【中証視点】債務リスクの防止には、投資衝動の抑制が必要

  流動性逼迫問題が頻繁に発生したことで、指標金利の上昇に対する懸念は高まり、その上、米国の量的緩和(QE)縮小が加わったことで、これまでの金融緩和過程に隠された債務総額の拡大リスクは、経済の鈍化やデレバレッジが進む中で徐々に明らかになる可能性が大幅に上昇している。地方政府の債務リスク、生産能力過剰な企業の債務リスクが地域的に集中して発生することを防ぐことは、経済運営の重要な課題である。地方政府の投資衝動を抑え、市場主体としての企業の地位を強固なものにすることは、債務リスクによる衝撃を防ぐ鍵である。17日付中国証券報が伝えた。   中国国家審計署の審査結果、監督・管理部門の見方、関連機関の予測データから見ると、ここ数年の各部門の債務問題は、債務規模の拡大、やや速い増加ペース、複雑性、返済圧力の集中などと言った特徴があることがわかる。中でも、地方政府の債務残高の急速な上昇と生産能力過剰問題を抱える業種の債務の高止まりは注意しなければならない問題である。中国社会科学院の最新の報告書によると、2012年の中国社会全体のレバレッジ率は215%に達している。中でも、非金融企業部門の債務残高は72兆1200億元に達し、対国内総生産(GDP)比は139%となっており、世界でも最も高い水準となっている。生産能力が過剰な企業で債務リスクが発生する確率は極めて高い。   企業の債務規模の拡大は、世界規模の金融危機が発生した際に強い景気刺激策を講じた結果であると同時に、投資駆動型の経済発展に依存しすぎたためでもある。投資衝動には深層部分の政府の体制的な要因もある。公務員に対する評価は「GDP至上主義」を重んじており、幹部の昇進と債務問題は切り離されて考えられ、債務の周期と地方官僚の任期はマッチしていない。結果、地方政府が自ら債務を拡大する傾向が強い。地方の国有企業は暗に政府の保証を受けながら、政府のマクロ調整の役割を一部引き受け、投資駆動型の地方経済を推し進める中心的存在となっており、政府の債務の一部を負担している。更に言えば、市場経済のシステムが整っていないため、政府が社会資源・要素の配分や使用、価格決定を主導している。直接的或いは間接的な政府の信用保証によって、各種の社会資源は、選手でありながら審判でもある行政部門や国有企業に集中してしまい、公正さに欠ける。そして、これらの部門は価格概念が希薄であり、このような循環によって、粗放的な発展モデルが形成され、最終的には資本や資源の過剰投下いう事態を招き、コストの上昇率はますます高くなり、収益率は低下の一途をたどる。   このような投資駆動型の経済発展モデルは長続きしない。全体的に言えば、GDPにおいて、追加投資に対する収益率(投資の限界効率)は明らかに低下傾向にある。関連機関の予測によれば、非金融企業の債務額が1元増加するごとのGDPの増分は2008年の0.7元前後から、現在では0.3元まで下がっている。上場企業のデータから見ると、金融企業を除くA株市場の企業全体の資産負債率はすでに約60%まで上昇している。鉄鋼・石炭・建築・建材などの資産総額に占める割合が大きい重工業分野の負債率は著しく高まっており、これらの業種は大多数が生産能力過剰の問題を抱えている。企業の収益力はすでに大幅に下がっており、投資収益率(加重平均)は貸付金利を大幅に下回る。近い将来、これらの業種は引き続き過剰な生産能力の調整の圧力にさらされ、流動性の衝撃を受ける中、債務リスクは大幅に高まると見られる。   今後2、3年は、企業にとって、債務返済のピークとなり、元利返済の圧力が集中し、債務不履行を起こす企業が出てくる可能性も否定できない。これらの事を鑑みて、債務リスクの衝撃は短期的と長期的な対策の両方が必要である。短期的には、債務規模の管理・規制と債務構造の合理化を重視し、長期的には透明化と規範化、更には制度の整備に力を入れ、投資衝動の体制的な要因を解決する必要がある。   金融政策が引き締められる中、社会融資総量の規模安定を維持する必要があり、保険などの長期資金の利用ルートの開拓や民間資本を引き込むことで、企業の融資構造を合理化し、債務総額の拡大を抑制し、過激なレバレッジを避ける必要がある。   そして、市場化メカニズムの改革を推進し、資源配分において市場が決定的役割を発揮できるようにすることが根本策である。政府の機能の転換を推進し、行政と市場の境界線を明確化する。行政のスリム化と権限委譲を進め、市場や企業に権限を戻すことで、政府が非自然独占分野から撤退し、企業の生産・経営に対する直接的な干渉を減らし、強いては無くすことで、市場の分割・独占を打破し、市場メカニズムが経済発展に対し十分なけん引力を発揮できるようにする。この面においては国有企業の改革を深化させることが重要になってくる。政策面での国有企業の負担を解消し、政府の国有企業に対する間接的な保障を絶つことが必要である。また、他方では、土地・資金・資源などといった生産要素の分野の市場化改革を加速することで、資源の希少価値と費用対効果が十分に価格に反映されるようにする。投資衝動が誤った方向に向くことを阻止し、生産効率の向上を図る。(編集担当:陳建民)
流動性逼迫問題が頻繁に発生したことで、指標金利の上昇に対する懸念は高まり、その上、米国の量的緩和(QE)縮小が加わったことで、これまでの金融緩和過程に隠された債務総額の拡大リスクは、経済の鈍化やデレバレッジが進む中で徐々に明らかになる可能性が大幅に上昇している。地方政府の債務リスク、生産能力過剰な企業の債務リスクが地域的に集中して発生することを防ぐことは、経済運営の重要な課題である。17日付中国証券報が伝えた。
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2014-01-17 17:45