サンコーテクノ:第2四半期業績内容について、代表取締役社長洞下英人氏が語る
■第2四半期連結業績は過去最高の増収大幅増益
サンコーテクノ<3435>(JQS)の今期15年3月期第2四半期連結業績は、主力商品の「あと施工アンカー」に加え、太陽光発電市場向け高付加価値製品の売上が順調であったことから、過去最高の増収大幅増益となった。
第2四半期連結業績は、売上高84億円(前年同期比8.4%増)、営業利益7億10百万円(同25.9%増)、経常利益6億89百万円(同28.4%増)、純利益4億43百万円(同42.5%増)。
11月25日の第2四半期決算説明会で同社の業績内容について、代表取締役社長洞下英人氏による、詳しい説明が行われた。
主力のファスニング事業(あと施工アンカー、ドリルビット、ファスナー、電動油圧工具等)は、全売上高の77%を占めている。第2四半期業績は、売上高65億68百万円(同9.8%増)、セグメント利益5億52百万円(同33.6%増)と増収大幅増益。売上高については、現在の建築需要に比較すると若干多めの伸びといえる。要因としては、同社のアンカーは建築工事だけでなく、設備工事でも使用されるためである。例えば、機械の設置、または、工場の生産設備を新設したり、改修したりする場合には、あと施工アンカーが用いられるケースが多い。そのため、建築工事だけに使われるのではなく、それ以外の部分でも使用されることから売上が伸びているといえる。
また、子会社の電動油圧工具の売上が伸びている。鉄筋カッターやベンダーの販売も好調である。好景況を背景に、ようやく設備投資に費用が回り始めてきたことにより、電動油圧工具の使用頻度が高い鉄骨業界での売上が伸びてきたことも要因の一つである。また、円安効果により、海外の売上も伸びてきている。
リニューアル事業では、ゼネコン等と一緒になって、製品及び工法の開発を行っている。そのため、完成するまでの期間が長時間になることが多い。製品を開発し、工法としての施工方法を確立するために工事を管理監修するという事業である。それとFRP関連の製造と販売を行っている。特に、前期は、ガソリンスタンドのタンク補修に特需があったが、今期はその反動減となっている。一方で、リニューアル工事の太陽光の施工に関しては、同社の比率が急激に上がってきている。その結果、第2四半期の業績は、売上16億01百万円(同3.3%増)、セグメント利益1億41百万円(同1.4%増)とFRPの反動減を工事がカバーし、増収増益となった。
センサー事業については、ようやく赤字からの脱却となった。前年同期はセグメント利益2百万円の黒字であったが、今期は14百万円と大幅な増益となっている。同社の子会社の電子基板関連では、需要増に加え、販売価格の見直しを行い、増益となっている。
アルコールセンサーについては、測定器の定期校正が年1回実施されるが、アルコールセンサーの販売台数が増えると共に、校正作業の収入が増えるため、安定的な収益源となっている。基本的には、アルコールセンサーの機械は、保証期間は5年間であるため、5年間のうち毎年アルコールセンサーの校正作業に伴う費用が入ってくることになる。そのため、アルコールセンサーのシェアを上げることによって、安定的な売上が見込まれることになってくる。しかし、センサー事業の売上高は、前年と同じ3億17百万円となっている。理由はセンサーの1台当たりの売上が下がったということによる。前年度と比較すると1台当たりの価格が10%程下がっている。ところが、校正作業による利益が入ってくることから、大幅な増益となっている。11月5日に発表しているように、ドコモ・システムズのクラウド型位置情報サービス「docoですcar NEXT」と、同社の呼気アルコール測定システム「ALC Guardian」を使った運行管理者支援サービスを融合させ、業務効率を支援するクラウド型アプリケーション・サービスを提供するために、ドコモ・シス テムズとの業務提携に合意している。来期以降は、5年を経過したアルコールセンサーの買い替えやシステムでの導入需要が見込まれる。同社にとっては、シェア拡大のチャンスととらえており、今後の売上拡大が期待される。
セグメント毎の説明の後に引続き、第2四半期間のトピックスについての説明が行われた。
太陽光関連は著しく伸びている。太陽光関連材販の売上高は2億72百万円(同8.4%減)と減収となったものの、太陽光関連工事の売上高は4億18百万円(同133.5%増)と急伸している。通期の計画では12億88百万円であるが、第2四半期で6億90百万円と進捗率は53.6%と高い進捗率となっている。材販は減収となっているが、今期は、工事の進捗に合わせて材料を販売しているため、材販が減少しているが、現場の感覚では前期と変わらないペースで推移している。全国的に材料の販売を行いながら、同社の特殊工事が出来る施工店を作ることで、全国に材料を販売できるような体制を整えている。
第2四半期累計のあと基礎アンカー(コンクリート構造物の陸屋根用)の販売実績は、6900本を販売し、販売金額1億72百万円、ディー・アーススクリュー(地盤用の約2メートルの杭)は1万4400本、販売金額1億円となっている。
あと基礎アンカーは、コンクリート構造物の陸屋根に取り付けが可能な基礎アンカーである。通常、屋上に、太陽光パネルを設置する場合は、コンクリートで基礎を作るケースが一般的であるが、コンクリート基礎1か所あたり最低でも数百キロの荷重が建物にかかることになる。あと基礎アンカーを使うと、1カ所あたりで約2キログラムの荷重で済むので、建物に対する負荷が軽減される。そのため、同社の製品はまだまだ需要が拡大すると見ている。
