ドル/円は124円をめざす局面だが、一時的な崩れも警戒=外為どっとコム総研

11月になって1ドル=110円台に乗せたドル/円は、一気に120円を目指すような上昇相場になっている。当面のドル/円について外為どっとコム総合研究所の研究員、川畑琢也氏は、「2015年春に向けて、1ドル=124円をめざすような上昇が期待できる。ただし、この勢いで119円乗せが実現できなければ、いったんはチャート上の窓がある112円台への調整もありえる」と見通している。
――ドル/円は、11月に1ドル=110円の大台に乗せてから、1カ月足らずで1ドル=118円台まで上昇しました。近年になかったようなスピード感で動いていますが、当面の高値のメドは?
ここ2-3年の動きとは、明らかに異なる値動きになっています。これまでの流れとは値幅やスピード感が変わっているということは意識して臨む必要があります。
ただ、大きな流れを振り返ると、1971年以来のサイクルは、長期に16.5年の大きなサイクルと、中くらいの65カ月サイクル、そして、さらに小さい46週サイクルが確認できます。この46週サイクルは、直近2回前は34週と短い期間で次のサイクルに移行し、前回も10月13日に始まった週に1ドル=105円台前半でボトムを付けたとみることができます。そうすると36週でサイクルが移行したことになります。
10月13日の週をボトムとして次のサイクルが始まったと考えると、36週~46週で次のボトムが来ると考えられ、それは、2015年6月~8月ということになります。その際のピークは、サイクルの中央より右側でトップをつけることが予想され、2015年2月中旬から3月中旬以降が想定されます。
このサイクル分析を行うと、65カ月サイクルと46週サイクルが2015年春から2017年春に重なることが予測されるのですが、その時には、大きな分岐点となる可能性があります。その場合、1970年代に1ドル=200円台から2011年10月に1ドル=75円まで進んだ円高局面の修正につながるような動きに転じる可能性もあります。
一方で、価格面からのポイントは、11月20日高値118.977円を超えると、上値は120円の大台。そして、1998年8月高値147.660円から2011年10月安値75.320円の下げ幅の3分の2戻しにあたる123.547円、また、2007年6月高値の124.120円がポイントになります。
特に、1ドル=124.120円を超えると、プラザ合意後の上値を切り下げる動きが崩れ、中長期のサイクル面からの上昇基調も確認できることになります。
――下値への不安はありませんか? 当面のレンジは?
日足をみると、119円の上値の重さが目立っています。日足の一目均衡表の点感染を下抜けて終わることがあれば、目先の調整入りのサインと目されることもあります。その場合は、115円の節目が一つの下値のポイントになります。次にチャート上の窓がある112円台半ばが下げ止まりのポイントになると思います。
したがって、当面のレンジとしては1ドル=112円-124円を予想します。
――ユーロ/ドルは、1ユーロ=1.24ドル前後を下値にもみ合っていますが、当面の動きは?
ユーロ/ドルは2010年以降は1ユーロ=1.18ドルから1.50ドルの間のレンジ相場を続けてきました。今は、このレンジを下抜けるかどうかが試されています。2011年の安値1.18770ドルを下抜けると、相場は2000年安値(0.82300ドル)から2008年高値(1.60380ドル)の上げ幅に対する戻りを試す局面に移行する可能性があります。
その際の下値のポイントは、上げ幅の61.8%の水準である1ユーロ=1.12127ドル。または、3分の2押しである1.08327ドルが目安になります。
一方、週足で一目均衡表の転換線(1.26ドル近辺)を回復できれば、目先の下押しは一服する可能性があります。これまでの下げ幅を考えると、3分の1戻しで1ユーロ=1.29032ドル程度までの戻りは期待できます。ただ、トレンドは下向きなので、大きな戻りは期待しない方が良いと思います。
当面の予想レンジは、1ユーロ=1.18ドル-1.29ドルとみます。相場が荒れているので、動き出すとそれなりの値幅が出るでしょう。
――その他、注目している通貨ペアは?
オセアニア通貨が対円で調整局面に入る可能性があると注目しています。10月後半からの上昇局面で下値を支えていた6日線、また、一目均衡表の転換線を割り込んできたため、一段安になる可能性があります。
対ドルでは、豪ドルが2010年7月以来の安値を更新しています。NZドルは対ドルで年初来安値を維持しているので、クロス円では豪ドル/円の下げがきつくなるでしょう。当面は、1豪ドル=98円付近までの下落はありそうです。豪ドルを持っている方は、利食いを考えるところだと思います。
その他のクロス円は、現在、かろうじて6日線や日足の一目均衡表の転換線を維持している状態ですから、ドル/円が一時的に崩れるようなことがあれば、先月末以来、上昇し続けたクロス円にも下押し圧力がかかる可能性があり、注意が必要です。
写真は外為どっとコム総研の川畑琢也氏、写真撮影サーチナ(編集担当:徳永浩)
11月になって1ドル=110円台に乗せたドル/円は、一気に120円を目指すような上昇相場になっている。
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2014-11-27 15:45