PALTEKは目先的な売り一巡して出直り局面、15年12月期の利益率改善期待
半導体輸入商社のPALTEK <7587> (JQS)の株価は、10月の直近安値460円から11月上旬の550円近辺まで切り返したが、11月6日の今期(14年12月期)業績見通し増額修正に対してネガティブ反応となり、再び500円台を割り込む場面があった。ただし足元では500円台を回復している。目先的な売りが一巡して出直り局面だろう。
1982年設立の半導体輸入商社である。ザイリンクス社のFPGA(PLDの一種で、設計者が手元で変更を行いながら論理回路をプログラミングできるLSI)を主力に、特定用途IC、汎用IC、アナログ、メモリなどを扱う半導体および関連製品の販売・技術支援事業、試作ボードや量産ボードなどを受託設計および開発・製造(ODM、EMS、OEM)するデザインサービス事業、そして新規事業として省エネルギー関連のスマートエネルギー事業などを展開している。海外は香港に拠点展開している。
仕入先はFPGAがザイリンクス社、汎用ICがNXPセミコンダクターズ社、マイクロチップテクノロジー社、アナログがリニアテクノロジー社、メモリがマイクロンテクノロジー社を中心としている。用途別には産業機器向けを主力として、通信機器向け、民生機器向け、コンピュータ向けなどに展開している。
12年7月にはODM/EMS事業推進、および映像・画像処理関連の自社製品事業の本格展開に向けて、エクスプローラ(北海道函館市)を子会社化した。エクスプローラは自社製品として、レート制御機能搭載H.264コーデック装置を開発・販売し、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のイノベーション実用化ベンチャー支援事業として「レート制御機能搭載4K対応H.265コーデック装置実用化開発」(13年度)および「超低遅延8K対応HEVC-ECFによるハイブリッド配信装置」(14年度)が採択されている。H.265/HEVCは動画圧縮規格の一つである。
また14年6月には子会社テクノロジー・イノベーション(長野県塩尻市)を設立し、サイミックス社から半導体事業およびMEMS(微小電気機械システム)事業を譲り受けて、特定顧客向け人感センサーの信号処理ICの開発に取り組んでいる。
14年11月にはエクスプローラがフジテレビジョンと共同でH.264小型ライブ中継伝送装置「VideoCast Advance」を開発・販売すると発表した。大規模な機材を使わず簡単にライブ中継することが可能になる。また2014年国際放送機器展にH.265/HEVCコーデック装置などを出展した。
今期(14年12月期)の連結業績見通しについては、11月6日に3回目の増額修正を発表して減益予想から一転して増益予想となった。修正後の売上高は前期比33.4%増の235億円、営業利益は同0.9%増の7億80百万円、経常利益は同2.2%増の8億円、純利益は同5.9%増の4億70百万円としている。配当予想は前回予想(2月12日公表)を据え置いて前期と同額の年間8円(期末一括)としている。
製品別売上高の計画はFPGAが86億円、特定用途ICが65億50百万円、汎用ICが34億円、アナログが17億円、メモリが20億円、デザインサービスが10億50百万円、その他が2億円としている。
半導体事業ではFPGAが通信用計測機器、汎用ICがオフィス機器、メモリが民生機器向けなどで増加し、デザインサービス事業では医療機器向け設計受託およびODMが堅調に推移する。利益率の低い案件が増加し、販管費ではH.265/HEVCコーデック製品の開発費やテクノロジー・イノベーションの事業運営費が増加するが、ドル高・円安の進行伴い仕入先に対して保有する仕入値引き(ドル建て)債権の評価額増加が原価押し下げ要因となる見込みだ。営業外ではNEDOからの助成金も寄与する。
収益向上に向けた取り組みとして、半導体事業ではFPGAおよび第2の柱となる製品の拡販、成長市場であるテクノロジー・イノベーションの信号処理IC開発への注力、デザインサービス事業では設計受託およびODMの強化、自社製品であるエクスプローラの4K対応H.265コーデック装置の開発・販売強化、スマートエネルギー事業では病院向け停電対策システムなどの構築・販売を強化する。
今期の利益伸び率は小幅にとどまるが、来期(15年2月期)も半導体需要が堅調に推移し、プロダクトミックスの改善も寄与して売上総利益率改善が期待され、増収増益基調だろう。
株価の動きを見ると、10月17日の直近安値460円から550円近辺まで切り返したが、11月6日の今期業績見通し増額修正に対してネガティブ反応となり、再び500円台を割り込む場面があった。ただし足元では500円台を回復している。目先的な売りが一巡したようだ。
11月28日の終値508円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS41円16銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は1.6%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS724円61銭で算出)は0.7倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んで調整局面だが、徐々に下値を切り上げている。目先的な売りが一巡して出直り局面だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
半導体輸入商社のPALTEK<7587>(JQS)の株価は、10月の直近安値460円から11月上旬の550円近辺まで切り返したが、11月6日の今期(14年12月期)業績見通し増額修正に対してネガティブ反応となり、再び500円台を割り込む場面があった。
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2014-12-01 09:15