【投資戦略2015】3月までにITバブルの高値試し、年末には2万3500円=カブドットコム証券・河合氏

 カブドットコム証券チーフストラテジストの河合達憲氏(写真)は2015年の日経平均株価が3月までに2000年に付けたITバブルの高値2万800円を上抜き、年末にかけて2万3500円をトライすると考えている。ITバブル崩壊後に何度か持ち直すたびに、パリバ・ショックやリーマン・ショック、震災などの影響で調整してきた日本株が、ようやく米国株や中国株が回復して久しいリーマン・ショック前の水準が見えてきた。ここを上抜き、さらにITバブルの高値をクリアして初めて日本株は次のステージに入っていくとした。 ――2015年の株式市場の基本的な流れは?  まず年明けの日経平均株価は、リーマン・ショック前の1万8300円回復が期待される。最初の株価材料は企業の決算だ。15年3月期の第3四半期決算が1月中旬から2月にかけて出始める。例年であれば年が明けてすぐの第3四半期決算に投資家の関心も集まりにくかったのだが今回は違う。  10-12月で為替が101円台から120円台まで急速に円安が進んだ。今年上半期の為替は大きな動きもなかったため、前提為替レートを大きく変更する企業もそれほど多くはなかったが、第3四半期で大きく動いたため、輸出関連企業を中心に前提為替レートを変更する企業が多くなりそうだ。下期は為替差益の発生が大きく期待でき、上方修正も増えていく可能性が高い。米国株が高値を追い、ドル・円が120円台を維持している限り、少なくとも日本株も下がりにくいといえる。  また、4月には統一地方選挙がある。これで自民党が勝利すれば、中央と地方の連携が取れるため、アベノミクスの地方創生も進みやすくなる。3月ごろにはこの期待も高まってくるのではないか。この間に日経平均は2万台を回復している可能性がある。足元で日経平均の予想EPSは1100円だが、16年3月期の企業決算が平均10%増益としてEPSが1210円。PER17倍で計算すると2万600円になり、決して無理な話ではない。  4-6月は調整の時期になる。このあたりで米国の利上げが見込まれており、日本株を支える「米国株高と円安」の両輪のうち、米国株が調整することになりそうだ。利上げすることでようやく金融の正常化に踏み出すことになるのだが、長い間、低金利という土台の上で動いていた経済が、利上げによって何かしらのアクションを見せると予想するのは必然だろう。  日経平均の下値は1万7000円程度ではないか。日銀が異次元緩和を発表した13年4月4日以前の安値まで日経平均が調整したことはない。そして、第2弾が発表された今年10月31日の前場終値は1万5920円。仮に下回れば日銀の金融緩和が否定されることになる。この水準に接近すれば第3弾への期待も高まってくるため、現状で下回る可能性は低いと考えている。今の政府には経済に精通している人間が多く、株価もよく見ている。株価の下落が経済に与えるダメージも分かっており、株価の調整には敏感に対応してくると思う。  4-6月を乗り越えることが出来れば、さらに上値を試すこともできる。2015年度内(16年3月まで)に向けて為替が130円を超える水準まで円安が進むようであれば日経平均が2万4500円を試す可能性も十分あるだろう。  もちろん上値を試す材料は必要だ。ひとつは公共投資。例えば20年の東京五輪だが、いまのオリンピックは前年にプレオリンピックが開かれる。19年の夏までには会場もインフラ整備も完了していなければならず、4年弱しか残されていない。首都高の改修も東京五輪までの完了を目指しているが、今までのようなスピードでやっていては間に合わないかもしれない。本気でやるようであれば、首都高の改修は急ピッチで進むことになりそうだ。 ――2015年の注目テーマを教えてほしい。  大きく分けて地方創生、観光立国、最先端技術の3つに注目している。いずれも密接につながっているテーマだ。  訪日外国人観光客が1300万人(12月時点)を突破したようだが、東京五輪も控えており、外国人の旅行者はさらに増えていく見通しだ。増え続ける外国からの観光客を主要都市だけでは受け入れられないだろう。例えば北海道にスキーや温泉を目当てに外国人が多く訪れている場所があるという。こうした面を活用し、訪れる外国人を東京や大阪だけではなく、各地へ誘っていくことが重要。地方を活性化させなければ外国人を受け入れる場所もなく、観光立国にはなれない。地方創生には動脈である鉄道(北陸新幹線など)や高速道路などのインフラ整備も肝心で、リニア中央新幹線などの最先端技術も必要不可欠だ。  地方創生では主要都市以外に本社を置く会社や地方スーパーなどもよいが、特に地銀が注目だ。中央から地方へ資金が流れていくことが予想され、地銀は恩恵を受けることになるだろう。再編も加速するとみている。大企業やその関連会社が集まっている中京圏の地銀などにマークしておきたい。  インバウンド消費は一部の小売や、レジャー施設などがあげられる。最先端技術ではリニア中央新幹線でゼネコンに引き続き恩恵があるだろう。このほかでは水素社会、炭素繊維、ロボット、スマートフォン向けゲーム、バイオ医薬なども夢があって投資家の関心を集めると思う。  また、最近話題になっているドローンは、流通、産業、ホビーと幅広い分野で活躍が期待されている。流通では米アマゾンがドローンを使った配送を考えている。ホビーとしては空中からの撮影を楽しむことが出来るし、産業分野においては、費用がかかっていた土地の空撮も役立つ。今後の先端技術の拡がりに非常に関心を持っている。(取材・編集担当:宮川子平)
カブドットコム証券チーフストラテジストの河合達憲氏(写真)は2015年の日経平均株価が3月までに2000年に付けたITバブルの高値2万800円を上抜き、年末にかけて2万3500円をトライすると考えている。
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2014-12-30 09:15