中国製品は「全世界で裁判沙汰」・・・どうして目の仇にされるのか=中国メディア

中国・広東省のニュースサイト金羊網は22日、「“メイド・イン・チャイナ”は全世界で裁判沙汰にされる。ダンピングや補助金調査はなぜ、いつも中国を目の仇にするのか」と題する文章を発表した。
ダンピングの疑いがあるとして、世界各国行われた輸入品に対する調査で、国や地域別では中国製品を対象とするものが3割以上で、1995年から2013年まで19年連続で最も多かった。輸出に対する補助金の疑いでは、中国製品を対象とするものが7割以上で8年間連続、第1位だ。
記事は冒頭で、米国商務省が17日に、中国製太陽電池について調査したところ、ダンピングと輸出補助金があったと発表したことを紹介。中国製太陽電池についての調査は2回目で、同結果を受け米国国際貿易委員会は2015年1月29日に、最終裁定を下す予定だ。同委も米商務省と同じ結論を出せば、中国製太陽電池は米国への輸出に際して、制裁措置としての関税が課せられることになる。
これまでに、輸出相手国側からダンピングや輸出補助金の疑いで調査の対象となった中国製品のうち主な商品は、タイヤ、金属と金属製品、化学工業品、建築材料、機械類、電気設備、食品、繊維製品などだ。
記事は「いずれも、中国が大量に輸出している品目」と指摘。さらに2014年における鉄鋼輸出を例にして「1-10月だけで前年を上回った。(輸出量だけで)世界第2の粗鋼生産国である日本の生産量と同じだ」と説明し「中国の製鉄企業は生産能力が過剰で、多くの企業が鋼材や鉄鋼製品の輸出を増やしている。一方で、他の国は輸入を減らすことで対応している」と論じた。
中国政府・商務部の救済調査局の周大霖副局長は9月29日、「新エネルギー素材トップ・フォーラム」で、「中国と国外との貿易が絶え間なく増えることに伴い、新たな分野で摩擦が発生することが常態化した。中国企業は自らの利益を維持するために、これまで以上に国際貿易の規則を知るべきだ」と述べた。
周副局長は、中国は輸出品についてダンピングの疑いで調査が行われることが長期間にわたって世界で最も多い国であることも指摘。記事は同指摘について「中国は貿易保護主義の最大の被害国という意味になる」と表現した。
記事はさらに中国交通銀行が香港に設立し、投資銀行や証券会社などの業務を行う交銀国際ストラジストの洪コウ氏の考えを紹介。洪氏は米が特に、中国からの輸入品についてのダンピングや補助金絡みの調査を実施することについて、「米国が強い調子で集中して貿易紛争を引き起こす理由には、まず国内産業を保護しようということがある。さらに米中における経済分野の交渉で、カードを増やしておこうという目的だある」と述べたという。(「コウ」はさんずいに「顥」)
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◆解説◆
上記記事は、文字通り読む限り、一方的な論調と言わざるをえない。たとえば周副局長の発言だが、同副局長は中国企業は不利益をこうむらないためにも貿易についての国際ルールを知るべきだと発言した。中国側に問題が存在すると認めた発言であり、輸出については「ルールに抵触しないことが大切」と説いたと理解するのが妥当だろう。
しかし記事は、周副局長の発言を、「中国は貿易保護主義の最大の被害国」と言い換えた。
最後の部分の洪コウ氏の発言は、記者の意とした結論と思われるが、コメントで記事を構成する場合、論旨と合致する発言をすると思われる人物を探しだすことは、メディア関係者がよく用いる手法だ。
中国企業と製品の輸出先に摩擦が生じる場合、中国側にすべての問題があるとは言えない。相手国、たとえば米国も、米国の国益を最大限にすることを狙っているのであり、貿易問題ひとつについても「きれいごと」だけでないことはもちろんだ。
たとえば、日本をはじめとするさまざまな国に自国農産物の輸入制限の撤廃を求め続けている米国も、自国のサトウキビ農家保護のための砂糖輸入の厳しい規制を続けてきたいる。
ただし、上記記事は中国と輸出相手の貿易摩擦について、自国側を「一方的被害者」のように形容するという問題がある。貿易について、相手側との協調ではなく、対決姿勢のみをあおる論調だ。同記事は見出しで「どうして目の仇にされるのか」と問題を提起したが、解決のためのヒントになるとは思えない内容だ。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)
中国・広東省のニュースサイト金羊網は22日、「“メイド・イン・チャイナ”は全世界で裁判沙汰にされる。ダンピングや補助金調査はなぜ、いつも中国を目の仇にするのか」と題する文章を発表した。(イメージ写真提供:123RF)
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2014-12-24 18:15