キャリアリンクは上場来高値を更新、中期成長力を評価して上値追い

  総合人材サービス事業のキャリアリンク <6070> (東2)の株価は高値更新の展開だ。11月14日に950円を付けて上場来高値を更新し、11月19日には965円まで上伸している。今期(15年2月期)業績3回目の増額が濃厚であり、来期(16年2月期)から本格化するマイナンバー制度関連も追い風だ。急ピッチの上昇で目先的には過熱感もあるが、中期成長力を評価する流れに変化はなく、過熱感を冷やしながら上値を追う展開だろう。   官公庁・地方公共団体・民間企業向けのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)関連事業を主力として、テレマーケティング事業者や企業コンタクトセンター(コールセンター)向けのCRM(カスターマー・リレーションシップ・マネジメント)関連事業、一般事務職分野の一般事務事業、製造・物流分野の製造技術系事業など、人材派遣・紹介や業務請負などの総合人材サービス事業を展開している。   顧客の業務効率化や品質向上などを実現する企画提案型の人材派遣および業務請負を特徴としており、行動規範には「日本一親身な人材サービスカンパニー」を掲げている。   特にBPO関連事業では、企画提案による顧客企業の業務効率化や業務処理の品質向上を強みとしており、それらを実現するために、いわゆる「単なるスタッフ派遣」ではなく、経験豊富な社員をリーダーとして編成したチームを派遣する「チーム派遣」を特徴としている。顧客にとっては、導入時の研修や導入後の業務指導などに係る負担が軽減され、短期間で定型業務の大量処理が可能になるというメリットもある。   BPOベンダーからの再委託を含めて、官公庁の大型プロジェクトのような1000名を超える大型案件でも、稼働開始まで短期間で対応できるノウハウを有していることも強みだ。スタッフに対してはキャリアパス制度などを活用して能力、満足度、出勤率、稼働率を高める仕組みを構築している。こうした仕組みもチーム派遣や大型案件に対する短期間での対応を支えている。   今期(15年2月期)業績(非連結)見通し(9月22日に2回目の修正)は売上高が前期比17.7%増の136億54百万円、営業利益が同2.5倍の7億29百万円、経常利益が同2.5倍の7億20百万円、そして純利益が同2.6倍の4億26百万円としている。配当予想(9月30日に増額修正)は、前期との比較で2円増配の年間16円(期末一括=普通配当14円+創業20周年記念配当2円)としている。   第2四半期累計(3月~8月)は前年同期比2.7%増収、同43.8%営業増益、同46.3%経常増益、同45.7%最終増益と好調だった。そして通期見通しに対する進捗率は売上高が47.5%、営業利益が56.1%、経常利益が56.4%、純利益が56.3%と高水準である。BPO案件の受注が好調であり、BPO大型案件の業務処理効率化による粗利率改善などが下期に本格化することを考慮すれば、通期3回目の増額修正が濃厚だろう。   今期の重点戦略として来期(16年2月期)以降の業容拡大に向けた体制作りも推進する。BPO関連事業ではマイナンバー(社会保障・税番号)制度関連で、16年2月期から官公庁・地方自治体、さらに民間BPO案件の受注本格化が予想される。CRM関連事業では首都圏で稼動中の大型コンタクトセンターへの派遣拡大、戦略拠点の札幌支店や沖縄支店における新規案件獲得、一般事務事業では既存取引先企業への事務系派遣の拡大、製造技術系事業では自動車関連の受注拡大を推進する方針だ。   マイナンバー(社会保障・税番号)制度導入に関して国が想定しているロードマップ(案)によると、15年10月からマイナンバーを券面に記載した「通知カード」の郵送を開始し、16年1月から市区町村の窓口でマイナンバーと個人基本4情報(氏名、住所、性別、生年月日)が入った顔写真付きのICカード「個人番号カード」の交付を開始する予定だ。そしてマイナンバー制度導入関連業務は官公庁・地方自治体のBPO案件だけでなく、民間BPO案件にも広がることが予想されている。   こうした大型BPO案件の分野では競合が少なく、当社の業務効率化に向けた企画提案力、稼働開始まで短期間で対応できるノウハウ、そして年金関連での大型BPO案件の受注実績などの優位性があり、マイナンバー制度関連でも当社が大型BPO案件を受注することが有望視されている。マイナンバー制度関連は16年2月期から受注が本格化するため収益拡大基調だろう。   なお株主優待制度については、毎年8月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。8月12日に優待内容の変更を発表し、従来の「100株以上保有株主に対してクオカード1000円相当」を「100株以上300株未満保有株主に対してクオカード1000円相当、300株以上保有株主に対してクオカード2000円相当」に変更した。現金配当と株主優待を合算した総合利回りの向上を目指している。   株価の動きを見ると上昇トレンドに転換して水準を切り上げた。そして11月14日には950円を付け、12年11月IPO直後の929円を突破して上場来高値を更新した。その後11月19日には965円まで上伸している。収益拡大基調を評価する動きだろう。   11月27日の終値931円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS68円63銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は1.7%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS289円26銭で算出)は3.2倍近辺である。   急ピッチの上昇で目先的には過熱感もあるが、日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線をサポートラインとする上昇トレンドだ。中期成長力を評価する流れに変化はなく、過熱感を冷やしながら上値を追う展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
総合人材サービス事業のキャリアリンク<6070>(東2)の株価は高値更新の展開だ。11月14日に950円を付けて上場来高値を更新し、11月19日には965円まで上伸している。
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2014-11-28 12:30