久世は今期業績悪化は織り込み済み、下期以降の収益改善期待で反発局面
業務用食材卸の久世 <2708> (JQS)の株価は、安値圏の650円~700円近辺で推移している。ただし5月安値611円まで下押す動きは見られない。11月10日発表の今期(15年3月期)利益減額修正に対する反応も限定的で、10月26日の直近安値650円から切り返す動きだ。業績悪化は織り込み済みであり、下期以降の収益改善期待で反発局面となりそうだ。
首都圏を中心にファーストフード・ファミレス・カフェ、居酒屋・パブ、ディナーレストラン・ホテル・専門店、惣菜・デリカ・娯楽施設・ケータリングなど、外食・中食産業向けに業務用食材の卸売事業を展開し、大手飲食チェーンも主要顧客としている。子会社のキスコフーズは国内(静岡市)とニュージーランドで業務用高級ソース・高級スープの製造、久世フレッシュワンは東京都内で生鮮野菜など農産品の卸売を展開している。
中期経営計画では目標値として20年3月期売上高1000億円、を掲げ、重点戦略として首都圏・中京圏・関西圏での販路拡大、全国物流ネットワークの強化、中食市場や高齢者施設給食市場の開拓強化、PB商品の拡販や製造利益の拡大、海外事業の基盤確立などを推進している。販路拡大に向けたM&A・アライアンス戦略では、12年6月に中部圏で酒類販売大手サカツコーポレーションと業務提携し、14年4月には高級飲食店向けに強みを持つ水産物中卸会社の旭水産を完全子会社化した。
11月10日発表の今期(15年3月期)第2四半期累計(4月~9月)連結業績は、売上高が前年同期比10.1%増の335億92百万円、営業利益が2億70百万円の赤字(前年同期は54百万円の利益)、経常利益が1億76百万円の赤字(同1億81百万円の利益)、純利益が1億43百万円の赤字(同96百万円の利益)だった。売上高は計画を上回ったが、各利益は計画を下回った。
首都圏・関西圏・中部圏を中心とする販路拡大と新規顧客の開拓、既存顧客の底上げ(インストアシェアアップ)、独自性のある新商品の投入など積極的な営業強化の効果などで増収だったが、利益面では原材料価格上昇に伴う仕入価格上昇、販売価格改定や代替商品の浸透遅れ、遠隔地への配送増加や納品時間の制約などによる物流費改善遅れ、人員増による人件費増加などが影響し、営業損益が大幅に悪化した。売上総利益率が0.2ポイント低下した一方で、売上高販管費比率は0.8ポイント上昇した。
なお販売チャネル別売上構成比(単体ベース)は、ファーストフード・ファミレス・カフェが37.3%、居酒屋・パブが27.6%、ディナーレストラン・ホテル・専門店が20.4%、惣菜・デリカ・娯楽施設・ケータリングが14.7%だった。前年同期との比較ではファーストフード・ファミレス・カフェが3.1ポイント上昇した。
通期の連結業績見通しについては11月10日に売上高を増額修正、利益を減額修正した。売上高は前回予想(5月12日公表)から5億円増額して前期比10.0%増の685億円、営業利益は5億70百万円減額して3億50百万円の赤字(前期は41百万円の利益)、経常利益は5億75百万円減額して1億75百万円の赤字(同2億38百万円の利益)、純利益は4億05百万円減額して1億95百万円の赤字(同1億円の利益)とした。なお配当予想は前回予想(5月12日公表)を据え置いて前期と同額の年間12円(期末一括)としている。
収益改善に向けた取り組みとして、採算性を重視した営業活動の強化、仕入価格上昇に対する販売価格への転嫁や代替商品・メニューの提案、高付加価値商品やPB商品の拡販などによる売上総利益率改善を目指し、営業損益悪化の主因となった物流コストについては、物流の採算改善・精度向上(採算性を考えた配送コースの実現、誤配の撲滅、時限管理の徹底と定時出発、イレギュラー配送の抑制など)、物流効率化に向けた新システム導入(ボイスピッキングシステム導入、新発注システム導入、配送運行管理システムの導入)などを推進している。下期以降の収益改善進展が期待される。
株価の動きを見ると、安値圏650円~700円近辺で推移している。ただし5月の年初来安値611円水準まで下押す動きは見られない。11月10日発表の利益減額修正に対する反応も限定的で、10月26日の直近安値650円から切り返す動きだ。今期の業績悪化は織り込み済みのようだ。
11月26日の終値663円を指標面で見ると、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は1.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1235円43銭で算出)は0.5倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、日足チャートで見ると25日移動平均線を突破した。調整が一巡した形であり、下期以降の収益改善期待で反発局面となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
務用食材卸の久世<2708>(JQS)の株価は、安値圏の650円~700円近辺で推移している。ただし5月安値611円まで下押す動きは見られない。
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2014-11-27 09:30