日本人管理者層にありがちな中国人マネジメントの誤理解とは?

筆者が懇意にさせて頂いている上海近郊の日系メーカーの総経理(日本でいう所の社長とほぼ同意)が「工場の現地スタッフに労働環境に関してのアンケートを取ったら、散々な結果だった。結構労働環境に関しては気を配ってきたつもりなのに。すごく残念だ」という悩みを相談してきました。
アンケートの内容は下記のようなかんじです
「始業時間、休憩時間、時報、あらゆる時間にチャイムが鳴って完全管理。刑務所にでも入って囚人でいるみたい。窮屈過ぎる」
「ガムくらい噛んだっていいだろう。日本人の主任に見つかったら物凄く怒られた」
「工場見学に来た他の企業の人に挨拶をしなかったら物凄く怒られた。なぜ怒られたのかいまだに理解できない。こんな会社で仕事はしたくない」
ここに全てを記すと誌面を埋め尽くしてしまう事になるので(それ位クレーム? が多かったようです)、とりあえず数が多かった代表例を3つ挙げるに留めますが、内容たるや読んでいた総経理さん自身が自信喪失で寝込んでしまうほど、それはそれは散々なものだったそうです。
日系企業、とくに製造系の現場での日本式の管理手法は中国人にとってはまさに「囚人」のごとく「全てを管理されている」、「まったく自由がなくて窮屈過ぎる」という風に映るのかもしれません。
今日の製造現場で働く中国人の若い世代の人たちは「90後(ヂウリンホウ)」と呼ばれる1990年代に生まれた世代が中心を占め、中国人社会の中でも「甘ったれでワガママ」と評される世代の若者達です。それに加えて、組織で働くことの意味や指揮命令系統が存在する意義などに関する教育、自然に覚える環境で育っていませんので、日本の製造現場の管理手法が刑務所と同じように映ってしまっても仕方がない事なのかもしれません。
まだ中国に来てから3カ月しか経過していない新任の総経理さん。私は疲労しきっている友人の総経理さんにこのように話をしました。
「そういう事で悩んでいる日本人の管理層や駐在員は多いですよ。確かに若い中国人のローカルスタッフの考え方が甘すぎるという点は私も同意をします。ですが、「なぜそうするのか?」、「そうすることで、働く人にどんなお得な事が起こるのか?」に関してキチンと説明する努力を怠っている点は一度見なおしてみて反省し、直すべき点はまず自分から直してみる必要があるんじゃないでしょうか」
実はこれはその前日にお会いした中国人のマネジメントを研究するコンサルタントの方から聞いた話の完全な受け売りなのですが、腕を組んで神妙な面持ちで私の話を聞いていた総経理さん。
「確かにそうだな。僕にも足りない部分が多すぎたかもしれない…」
いつもは2軒目セットがデフォルトのこの友人総経理もその日は心の中で何か変化があったようで、飲んでいた焼鳥屋から真っ直ぐに自宅のマンションへ引き上げていったのでした。(執筆者:高橋 亮 提供:中国ビジネスヘッドライン)
筆者が懇意にさせて頂いている上海近郊の日系メーカーの総経理(日本でいう所の社長とほぼ同意)が「工場の現地スタッフに労働環境に関してのアンケートを取ったら、散々な結果だった。結構労働環境に関しては気を配ってきたつもりなのに。すごく残念だ」という悩みを相談してきました。
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2015-01-07 11:15