インフルエンザ対策、受験生を守るためにも「家族うがい」など家族で協力を

 今年の東京都内のインフルエンザは2010年以降で、もっとも早いタイミングで流行開始している。受験期の子どもを持つ家庭では、例年以上にインフルエンザ対策には神経を使うところだ。2014年12月11日に都内で開催された「うがいプレスセミナー」で、国立国際医療研究センター病院の国際感染症センタートラベルクリニック医長の金川修造氏(写真:右)は、「感染症対策は家族で協力することが大事。手洗い、マスク着用、うがいなど総合的に細菌やウイルスを減らす必要がある。うがいにはポビドンヨードが効果的」とアドバイス。受験指導の坪田塾塾長の坪田信貴氏(写真:左)は、「受験当日にインフルエンザや風邪などで実力が発揮できない受験生が毎年15%くらいいる。特に受験1カ月前からは、家族の意思統一が大事。家族全員で受験に参加してほしい」と呼びかけた。写真は国立国際医療研究センター病院の国際感染症センタートラベルクリニック医長の金川修造氏(右)、受験指導の坪田塾塾長の坪田信貴氏(左)。  東京都は2014年11月27日に「都内でインフルエンザの流行開始」を発表している。東京都感染症情報センターが都内419カ所のインフルエンザ定点医療機関から報告を受けているインフルエンザ様疾患の報告数が2014年47週(11月17日-23日)に流行開始の目安となる定点当たり1.0人を超えた(1.92人)ため。この数値は48週には3.62人に増加し、2010年以来、もっとも早い流行開始になっている。なお、48週には全国約5000カ所の報告数が定点当たり1.90人となり、インフルエンザの流行は全国に広がっている。  国立国際医療研究センター病院の金川氏は、「インフルエンザはエジプトのミイラから検出されるほど古くから存在し、1930年代にはウイルスが見つかって対策が研究されているにも関わらず、今でも抑え込むことができない難しい感染症。感染力が強く、一気に広がるものなので、ワクチン接種などによって、できるだけ感染範囲を広げないなど、社会的な影響を小さくする努力を続けなければならない」と語った。  また、インフルエンザの感染経路は、主にせきやくしゃみのしぶきなどによる「飛沫感染」と、触れることでうつる「接触感染」。咳やくしゃみなどによって感染者から1-2メートルの範囲は飛沫感染する危険性が高く、「電車や人混みなど、人がたくさんいる場所では気をつけましょう」と注意を促した。そして、「インフルエンザは発熱などの発症1日前から感染力があり、知らずに感染を拡大させていることがあります。また、外出先などでは、自分でも知らないうちに飛沫した菌やウイルスを吸い込んだり、菌やウイルスを触ってしまっている可能性もあります。特に人混みで活動した後は、帰宅したら家族全員でうがいをする『家族うがい』を習慣化するようにしましょう」とアドバイスしていた。  金川氏は、うがいの効果について、「加湿効果や、口の中やのどの細菌、ウイルスなどを洗い流し、除去する効果が一定の時間期待できます。また、感染者の口の中やのどの細菌やウイルス量を減少させることで感染を拡大させにくくする効果も期待できます。特に、ポビドンヨードは口やのどなど粘膜に使用できるもののなかで、もっとも細菌やウイルスを減少させる効果があるという研究結果があり、インフルエンザの流行時期には人にうつさない感染防止という意味で、水のみでうがいするより高い効果が期待できます」と、ポビドンヨードを有効成分にしたうがい薬の使用がインフルエンザ対策に有効な対策のひとつになると語った。  一方、坪田塾の坪田氏は、受験指導を行っている立場から、「ゼンター試験まで1カ月という受験シーズンには、受験生にたいする家族の協力がもっとも重要な時期」と語った。坪田氏は経験からいえることとし、「入塾にあたって、母親と受験生で相談に来られることが一般的なのですが、父親も含めて親が揃って受験生と一緒に来られる家庭では、ほぼ100%第一志望に合格しています。それほど、家族が一緒になって受験生に協力することが、受験で希望を叶えるために重要なのです」と説いている。  坪田氏は、「たとえば、試験の3カ月ほど前からは、受験生は夜型の生活を、朝型に切り替える必要があります。朝6時に起き、夜の12時前には休むように指導していますが、これが家族で共有されていないと、父親が『受験直前なのに、そんなに早く寝て、努力が足りないのではないか』と受験生を叱ったりします。そういわれると受験生が悩んでしまって、勉強に集中できなくなるということは多くあります。試験前の受験生は精神的に不安定になっていますので、少しのことで、せっかくの受験準備が台無しになることがあるのです」と、家族全員で試験までの期間を意思統一して過ごすことの大切さを語った。  そして、「最後の敵は、インフルエンザ」とし、毎年受験生の15%程度が、試験当日に体調を崩し、十分に実力を発揮できていない実態があると語り、「このように体調を崩してしまう受験生が近年、増えてくる傾向にあります。それだけ、家族の中で、お互いのことに無関心になっている傾向があるのではないでしょうか」と警鐘を鳴らしている。インフルエンザ対策として、「一緒に暮らす家族も必ずうがいと手洗いをしてほしい」と呼びかけ、「受験生の努力したことが報われてほしいというのは、家族全員の願いであると思います。試験で実力が発揮できるよう、日頃の体調、生活管理は、親が率先して取り組んでください」と家族の協力の大事さを強調していた。(編集担当:風間浩)
今年の東京都内のインフルエンザは2010年以降で、もっとも早いタイミングで流行開始している。受験期の子どもを持つ家庭では、例年以上にインフルエンザ対策には神経を使うところだ。写真は国立国際医療研究センター病院の国際感染症センタートラベルクリニック医長の金川修造氏(右)、受験指導の坪田塾塾長の坪田信貴氏(左)。
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2014-12-22 11:00