【為替本日の注目点】株上昇で円売り再燃も、原油安は相容れにくい
NY市場
118円台半ばから後半で推移していたドル円は、スイス中銀がマイナス金利を導入したことや、米国株が一段と上昇基調を見せたことで円売りが再燃。一時119円31銭までドル高円安が進む。スイス中銀のマイナス金利導入で、ECBも追加緩和に動くとの観測が広がり、ユーロドルは大幅に下落。1.23台半ばから1.2266までユーロ売りが進行。
前日300ドル近く上昇したNYダウは、雇用指標の改善や前日のFOMC声明文を好感して大幅に続伸。引け値では421ドル高と上げ幅では2011年11月以来の大幅高。債券市場は続落。FOMC声明文を手がかりに売り物が勝った展開。株価が大幅に上昇したことも、売り材料となり長期金利は2.21%台に上昇。金は小幅に反発。原油はサウジの石油鉱物資源相が減産に否定的な発言をしたことで一段安となり、54ドル台まで売られる。
新規失業保険申請件数 → 28.9万件
12月フィラデルフィア連銀景況指数 → 24.5
ドル/円 118.58 ~ 119.31
ユーロ/ドル 1.2266 ~ 1.2298
ユーロ/円 145.59 ~ 146.15
NYダウ +421.28 → 17778.15ドル
GOLD +0.30 → 1,194.80ドル
WTI -2.36 → 54.11ドル
米10年国債 -0.069 → 2.211%
本日の注目イベント
日 日銀金融政策決定会合
日 黒田日銀総裁記者会見
独 独11月生産者物価指数
米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
米 ラッカー・リッチモンド連銀総裁講演
加 カナダ11月消費者物価指数
加 カナダ10月小売売上高
毎朝海外市場をチェックすると、その変化に驚くことが良くありますが、今朝もNY株価に驚かされました。前日にはFOMCの声明文を受けて288ドル高で取引きを終えたNYダウは、さらに続伸し、なんと421ドル高を演じました。その割にはドル円は118円台後半で推移しており、この日は株式市場がメインだったようです。
経済指標も、失業保険申請件数は改善していましたが、やはりきっかけはスイス中銀のマイナス金利導入です。スイス中銀が、スイスフランの上限を維持するためマイナス金利導入を決めたのは、ユーロスイスが1.20のレベルに近づいたことが主因で、この発表後ユーロスイスは1.21近辺まで急反発しています。
これでECBも追加緩和に追い込まれる可能性がさらに高まってきたと思われます。利上げの時期を探るFRBと、追加緩和のタイミングを探る日銀とECBに加え、スイス中銀も後者に歩調を合わせることにもつががりそうです。
119円31銭までドルが反発したことで、「1時間足」では200日線抜けには成功しています。この上には「4時間足」の雲が控えており、ここを抜けるには119円70銭を明確に抜けることが必要です。NYダウの大幅高を受けて、本日の日経平均も大幅に続伸しそうですが、その際に上記水準を抜けることができるかどうかも今日のポイントの一つです。先ずはNYの高値である119円31銭を抜けるかどうかです。
原油安に端を発したルーブル安、株安、リスク回避からの円の買い戻しも、ようやく元の鞘に戻りつつありますが、足元の原油安はまだ止まっていません。昨日も2ドル以上下げ54ドル台まで下落しました。原油安が株価の大幅下落につながったこれまでとは異なり、株価は急反発でした。昨日のNYでは株価に支援材料があったとしても、これだけの大幅高と原油安は相容れにくいと思います。
市場は徐々に原油安を材料視しなくなってきたとも考えられます。市場はある材料が起こると突然「熱中」しますが、時間の経過と共に「熱が冷めます」。かつてこのような反応は幾度となく見てきましたが、最近では「ウクライナ情勢」もその一つではないでしょうか。原油価格の動向が注目されなくなることはないにしろ、注目度は徐々に低下していく可能性はあります。むしろ心配なのは、このまま原油価格が低位に留まった場合に、米国の消費者物価指数に与える影響は大きく、来年の早い時期には物価上昇率が「ゼロ」という事態も考えられます。そうなると、来年の利上げのタイミングが遅れることにもつながり、ドル安要因と見ることもできます。本日は118円30銭~119円50銭程度のレンジを予想します。
今年最後の私自身が担当するセミナーも、今週水曜日で無事終わりました。今年は円安が大きく進んだこともあり、受講者の人数はこれまでで最も多かったと思います。そして、去年もそうでしたが、特徴は若い方が多かったことと、女性の参加者が多かったことです。為替が身近になり、資産運用の一つとして「FX」がますます存在感を高めてきたと言えます。良い週末を・・・・・。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
118円台半ばから後半で推移していたドル円は、スイス中銀がマイナス金利を導入したことや、米国株が一段と上昇基調を見せたことで円売りが再燃。一時119円31銭までドル高円安が進む。スイス中銀のマイナス金利導入で、ECBも追加緩和に動くとの観測が広がり、ユーロドルは大幅に下落。1.23台半ばから1.2266までユーロ売りが進行。
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2014-12-19 09:30