サンコーテクノは調整一巡して上昇トレンドに回帰、9月高値を試す

  アンカー大手のサンコーテクノ <3435> (JQS)の株価は、10月の直近安値2430円から切り返し、11月14日に2843円、11月26日に2819円まで戻している。短期調整が一巡して上昇トレンドに回帰する形だ。指標面に割高感はなく、今期(15年3月期)業績見通し上振れの可能性を再評価して、9月高値2998円を試す展開だろう。   ファスニング事業(あと施工アンカー、アンカー打込み機など)、リニューアル事業(FRPシート、太陽光発電関連など)、センサー事業(電子基板関連試験機、アルコール測定器など)を展開している。あと施工アンカーはコンクリート用の特殊ネジ・釘類のことであり、当社はあと施工アンカーおよびオールアンカーの最大手である。   あと施工アンカー、アンカー打込み機、FRPシートなどは震災復興関連、都市再開発関連、耐震補強関連、老朽化インフラ補修・更新関連など建設工事の増加が追い風であり、中期的に事業環境は良好だ。   なお11月5日にドコモ・システムズとの業務提携を発表した。ドコモ・システムズのクラウド型位置情報サービスと、当社の呼気アルコール測定システムを使った運行管理者支援サービスを融合させ、さらなる業務効率を支援するクラウド型アプリケーション・サービスを提供する。サービス提供開始は15年3月を予定している。   11月14日発表の今期(15年3月期)第2四半期累計(4月~9月)連結業績は、売上高が前年同期比8.4%増の84億33百万円、営業利益が同25.9%増の7億10百万円、経常利益が同28.4%増の6億89百万円、純利益が同42.5%増の4億43百万円だった。   セグメント別(内部取引・全社費用等調整前)に見ると、ファスニング事業は金属系・接着系アンカーなどが好調で売上高が同9.9%増の65億68百万円、営業利益が同33.7%増の5億52百万円だった。リニューアル事業は太陽光関連が好調で売上高が同3.4%増の16億01百万円、営業利益が同1.3%増の1億41百万円だった。センサー事業は売上高が同微減の3億17百万円だったが、電子基板関連の販売価格見直しなどが寄与して営業利益が同5.1倍の14百万円だった。   通期の連結業績見通しは前回予想(5月14日公表)を据え置いて、売上高が前期比4.6%増の180億円、営業利益が同0.4%増の15億20百万円、経常利益が同0.5%増の14億80百万円、純利益が同4.4%増の9億50百万円としている。   セグメント別計画(内部取引・全社費用等調整前)は、ファスニング事業の売上高が同5.1%増の137億57百万円、営業利益が同4.7%増の11億76百万円、リニューアル事業の売上高が同2.6%増の37億円、営業利益が同11.7%減の3億18百万円、センサー事業の売上高が同16.7%増の7億56百万円、営業利益が同17.4%増の27百万円としている。   ファスニング事業は、都市圏を中心とする再開発・耐震化工事、社会インフラ維持・補修工事の増加などを追い風として、金属系・接着系あと施工アンカー、ドリルなどの施工関連ツール、引張確認試験機、電動油圧工具などが好調に推移する。リニューアル事業ではメガソーラー・ハウスメーカー向け太陽光発電関連工事・商材、センサー事業では電子基板関連試験機が好調だ。   ゼネコンの工事現場における人手不足の影響、リニューアル事業における工事原価の上昇、50周年記念イベントに伴う販管費の増加、給与水準引き上げに伴う人件費の増加、設備投資の増加などを考慮して、利益は前期比横ばいの会社見通しとしている。   しかし通期会社見通しには保守的な印象が強い。通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が46.9%、営業利益が46.7%、経常利益が46.6%、純利益が46.6%だが、建設関連が主力で第4四半期(1月~3月)の構成比が高くなる収益構造を考慮すれば高水準と言えるだろう。利益率の高い新商品比率の上昇も寄与して、通期見通しは上振れの可能性があるだろう。   建設現場では人手不足の影響が深刻化しているため、現場作業の省力化・機械化に加えて、外国人や女性の活用などで非熟練作業者の増加も予想される。こうした状況も背景として、現場での使いやすさを高めた施工ツール、あと基礎アンカー、アンカー打込み機、紫外線硬化FRPシートといった当社の主力製品の採用が一段と広がりそうだ。事業環境は良好であり、新製品の開発・拡販も寄与して中期的に収益拡大基調だろう。   なお11月14日に株式分割、株式分割に伴う配当予想の修正、および株主優待制度の導入を発表した。14年12月31日を基準日(効力発生日15年1月1日)として1株を2株に分割する。この株式2分割に伴って配当予想を従来の年間25円から年間12円50銭(期末一括)に修正したが、実質的に変更はない。なお前期との比較では記念配当分2円50銭(株式2分割遡及修正後)を落としている。株主優待制度については毎年3月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対してクオカード500円分を贈呈する。   株価の動きを見ると、10月17日の直近安値2430円から切り返しの展開となった。そして11月14日には2843円、11月26日には2819円まで戻している。短期調整が一巡したようだ。中期成長力を評価する流れに変化はないだろう。   11月26日の終値2808円を指標面(効力発生日15年1月1日付の株式2分割前)で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS233円45銭で算出)は12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は0.9%近辺、前期実績PBR(前期実績連結BPS1999円86銭で算出)は1.4倍近辺である。   週足チャートで見ると、一旦割り込んだ13週移動平均線と26週移動平均線突破の動きを強めている。上昇トレンドに回帰する形だ。指標面に割高感はなく、今期業績見通し上振れの可能性を再評価して9月高値2998円を試す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
アンカー大手のサンコーテクノ<3435>(JQS)の株価は、10月の直近安値2430円から切り返し、11月14日に2843円、11月26日に2819円まで戻している。短期調整が一巡して上昇トレンドに回帰する形だ。
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2014-11-27 09:15