【為替本日の注目点】株安・原油安で円高方向に、「要人発言」に敏感

 NY市場  ドル円はミシガン大学消費者マインドが2007年1月以来の高水準だったことを受け119円台に乗せる場面も。その後は原油安の影響から株価が急落し、長期金利も急低下したことで円買いが強まり、118円21銭まで下げ、118円台後半で越週。ユーロドルは1.24台半ばを挟んでもみ合い。上値は重いものの、下げればショートカバーも入る展開。  株式市場は大幅に反落。原油価格が一段と下げたことや、中国の工業生産統計を受け世界経済の減速懸念が広がった。ダウは前日比315ドル下げ1万7280ドル台で引ける。株価の急落や、原油安を受け、債券相場は一段高。長期金利は約2ヵ月ぶりに2.1%台を割り込む。金は続落。原油価格はIAEAが2015年の世界需要を下方修正したことで一段安。  11月生産者物価指数            → -0.2%  12月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)→ 93.8  ドル/円 118.21 ~ 119.08  ユーロ/ドル 1.2433 ~ 1.2485  ユーロ/円 147.25 ~ 148.17  NYダウ -315.51 → 17,280.83ドル  GOLD -3.10 → 1,222.50ドル  WTI -2.14 → 57.81ドル  米10年国債 -0.009 → 2.080%  本日の注目イベント  日   12月日銀短観   中   中国 11月マネーサプライ   米   11月鉱工業生産   米   12月NAHB住宅市場指数   昨日の衆院選の結果はほぼ事前予想通りでした。自公併せて2/3の議席を確保し、これで安倍政権の基盤はさらに磐石のものとなり、「アベノミクス」が評価されたとの認識のようです。ただ投票率が戦後最低を記録したようで、有権者の二人に一人が棄権したことになります。信認されたと言うよりも「他にないから」といった風潮が、そのまま選挙結果につながったと言えます。「アベノミクス」で、法人税減税や規制改革など、やり残した仕事をどこまで実現できるかが問われます。  早朝のドル円はNYクローズのレベルからは売られ、117円台後半までドルが売られています。これは選挙結果というよりも、先週末のNY株式市場が大幅下落したことの影響が残っていると考えられます。NYダウは351ドル安と大幅に下落し、長期金利は2.1%を割り込んできました。ここを見る限り「リスクオフ」の動きにつながっており、円が買われ易い状況です。  株安、債券高にも関わらずドル円が118円台後半で推移していた背景は、やはり好調な米経済指標に支えられています。先週末に発表されたミシガン大学消費者マインドは2007年1月以来となる「93.8」でした。好調な景気に支えられていることから、今週行われる、今年最後のFOMCでは、いわゆる「相当な期間」という文言が外されるという見方が有力です。もし外されれば、2015年6月の利上げ観測が正当化されることになり、利上げはドル買い材料となります。  先週から、ドル円のカギを握るのは「NY株式市場」だと述べてきました。その意味で、ダウが351ドルの下げを見せた後、今日、日本株がどのような動きを見せるかが非常に注目されます。前述のように、信認されたと思える「アベノミクス」に対して、NY株安、あるいは原油安がどの程度円高方向に作用するかという点が今日の焦点です。  今週は相当荒っぽい展開が予想されます。米国では来年にも利上げが確実視されていることで、長期的に見ればドルの「買い場」を探る戦略でいいとは思いますが、一方で株安、原油安が止まらない限り、先週記録した121円85銭を上抜けするのは簡単ではありません。衆院選を終えて、安倍首相が自身の経済運営にどのような発言を行うのか、また、週末には黒田総裁の記者会見もあることから、市場はいつも以上に「要人発言」に敏感に反応しそうです。今日1日では値幅も大きいと思われ、レンジも117円50銭~119円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円はミシガン大学消費者マインドが2007年1月以来の高水準だったことを受け119円台に乗せる場面も。その後は原油安の影響から株価が急落し、長期金利も急低下したことで円買いが強まり、118円21銭まで下げ、118円台後半で越週。ユーロドルは1.24台半ばを挟んでもみ合い。上値は重いものの、下げればショートカバーも入る展開。
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2014-12-15 09:45