中国の「鉄道輸出」 国際競争力は「高速鉄道よりも在来線タイプ」=中国メディア

中華工商時報は23日付で「在来線タイプの鉄道の方が高速鉄道よりもさらに国際競争力がある」とする記事を掲載した。同記事は、タイへの鉄道輸出契約も当初言われた「高速鉄道」ではなく、実際には時速160キロメートルの“在来線タイプ”と説明した。中華工商時報は中国の財界団体である中華全国工商業連合会の機関紙。
記事は、2014年には李克強首相の5度にわたる国外訪問にともない約1400億米ドル(約16兆8500億円)にのぼる中国側と外国の契約が結ばれたと紹介。その中には高速鉄道にも関連する協力が含まれているため、「中国国民は高速鉄道輸出に対して期待を寄せた。苦境になる貿易に対する支えになってほしいと願うようになった」と解説した。
記事は次に「注目せねばならないのは、首相が結んだ大型契約の中で、高速鉄道プロジェクトは実際には多くない。目下のところ、ロシアと結んだ1計画だけだ」と指摘。
李首相が12月になり手がけたカザフスタン、セルビア、ハンガリー、マケドニアなどとの契約でも、鉄道に関連する項目はあるが、いずれも高速鉄道ではないという。
記事は「中国の高速鉄道は皆が望むように、世界各地で開花し滞りなく進行しているわけでなない。多くの国の国情が求めるのは、多くの場合在来線タイプの鉄道だ」と論じた。
タイへの鉄道輸出では、早い時期から「タイ産のコメとのバーター」として注目されてきた。タイ側の政治的状況により二転三転したが、李克強首相は19日、訪問先のタイで、鉄道建設でタイ側と覚書を交わしたと宣言した。
覚書によると、中国はタイで全長867キロメートルの複線の標準軌鉄道を建設する、タイ側は中国にコメ200万トンを輸出する。いわゆる「バーター貿易」だ。
中国側が建設する鉄道のでは毎時160キロメートルでの列車運行を実現させるという。中華工商時報は、タイ側が提供するコメの量から、高速鉄道建設なら300キロメートル分の建設費に相当するとの論拠も踏まえ、「高速鉄道ではなく、在来線タイプの鉄道」と指摘した。
中華工商時報は、タイへの鉄道輸出が在来線タイプになったことを「悪いことではない」と評価。理由として、タイ国内で今後進められる鉄道網の整備に参画するための十分な土台ができたと論じた。
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◆解説◆
鉄道では、レールとレールの内側の距離を軌間(ゲージ)と呼ぶ。軌間は国や路線によっても異なるが、現在は1435ミリメートル幅の軌間が、世界的な「標準軌」とされる。
日本のJRは新幹線を除き1067ミリメートルの狭軌を採用している。明治時代に鉄道建設に着手した際、費用投下が比較的少なくするためだったとされる。軌間が狭いとその上を走る車両の大きさや速度の向上でも制約が大きくなる。
タイの鉄道は地下鉄などを除き同国運輸省の下部組織であるタイ国有鉄道の運営だが、軌間は1000ミリメートルとJRよりもさらに小さい。そのため輸送量も小さく、時速も40-50キロメートル程度までで、さらに大部分が単線と、輸送用インフラとして大きな問題があった。
中国はタイに複線・時速160キロメートルの鉄道路線を建設することになった。きちんと機能すれば、タイの陸上交通のレベル向上に、大きく貢献するはずだ。
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中国は時として、国外との大型契約について物々交換の「バーター方式」を採用する。比較的新しい例としては、ロシアからの武器購入に際して、ソバなどの農産物とのバーター貿易を採用したことがある。
中国におけるソバの主要産地は内モンゴル自治区東部で、2000年を過ぎたあたりから、かなりの量がロシアに輸出されるようになった。ロシア人はソバをパンケーキや粥状にして食べ、需要が高いことが背景にある。そのため日本が内モンゴル産のそばをすることが難しくなり、価格が上昇するなどの影響が出た。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)
中華工商時報は23日付で「在来線タイプの鉄道の方が高速鉄道よりもさらに国際競争力がある」とする記事を掲載した。同記事は、タイへの鉄道輸出契約も当初言われた「高速鉄道」ではなく、実際には時速160キロメートルの“在来線タイプ”と説明した。(イメージ写真提供:123RF)
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2014-12-24 16:00