からの仕入品である関節機能改善剤「アルツ」を主力として、癒着防止吸収性バリア「セプラフィルム」、高脂血症治療剤「リピディル」、創傷治癒促進剤「フィブラストスプレー」などを展開し、ジェネリック医薬品も急拡大している。   日本初の外用爪白癬治療剤「クレナフィン」(一般名エフィナコナゾール)については、日本では当社が14年7月に製造販売承認を取得し、海外ではカナダのバリアント社が13年10月にカナダで承認を取得、14年6月に米国で承認を取得した。   開発中のテーマとしては、歯周病を適応症とするKCB-1Dの申請準備中(15年3月期中に申請予定、16年の早い時期に承認予定)で、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI-657(生化学工業と共同開発、アルツの効能追加、16年承認予定)、潰瘍性大腸炎を適応症とするKAG-308(旭硝子 <5201> と共同開発の経口プロスタグランジン製剤)などがある。   11月6日に発表した今期(15年3月期)第2四半期累計(4月~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比1.2%増の442億32百万円、営業利益が同19.7%増の88億06百万円、経常利益が同20.3%増の86億77百万円、純利益が同22.6%増の56億39百万円だった。売上高はほぼ計画水準で、営業利益、経常利益、純利益は計画を上回った。   売上高は、関節機能改善剤「アルツ」など国内の既存品が薬価改定の影響を受け、消費増税前駆け込み需要の反動なども影響したが、ジェネリック医薬品の伸長や、外用爪白癬治療剤「クレナフィン」に係るライセンス収入と初期出荷品が寄与して、概ね計画水準の増収だった。利益面では、原価のないライセンス料が売上に寄与したことから、計画を上回る増益だった。   セグメント別の売上高は、医療用医薬品・医療機器が同1.5%減の378億68百万円、農業薬品が同5.4%増の18億43百万円、不動産賃貸料が同0.8%減の12億25百万円、その他はライセンス収入などが寄与して同44.9%増の32億95百万円だった。   関節機能改善剤「アルツ」は薬価改定の影響で減収だったが、数量は前年同期並みを維持したようだ。また癒着防止吸収性バリア「セプラフィルム」は、第1四半期(4月~6月)に消費増税前駆け込み需要の反動影響を受けたが、第2四半期(7月~9月)には回復しているようだ。   通期の連結業績見通しは前回予想(5月12日公表)を据え置いて売上高が前期比2.8%増の914億円、営業利益が同5.8%増の168億円、経常利益が同5.7%増の164億円、純利益が同9.9%増の107億円、配当予想が同6円増配の年間54円(第2四半期末27円、期末27円)としている。13期連続の増配となる。   主要医薬品・医療機器の売上高計画(単体ベース)は、関節機能改善剤「アルツ」が薬価改定の影響などで同4.9%減の305億円、癒着防止吸収性バリア「セプラフィルム」が新材形追加などで同3.5%増の111億円、高脂血症治療剤「リピディル」が脂質関連ガイドラインおよび糖尿病診療ガイドライン情報の活用などで同1.6%増の45億円、創傷治癒促進剤「フィブラストスプレー」が同2.3%減37億円、ジェネリック医薬品(合計)が12月発売予定の2品目も寄与して同9.3%増の120億円としている。   第2四半期累計の状況を考慮して売上高の内訳をやや組み換えたが、ジェネリック医薬品の好調などで増収見込みだ。また外用爪白癬治療剤「クレナフィン」の計画は不確定要因が多いため非開示としているが、目先の売上ではなく医師など現場への浸透を推進する方針としている。   通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が48.4%、営業利益が52.4%、経常利益が52.9%、純利益が52.7%と概ね順調な水準である。利益面に通期上振れ余地があり、来期(16年3月期)は外用爪白癬治療剤「クレナフィン」の収益寄与本格化が期待される。   なお株主還元の一環として、5月30日に自己株式500万株の消却を実施し、5月12日に発表した自己株式取得では159万株(9月3日終了)を取得した。   株価の動きを見ると、10月17日の直近安値2279円から切り返す展開となり、11月4日には年初来高値となる2820円まで上伸した。その後は第2四半期累計の業績発表で一旦は利益確定売りが優勢になった形だが、大きく下押す動きは見られない。好業績を評価する流れに変化はないだろう。   11月25日の終値2600円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS129円10銭で算出)は20~21倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間54円で算出)は2.1%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS805円89銭で算出)は3.2倍近辺である。   週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から反発し、素早く13週移動平均線を回復した。上昇トレンドを確認した形だ。中期成長力や積極的な株主還元姿勢を評価する流れに変化はなく上値を試す展開だろう。押し目買いの好機のようだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
科研製薬<4521>(東1)の株価は、10月の直近安値2279円から切り返して11月4日高値2820円まで上伸した。
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2014-11-26 15:00