ディー・アーススクリューは、同社の開発商品で、専用の打込み機を使って施工する特殊製品といえる。ディー・アーススクリューを使うメリットの一つとしては、傾斜地での施工のノウハウが豊富であることがあげられる。通常、傾斜地に太陽光発電を設置する場合は、斜面を削り平らな面をつくった上でコンクリート製基礎を設置する方法が多く取られる。一方、ディー・アーススクリューを使うと、そのような施工をする必要がなく、その傾斜地に直接杭を埋めることで、太陽光パネルの架台を一定の角度をつけて設置することが出来る画期的な製品といえる。太陽光の用地については、ほとんどが平らな所ではなく、多くのところが傾斜地で、ある。そのような土地に、平らな状態で組み立てが出来るディー・アーススクリューの工法についてはこれからもまだまだ増えてくるものだと見込んでいる。また、太陽光発電の償却期間は一般に、20年といわれているが、償却期間が過ぎ原状回復する場合を考えると、コンクリートを使った場合に比較して、撤去作業が簡単にできることもメリットである。最近では、太陽光自体が、売上が減ってくるのではないかという考えが出てきているが、同社では、まだまだ需要期だととらえている。
この様な画期的な製品を開発したことから、ディー・アーススクリューを用いた「ダイレクトアース工法」は6月に技術審査証明書を取得している。その結果、設計指針や明確な使用規定がない太陽光発電の杭基礎に、技術的根拠が明確で信頼性の高いデータを提供することが出来るようになった。また4号建物(建築基準法上の分類)での適用も視野に入っており、建築・土木分野への用途開発が広がった。
9月には、大林組と共同で、「既設アンカー孔を再利用して信頼性の高いアンカーに更新する技術」を開発している。あと施工アンカーを更新する場合、アンカー孔を傷つけずに劣化した既設アンカーを引き抜くことが難しいため、別の位置に新たなアンカーを打設して設備を固定し直すのが一般的であるが、この方法では孔の開け直しに伴う躯体損傷のリスクの発生などの課題があった。今回開発した技術はアンカー孔を傷つけることなく既設アンカーを撤去し、同じ位置に新設のアンカーを設置できる。そのため孔のあけ直しに伴う施工の手間や躯体損傷のリスク無くなり、より効率的で信頼性の高い工法が実現された。今まで、同社のアンカーは土木に使われることは少なかったことから、この工法を開発したことで、更に適用範囲が拡大したといえる。
今までガソリンタンクの補修には、サンシートという紫外線硬化FRPシートを使っていた。FRPは軽量で耐久性が良いことから、金属の代替え品として広く使われているが、揮発性有機化合物(VOC)を含み臭気が強いといった課題があった。同社が開発したe―シートクイック(今年4月発売)は厚生労働省が指針を示した13物質の揮発性有機化合物(VOC)を材料として使用しない、紫外線で硬化する低臭気・室内環境対応のFRPシートであり、一般の消費者でも安全に使用が可能になった。今まで使用が難しかった室内(浴室・洗面所)や食品関係、水道用水槽などの補修・補強へと適用範囲が広がった。
このほかに、7月にはT―ウッドという木材用のねじを開発している。この製品は、顧客の要望からできた製品で、ねじで留めても平らな状態を保つことが出来る製品である。
5月には、現場で引張り試験が簡単にできるテクノテスターグラフ ポータブルセットを開発した。より効率的に現場でアンカーなどの確認荷重試験ができるように開発された製品である。これまでは、機械とパソコンをつないで行っていたものが、タブレットを利用して、データを飛ばしたり、専用のリモートプリンターでデータをだしたり、よりセンサー技術を取り入れたことによって、IT化された製品が出来るようになった。
海外向けの売上高は、第2四半期ベースで見ると、13年2億75百万円(対前年同期比2.5%減)、14年3億32百万円(同20.7%増)、今期4億38百万円(同31.9%増)と前期より急増している。特に、油圧工具の日本からの販売が拡大している。アンカーについては、タイの工場からアメリカ、東南アジアへ販売している。今通期の目標は8億円としているが、既に50%を上回っていることから十分に達成できるのではないかと見ている。
以上のような取り組みを行うことで、今期通期連結業績予想は、売上高180億円(同4.6%増)、営業利益15億20百万円(同0.4%増)、経常利益14億80百万円(同0.5%増)、純利益9億50百万円(同4.4%増)と最高益更新を見込む。
尚、12月31日を基準日とする1対2の株式分割を実施する。また、株主優待として、100株以上の株主に500円のクオカードを進呈する。
好業績の背景には現場を熟知し、現場ニーズに対応する新製品の開発を次々に開発していることがある。同社のオールアンカーを生み出した商品開発力が継続する限り、業績の拡大が続くものと予想される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
サンコーテクノ<3435>(JQS)の今期15年3月期第2四半期連結業績は、主力商品の「あと施工アンカー」に加え、太陽光発電市場向け高付加価値製品の売上が順調であったことから、過去最高の増収大幅増益となった。
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2014-12-02 12:30