ワイヤレスゲートは第3四半期の低進捗率で売られ過ぎ感、反発のタイミング
ワイヤレスブロードバンドサービスを展開するワイヤレスゲート <9419> (東マ)の株価は、水準を切り下げて11月17日には3035円まで調整した。第3四半期累計(1月~9月)の低進捗率が理由のようだ。ただし25日移動平均線に対するマイナス乖離率が20%程度まで拡大して売られ過ぎ感を強めている。中期成長力に変化はなく反発のタイミングだろう。
通信事業者からインフラを借り受けてワイヤレスブロードバンドサービス(Wi-Fi、WiMAX、LTE)を提供している。販売チャネルはヨドバシカメラでの販売、住友商事 <8053> との業務提携による最大手携帯販売会社ティーガイア <3738> での販売を主力としている。月額有料会員数の積み上げに伴って収益が拡大するストック型収益構造だ。
中期成長に向けた重点戦略として、サービス提供エリア拡大、サービスラインナップ拡充、新規事業推進などを掲げている。
新規事業では14年1月に法人向けWi-Fi環境イネーブラー(構築運用支援)事業を開始した。公衆無線LAN環境を活用する動きが自治体(災害時通信インフラ)、観光地(外国人旅行客誘致)、商店街(集客力向上)などに広がり、20年東京夏季五輪開催も追い風となって無線LANの需要拡大が予想されるため、クラウド型Wi-Fi環境サービスシステムなどソリューションサービスの提供を拡大する。
14年8月にはLTE領域ソリューション拡充の一環として、M2M/IoTソリューション「クラウド型みまもりサービス」の販売開始を発表し、全国主要都市圏で訪問看護サービスを展開するNフィールド <6077> との業務提携も発表した。9月には、LTE通信対応SIMカード「ワイヤレスゲート Wi-Fi+LTE SIMカード」の販売を開始した。また日本たばこ産業(JT) <2914> へのWi-Fiシステムの提供開始を発表した。JTの飲料自動販売機をWi-Fiスポットにするもので、当社のクラウド型マネージドWi-Fiシステムが採用された。
11月6日には、ビジュアルコミュニケーションサービスを展開するブイキューブ <3681> との包括的業務提携を発表した。両社のサービスを組み合わせて新たなサービスを開発・提供する。また世界200カ国以上に1200万箇所以上のWi-Fiスポットを有するFon(スペイン)およびフォン・ジャパンと業務協力を行うと発表した。国内の観光地や商業施設などをFon社のWi-Fiルーターを活用して20万箇所以上のWi-Fiネットワークの構築を目指す。
今期(14年12月期)第3四半期累計(1月~9月)の連結業績は売上高が前年同期比27.5%増の65億73百万円、営業利益が同1.3%増の5億83百万円、経常利益が同1.0%増の5億80百万円、そして純利益が同3.8%増の367百万円だった。
利益面では、期初に予定していなかったLTE通信対応SIMカード販売開始に伴う保守・運用費が発生し、9月の「ワイヤレスゲート Wi-Fi+LTE SIMカード」サービス開始に伴い回線調達コストや販売促進費が増加したため、営業利益は小幅な伸びにとどまった。しかし売上面では、収益基盤である「ワイヤレスゲート Wi-Fi」および「ワイヤレスゲート Wi-Fi+WiMAX」が順調に推移して大幅増収だった。
通期の連結業績見通しは前回予想(2月13日公表)を据え置いて、売上高が前期比20.6%増の85億09百万円、営業利益が同14.6%増の9億円、経常利益が同14.6%増の8億98百万円、純利益が同12.5%増の5億43百万円、配当予想が14年1月1日付の株式2分割を考慮すると実質的に前期と同額の年間25円(期末一括)としている。
会員数の増加に伴って、ワイヤレス・ブロードバンド事業(公衆無線LANサービス、モバイルインターネットサービス)、ワイヤレス・プラットフォーム事業、その他事業(Wi-Fi環境イネーブラー、ガラポンTVなど)がいずれも順調に拡大する。会員数増加に連動する支払手数料の増加、若干の人員増に伴う人件費の増加、フロア増床に伴う地代家賃の増加などを吸収して増収増益見通しだ。
通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が77.3%、営業利益が64.8%、経常利益が64.6%、純利益が67.6%である。利益の進捗率がやや低水準だったが、会員数積み上げのストック型収益構造であることや、Wi-Fi環境イネーブラー事業など新規事業を通期見通しに織り込んでいないことを考慮すれば、特にネガティブ要因とはならないだろう。中期的にも収益拡大基調が期待される。
なお11月6日開催の取締役会において、東京証券取引所本則市場への変更申請を行うことについて決議したと発表している。
株価の動きを見ると、7月31日高値6580円から反落して水準を切り下げている。11月17日には3035円まで調整した。11月6日発表の第3四半期累計の低進捗率が理由のようだ。その後は3100円~3400円近辺で推移して下げ止まり感を強めている。
11月27日の終値3120円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS54円28銭で算出)は57倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS206円18銭で算出)は15倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が20%程度まで拡大して売られ過ぎ感を強めている。反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
ワイヤレスブロードバンドサービスを展開するワイヤレスゲート<9419>(東マ)の株価は、水準を切り下げて11月17日には3035円まで調整した。
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2014-11-28 09:30