社員研修の現場に「滅びる日本」と「繁栄する中国」の前兆を見た

 筆者が中国にいた時にお世話になった会社は社員教育にとても熱心な会社でした。外部から講師を招いて中国人のナショナルスタッフ向けに社員研修を年中行っていたのですが、そこで日本人と中国人の大きな違いを見つけ、今でもとても印象に残っています。  日本人にとって社員研修は、「鬱陶(うっとう)しいもの」、「面倒くさい」、「暇で死にそう」というモノになるのでしょうが、中国人にとって社員研修は全くの別物。 「何かを得る絶好のチャンス」 「給料もくれて教育もしてくれるなんて、なんて良い会社なんだ」 「こんなお得でありがたいチャンスはない」  それが多くの中国人ナショナルスタッフの社員研修に対する考え方でした。(結果として、それが受講態度につながります)  研修は真剣勝負そのもので、お手伝い役で付き添った私は彼らの迫力に圧倒されてしまったものでした。  研修中のグループ討論、ワークショップなどでも、日本人ならば「その場に合わせて、まあ仕方なく」という態度になるのですが、彼らは真剣に議論し、ワークショップも「超」が付くほど積極的で照れもありません。  この傾向は、特に若い世代のナショナルスタッフに限ったことではなく、結構な中堅どころの管理者層に向けての社員研修でも同じ真剣な受講態度でしたので、「若くて好奇心があるから」という一言で、これを片付ける事はできません。  全世代が「何かを学び、生き残っていく助けになるスキルを身につけよう」と真剣なのです。  日本と中国ではビジネスの土壌の成熟度が全く違います。本田宗一郎や松下幸之助は別格ですが、たとえ小さな会社であっても、周囲に名を轟かせ、尊敬を集める経営者は日本には沢山います。  そのように、「学べるもの」を自然に与えられる私たち日本人が、社員研修というものに「いまさら」的な冷めた目線を送るのは致し方がない事は理解ができます。  ですが、そういう土壌の違いを差っ引いても、彼らの何かを学び取ることに関する貪欲さ、迫力には日本人を圧倒するものがあります。  こういった人たちが競争相手になってくるグローバル社会の昨今、日本人の学びに関する消極的な姿勢に憂いを覚えてしまうのでありました。(執筆者:高橋 亮 提供:中国ビジネスヘッドライン)
 筆者が中国にいた時にお世話になった会社は社員教育にとても熱心な会社でした。外部から講師を招いて中国人のナショナルスタッフ向けに社員研修を年中行っていたのですが、そこで日本人と中国人の大きな違いを見つけ、今でもとても印象に残っています。
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2014-12-22 09:15