ユーグレナは12月3日付で東証1部へ、中期的視点の評価が高まり7月の年初来高値試す
ユーグレナ <2931> (東マ)は11月26日、12月3日付で東証1部へ市場変更すると発表した。東京大学発ベンチャー企業として初の東証1部銘柄となる。株価は1300円~1400円近辺のモミ合いから上放れの動きを強めている。東証1部への市場変更も支援材料であり、中期的視点の評価を高めて6月の年初来高値1750円を試す展開だろう。
05年に世界で初めて微細藻類ミドリムシ(学名ユーグレナ)の屋外大量培養技術を確立した東京大学発ベンチャーで、世界で唯一ミドリムシを数十トン規模で商業屋外大量培養している。ミドリムシ(虫ではなく藻の一種)は植物と動物の両方の性質を併せ持ち、59種類の豊富な栄養素をバランスよく含んでいることが特徴である。ミドリムシ配合の機能性食品が人気化し、食糧資源や次世代バイオ燃料への活用でも注目度を高めている。
ミドリムシを配合した機能性食品・化粧品などを製造販売およびOEM供給するヘルスケア事業で安定的なキャッシュフローを獲得しながら、次世代型バイオ燃料(ジェット燃料、ディーゼル燃料)や水質浄化などの開発・事業化を進める「バイオマスの5F」が基本戦略である。中期経営計画では18年9月期のヘルスケア事業売上高150億円を目標としている。
各分野で日本を代表する大手企業との資本・業務提携、共同開発、コラボレーションが相次いでいることも注目点だ。
ヘルスケア事業では、イトーヨーカ堂との「ミドリムシカラダに委員会」やファミリーマート <8028> など、ミドリムシ配合の商品開発で大手流通チェーン・食品メーカーとのコラボレーションが活発化している。14年10月には武田薬品工業 <4502> と包括的提携契約を締結し、武田薬品工業が健康補助食品「タケダのユーグレナ 緑の習慣」を発売した。医薬品分野でのミドリムシ特有成分「パラミロン」の注目度も高めた。
次世代型バイオ燃料では、JX日鉱日石エネルギー(JXホールディングス <5020> )および日立製作所 <6501> と次世代型バイオジェット燃料の共同開発を推進し、14年6月にはいすゞ自動車 <7202> と次世代型バイオディーゼル燃料の実用化を目指す「DeuSEL(デューゼル)プロジェクト」をスタートさせた。いずれも18年の低コスト生産技術確立と20年の実用化を目指している。さらに水質浄化技術では清水建設 <1803> 、佐賀市、火力発電所のCO2固定化技術では住友共同火力との共同開発も進めている。
海外は、ミドリムシの栄養素を活用して世界の貧困問題を解決することを目指し、14年4月からバングラデシュで子供たちにミドリムシ入りクッキーを無償配布する「ユーグレナGENKIプログラム」を開始している。さらに中国では「新食品原料」登録、東南アジアイスラム圏では「ハラール認証」を取得して本格的な事業展開の準備を進めている。
11月13日に発表した前期(14年9月期)の連結業績は売上高が前々期比45.6%増の30億46百万円、営業利益が同19.4%減の1億42百万円、経常利益が同27.7%減の1億91百万円、純利益が同75.5%減の1億18百万円だった。
中期成長に向けた先行投資の時期として、大幅増収に伴う売上総利益増加分の大半を広告宣伝費や研究開発費に積極投資し、さらに会社規模拡大に伴う全社費用の増加、公募増資に伴う株式発行費用の発生、前々期に計上した負ののれん発生益の一巡などで減益だったが、ヘルスケア事業が順調に拡大して大幅増収となり、ヘルスケア事業のセグメント利益は増益だった。
特に自社ECサイト「ユーグレナ・ファーム」における直販食品の定期購入者が1年で約3倍、売上高が前々期比約3倍に増加し、ヘルスケア事業に占める売上構成比が25%を突破して粗利益率が上昇傾向だ。また自社流通食品の自社ブランド飲料「飲むユーグレナ/ミドリムシ」の販売店舗数は1000店舗を突破した。
今期(15年9月期)連結業績見通しについては売上高が前期比55.0%増の47億22百万円、営業利益が同45.3%減の77百万円、経常利益が同34.0%増の2億56百万円、純利益が同48.8%増の1億75百万円としている。
引き続き広告宣伝費や研究開発費に積極投資するため営業減益見通しだが、助成金収入の増加で経常増益、最終増益の見通しだ。売上面では収益性の高い自社ECサイト「ユーグレナ・ファーム」の食品直販の拡大が牽引し、粗利益率も上昇する。なお13年12月実施の公募増資で調達した資金を充当して、15年9月期中に藻類由来油脂開発・生産設備の実証プラントを着工するようだ。
また11月13日には、内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)で、プログラム名「セレンディピティの計画的創出による新価値製造」の研究開発機関として選定されたと発表している。研究開発期間は14年10月から19年3月で、スーパーユーグレナを用いた超高効率・超低コストのバイオ燃料創出を目指す。
株価の動きを見ると、1300円~1400円近辺でのモミ合い展開が続いたが、徐々に水準を切り上げてモミ合いから上放れの動きを強めている。11月12日には1600円を付ける場面があった。週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなり、13週移動平均線を突破した。上昇トレンドに転換したようだ。東証1部への市場変更も支援材料であり、中期的視点の評価を高めて6月の年初来高値1750円を試す展開だろう。2000円台も視野に入りそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
ユーグレナ<2931>(東マ)は11月26日、12月3日付で東証1部へ市場変更すると発表した。東京大学発ベンチャー企業として初の東証1部銘柄となる。株価は1300円~1400円近辺のモミ合いから上放れの動きを強めている。
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2014-11-27 09:30