「世界を引っ張るのは米国だ」と中国副首相・・・「その通りだ!」と中国ネット民の声も=中国版ツイッター

 中国で、汪洋副首相が12月27日に米国内で行った講演で「世界を引っ張っていくのは米国だ」と発言したことが、6日ごろから中国国内で注目を集め始めた。簡易投稿サイトの微博(ウェイボー、中国版ツイッター)では、「その通り」、「実話だ。よし」などと汪副首相の発言を肯定する書き込みが多くの支持を集めている。  汪副首相は「中米は全世界における経済上のパートナーだ。ただし、世界を引っ張っていくのは米国だ」と発言。さらに、中国が改革開放に着手した時点で、米国は世界経済のシステムと規則をすでに主導しており「中国の対外開放は、われわれがこのシステムに加入し、基本的にこれらの規則を承認し、この国際経済システムの中で建設的な役割りを発揮したいと願っていることを意味する」と述べた。  中国は習近平政権発足以来、「米中二大大国」などとの表現を多用し、米国への対抗意識をあらわにすることが多かった。そのため、汪副首相の発言は、「中国首脳陣が外交についての方針を転換」として注目を集めた。  冷戦時代の米ソ対立に触れ、「米国はソ連を打破した。当時のソ連は現在の中国よりも強大だった」、「しかも中国には盟友すらいない」、「中国の価値観と考え方の体系は、西側世界に“侵入していない”」などの理由により「西側諸国に対して政治面で強硬策をとれば、ソ連よりももっとひどい状態になる可能性がある」と、中国の指導層が政治的な懸念を持ち始めたとの見方も出た。  中国で同話題が注目されたのは、中国紙・環球時報が6日付で紹介したことがきっかけだった。  微博でも同記事が紹介された。寄せられたコメントで「いいね」が最も多いのは「そうだよ。米国が秩序を維持する。中国は金儲けをしていれば十分」だった(日本時間6日午後3時現在)。さらに「事実を話したわけだ」、「事実はそこだよ」、「事実はかくのごとし」、「規則を尊重するのはよいことだ」などが続いた。 ********** ◆解説◆  汪洋副首相は李克強首相と同年の1955年生まれ。胡錦濤前国家主席、温家宝前首相、李克強首相などと同じ「共青団派」に属するとされる。米国での講演における「世界を引っ張っていくのは米国だ」との発言は、国際的な協調路線を重視する共青団派のかねてからの特徴とも一致する。  汪副首相には発言が率直で分かりやすいとの評価がある反面、軽率な発言があるとの批判もある。中国共産党広東省委員会書記を務めていた2009年にはドイツ人記者の質問に答えて、「中国では憲法で言論の自由が保障されている。この場でも率直に意見を交換している。これも言論の自由のあらわれだ」と述べたことでインターネットなどで批判の対象になった。  一方、2012年の全国人民代表大会開催時には、メディアが目立つことだけを考えて見出しをつけるために、「発言がねじ曲げられ、誤解されてしまう」と不満を述べたが、「友だち甲斐のない記者もいるんだよなあ」と自ら“フォロー”したため取材陣が爆笑し、かえって好感を持ってあつかわれた。  汪副首相は言論の自由にも理解を示し、新産業の育成にも熱心であることから、「積極的な改革派」とみなされている。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)
中国で、汪洋副首相が12月27日に米国内で行った講演で「世界を引っ張っていくのは米国だ」と発言したことが、6日ごろから中国国内で注目を集め始めた。(イメージ写真提供:123RF)
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2015-01-06 16:45