日本企業の国際化に疑問  「以心伝心」こそ最大の武器!

 昨今は、「グローバル」と言うカタカナを合言葉に、世界で通用する人材育成が花盛りです。中には海外事業もろくにないのに社内公用語を英語にする企業まで現れていますが、さて、日本企業の最大の強みとは日本語を駆使できる日本人ではないでしょうか?  グローバル研修などを見ると、たまに「日本人は曖昧だ! Yes、Noをはっきり言おう」ーーなどと強調する講師もいます。確かに、私も多少なりとも経験した海外では、物事は、はっきり伝え、意思表示を明確にしないと損をするばかりです。「黙して語らず」は海外では価値がないわけです。  ただ、この先は日本にいながらも外国人と働いたり、外国企業が攻め込んできたりするグローバルも加速するわけですが、さて、そこでわざわざ相手方に合わせる必要などあるのでしょうか?  多くの日本企業が中国の異文化に戸惑い、想定していたパフォーマンスを発揮できなかったように、他国が攻めてきたならば、交渉、対応は日本式でよいのではないかと感じます。商談においては、外国人からは意味不明と言われる「以心伝心」こそ、日本人にしかできない高度なコミュニケーションと言えます。さらに、のらりくらり交わしたり、稟議に時間をかけて相手を待たせれば、向こうが焦って詰めを誤る可能性も高まるかも知れません。  もちろん一緒に働く外国人は戸惑うでしょうが、それこそ「日本で仕事するなら日本語で話せ!」で、日本語をしっかり学び、日本の異文化対応への準備くらいはしてから来て欲しいものです。もちろん、相互理解があってこその話ですが、闇雲に、次元の低いグローバル基準に、内外ともに飲み込まれては、日本企業は世界の荒波や禿鷹に飲み込まれていくだけだと思います。  グローバルの日本語訳が「国際化」でよいのかどうかは疑問ですが、「国際」という言葉をよく見ると「国の際(きわ)」と書いています。決して同化することはせず、自国を主体にして、内外の際(きわ)を認識した上で、それぞれの場所や立場で対応を変えることが、世界に出る、あるいは、世界を受け入れるために必要な武器ではないでしょうか?  全員一律で英語を話す必要などないわけで、攻撃と守備に分けてスペシャリストを育成、一部のリーダー、幹部候補生には攻守双方が求められる……。そんな布陣をイメージした上で、然るべき教育、人事制度を整えるべきだと私は思います。(執筆者:小川 善久 提供:中国ビジネスヘッドライン)
 昨今は、「グローバル」と言うカタカナを合言葉に、世界で通用する人材育成が花盛りです。中には海外事業もろくにないのに社内公用語を英語にする企業まで現れていますが、さて、日本企業の最大の強みとは日本語を駆使できる日本人ではないでしょうか?
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2014-12-22 09:15