日本の存在感が薄くなる!? 「中国は圧倒的な財力で、東南アジアと協力関係を構築」=中国メディア

 中国のニュースサイト・未来網は25日、「中国は圧倒的な財力で、東南アジアと協力する」と題する文章を掲載した。日本と東南アジアとの関係構築を強く意識した文章で、「厚い財力を持つ中国の前で、日本は沈黙」などの表現もした。  記事はまず、大メコン圏会議出席のためタイを訪れた李克強首相が20日、参加国であるカンボジア、ベトナム、ミャンマー、タイ、ラオスの首脳に対して、中国は該当地域で鉄道、関税システム、水資源、防災対策などのインフラ作りの整備を行い、貧困対策のため30億元(約581億円)の無償援助を行い、該当国が域外の国と協力するプロジェクト5件について援助をすると述べたと紹介。特にタイのプラユット首相が中国を高く評価したと記述した。  中国が主導する開発で、「問題が発生しているのも事実」と指摘。具体例としては「中国の“南下”政策の最前線であるラオス北部では、中国資本が進めた経済特区の開発が停滞し、ほとんど廃墟になった都市が出現した」と紹介した。  日本については、「厚い財力を持つ中国の前で、日本は沈黙」、「日本の存在感の低下は否定できない」と書いた上で、日本の政府関係者も中国の東南アジア進出に危機感を持っていると紹介。関係者が「アジア開発銀行(ADB)が融資を行っている点と、日本製自動車のシェアの高さはビジネスに有利」と述べた上で、「中国との東南アジアを舞台とする争奪戦はますます激烈になっている」と発言したと紹介した。  記事は、タイのプラユット首相が訪中した際に高速鉄道に乗車して、極めて高く評価したと紹介。次に、中国のトウ小平副首相(当時)が78年に訪日した際に、新幹線に乗り高く評価したことに触れた。あたかも、中国の経済と技術が、78年当時の日本に追いついたと主張するような書き方だ。  記事は、安倍首相が「日本企業はタイにおける高速鉄道建設に関心を持っている」と伝えた際には、はっきりとした態度を表明しなかったプラユット首相が、中国の李克強首相と話した際には、「値引きの可能性」にまで言及し、李克強首相も「最も合理的な価格で最も友好な協力姿勢で、全力でこの件を行いましょう」などと、中国によるタイ国内の高速鉄道路線建設に、双方が極めて前向きな姿勢で取り組んでいると描写した。  記事は最後の部分で、「日本のメディアの報道によると」として、「中国政府は自国の雲南から、ラオス、タイ、マレーシア、シンガポールに至るまでの鉄道をつなげ、アジアにおける南北3000キロメートルを結ぶ計画。実現すれば人の往来と輸出入を通じて、中国と東南アジアの結びつきはさらに強まり、中国の影響力はさらに高まることになる」との見方を紹介した。 ********** ◆解説◆  中国とタイは19日、鉄道建設で覚書を交わした。中国国内では「高速鉄道の輸出か」との見方も出たが、実際には“在来線”タイプの鉄道建設と考えられる。タイの鉄道は時速が50キロメートル程度しか出せず、単線区間が大部分だ。そのため、中国側が建設を請け負うことになったのは、時速160キロメートルの複線路線の建設だ。  中国は、高速鉄道の「各国への売り込み」を行っており、国民の期待も高まっている。ただし、これまでの実績は、ロシアとの間で、北京とモスクワを結ぶ「高速運輸通路」の建設推進で覚書を交わした程度だ。  メキシコは11月3日、メキシコ市とメキシコ中部ケレタロを結ぶ総距離210キロメートルの高速鉄道整備計画を中国企業を中心とする企業連合(コンソーシアム)に発注すると発表したが、11月8日になり撤回した。  中国人民政治協商会議の委員を務める中国鉄道科学研究院主席の黄強氏は3月、高速鉄道の輸出について「(政府上層部の)青写真段階であり、組織的な発展計画はまだない」、「非常に長い過程になる」との考えを示した。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真は「CNSPHOTO」提供)
中国のニュースサイト・未来網は25日、「中国は圧倒的な財力で、東南アジアと協力する」と題する文章を掲載した。日本と東南アジアとの関係構築を強く意識した文章で、「厚い財力を持つ中国の前で、日本は沈黙」などの表現もした。(イメージ写真は「CNSPHOTO」提供)
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2014-12-26 15:45