フランス政府 中国企業へ「トゥールーズ空港」の株式売却へ その思惑とは=中国メディア

 中国メディア・澎湃新聞は7日、フランス政府がトゥールーズ空港の保有株の約半数を中国企業に売却することを発表したと報じた。  現地メディアによると、今回売却先に決定した中国企業は、約3億ユーロ(約450億円)を支払って現在フランス政府が保有している同空港株を取得する。取得比率は、全株式の49.9%になる。入札者名簿にはフランス企業が名を連ねたが、売却先に選ばれたのは中国の企業であった。購入権を獲得した中国企業はSymbioseという名称で、中国の山東高速グループと香港の富泰金融グループが共同で設立した企業だという。  同国政府は「中国企業がベストだと判断したのは、金銭面だけでなく社会的な要素も考慮してのこと。これは、フランスや世界の金融界にとってポジティブな信号なのだ」とコメント。また、空港運営力の向上によって地方経済の活力と魅力が高まるとともに「雇用の増加も期待できる」とそのメリットを説明した。  同国のマクロン経済相は中国企業への株式譲渡後も、国と地方で50%を超える株式を保有することから「空港の私有化問題には至らない」と語った。  滑走路やターミナルビルなど重要施設の所有権は依然として国が管理する。また、トゥールーズは、欧州の航空機メーカであるエアバス社の本社所在地で、飛行機の組み立てや試験は同空港で行われている。これについてSymbioseはエアバス社の長期的利益にも十分に配慮しているという。   同経済相によると、株式譲渡は年末には実現する見込みだ。一部中国資本が入ることにより、すでに観光客の受け入れが飽和状態に達しているパリ地域の空港と並んで、今後はフランスを訪れる中国人観光客向けの新たな玄関口となることが期待される。  一方で、フランス国内の一部政治家からは「国家資産を他人に譲渡することに恥を感じる」、「われわれの根本的な経済利益を放棄するようなものだ」といった意見のほか、「さらに不快なのは、フランスの入札者を差し置いて中国人に購入権を与えたことだ」といった猛烈な批判も飛び出した。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)  
中国メディア・澎湃新聞は7日、フランス政府がトゥールーズ空港の保有株の約半数を中国企業に売却することを発表したと報じた。(イメージ写真提供:123RF)
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2014-12-07 16:00