間違った意味で使われる言葉、1位は「ハッカー」=「大辞泉」調べ

  「ハッカー」を「不正行為を行う人」の意味で使うのは間違いです――小学館の国語辞典「大辞泉」は2013年10月15日に、10月16日の「辞書の日」を記念して「本来と異なる意味・言い方で使用される言葉ランキング」を発表し、誤用の第1位は「ハッカー」だった。一方、「大辞泉」では、言葉が時代によって変遷していくことにも留意し、言葉の変遷を追跡して辞書に反映する体制を整えている。今回、2013年10月末の締め切りで、「愛」「自由」「大人」など8つの言葉について、それぞれの語釈を一般から公募し、「大辞泉」デジタル版に収録すると発表している。   「大辞泉」編集部では、「普段、あなたが次の言葉を使うとき、どのような意味で使っていますか?」と、50の言葉について調査し、「本来の意味」と「本来と異なる意味」の2択で提示。「本来と異なる意味」の回答が多かった順でランキングした。調査は、2013年9月20日-23日で実施。合計1200名(15-19歳・20代・30代・40代・50代・60代以上の男女、各100名)の回答を分析した。   「間違った意味で使われる言葉ランキング」の第1位になった「ハッカー」には、本来、「コンピューターで不正行為をする人」という意味はない。本来は、「コンピューターやインターネットに詳しい人」を意味する。「大辞泉」編集部では、コンピューターで不正行為をする人を表す「クラッカー」と混同されていると解説している。「2つの言葉の知名度・浸透度の差から、分かりやすさを重視して、新聞・テレビの報道などでも、あえて『ハッカー』を悪い意味で使うケースも考えられる」という。   また、第2位の「確信犯」は、本来は「信念に基づいて“正しいことだ”と思い込んでする犯罪」だが、「悪いことであるとわかっていながらする犯罪」と間違って使っている人が73%に達した。これは、2002年に文化庁が発表した「国語に関する世論調査」での誤用率57.6%を大きく超えた。「時間の経過とともに誤用率が大きくなっている」という。   この他、ベスト10には、「姑息」(本来:一時しのぎであるさま→誤用:ひきょうであるさま)、「<話の>さわり」(同:話の要点→話の最初の部分)、「悪びれる」(同:卑屈な態度をとる→虚勢を張って悪事を働いても悪いとは思わない態度をとる)などがあがった。   一方、「言い間違いされる言葉ランキング」の第1位は、「間が持たない」。「途切れがちな会話などを、うまくつなぐことができない」と言いたい時に、68.3%の人が使っているが、本来の言い方は「間が持てない」。これも、文化庁の「国語に関する世論調査」では、2010年の段階で61.8%だったものが、今回の調査で悪化している。   この他、「誤:声をあらげる(本来:声をあららげる)」「誤:足もとをすくう(本来:足をすくう)」「誤;熱にうなされる(本来:熱に浮かされる)」「誤:愛想をふりまく(本来:愛嬌を振りまく)」などが言い間違いの上位にあがっている。   ただし、「声をあららげる」については、最近は「あらげる」を使用する人の増加に伴い、放送現場では「あらげる」の使用も認められるようになってきている。また、「足をすくう」についても、「すくう」は「下から上へすばやく持ち上げる。また、下から持ち上げるようにして横にはらう」という意味で、「足もと」が間違いとはいえないという議論もある。   「大辞泉」編集部では、「言葉というものは、それ自体も意味も、時代によって変遷していくのも事実」とし、発表した「間違った意味」「言い間違い」のランキングも、必ずしも「間違い」とは言い切れない場合もあるとしている。そして、「『大辞泉』は、そういった言葉の変遷を随時追跡し、辞書に反映する体制を整えています」という。   「大辞泉」デジタル版データは、2013年9月現在、採録語数が27万語に達し、毎年3回、8000語以上の新語・新語釈を定期更新している。このような取り組みによって、kotobank、Yahoo!辞書、goo辞書、infoseekマルチ辞書など、国内主要ポータルサイトの辞書データとして採用されている。   現在、2013年10月31日を締め切りに、「あなたの言葉を辞書に載せよう。」キャンペーンを展開中。「愛」「自由」「大人」「失敗」「カワイイ」「友だち」「萌え」「SNS」の語釈(100文字以内)を一般から公募している。1つの言葉に対して、5-10の語釈を採用して、2013年12月の「大辞泉」デジタル版データの定期改定時に収録する。応募はインターネット、または、ハガキにて受け付け。全応募者から抽選で5名に「iPad mini 16GBモデル」をプレゼントする。(編集担当:風間浩)
「ハッカー」を「不正行為を行う人」の意味で使うのは間違いです――小学館の国語辞典「大辞泉」は2013年10月15日に、10月16日の「辞書の日」を記念して「本来と異なる意味・言い方で使用される言葉ランキング」を発表し、誤用の第1位は「ハッカー」だった。
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2013-12-13 16:45