【中証視点】物価底入れ傾向明確化 中国の金融政策がより慎重に

中国国家統計局が8月9日発表したデータによると、7月の中国の消費者物価指数(CPI)は前年同期比で1.8%上昇し、上昇率が30カ月ぶりの低水準となった。インフレ圧力の低下により、政策緩和の余地が広がった。しかし、国内外では物価の上昇要因が集中して現れており、中長期的なインフレ圧力は依然消えていない。一方で、政府は「安定的経済成長の維持」を一段と重要な位置に据えた。他方では、インフレの再燃を懸念し、金融政策の実施において、より慎重な姿勢をとると見られる。10日付中国証券報が伝えた。
国際的な面から見ると、食品や大口商品の価格下落の可能性は小さく、その上、中長期的に中国国内に輸入型インフレのリスクをもたらす可能性がある。アメリカの干ばつの影響で、アメリカ産の大豆・とうもろこしの供給量が減少し、先物相場は既に上昇し始めている。これにより、農産物の価格急騰が世界の食品価格に影響を及ぼす可能性がある。米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(英中央銀行)などは、「金利の据え置きを維持する」方針を取っており、インフレ進行のリスクが高まることへの懸念がうかがえる。先ごろ、アジア各国で政策金利を決定する会議が開かれており、経済が鈍化するリスクに直面しているにも関わらず、日本、韓国、インドネシアはいずれも基準金利を据え置き、金利の引き下げを実施しないことを決定した。更に韓国銀行(中央銀行)は、原油・食糧価格の高騰は今後のインフレ悪化に繋がるとの見方を示している。
国内の面から見ると、短期的には、7月の物価上昇率が年内最低水準となる可能性が高い。一方では、新たな価格上昇要因への懸念が強まっている。まず、動力料炭価格の下げ止まり、7月の発電量の伸び率の反転上昇は、企業の生産活動が安定し始めたことを示している。需要回復は生産者物価指数の低下に歯止めをかけ、消費者価格にも徐々に影響が広がる。次に、生産周期から、豚肉価格が反転上昇する可能性が高まっている。豚肉価格は秋季、冬季には上昇に転じ、ある程度の反発が予想される。そして、季節的要因の弱まりや水害などの天候面の影響を受け、ここ数日の野菜価格は既に上昇に転じつつあり、上昇傾向は一時期続くと見られる。これらは今後数カ月間の主なインフレ要因となる。
中長期的に見ると、国内の人件費が長期的な上昇軌道に突入していることや、各種エネルギーの価格改革により、一次産品の価格上昇圧力が集中して放出されるというCPI押し上げ要因もある。通常、経済転換期において、非食品価格はCPIの支えとなる。7月のデータを見ると、非食品価格のうち、衣料品と住宅価格がそれぞれ3.3%、2.1%上昇している。中でも住宅賃貸料は3.1%上昇、水道・電気・ガス料金は2.5%上昇している。衣料品や住宅、公共料金のような従来なら価格が比較的安定しているものが高騰しており、転換期における各中長期的な価格上昇要因の圧力を反映している。
国内外の状況を総合して考えると、CPIの底入れ傾向が既に明確化している。上記で挙げた要因は、中国政府の金融政策の実施において大きな試練となる。中国人民銀行(中央銀行)は第2四半期金融政策報告書において、8月以降のインフレ再燃への懸念を示した。アナリストは「今後、金融政策の実施はより慎重になることが予想される。「安定的経済成長の維持」の政策環境において、下半期に金利及び預金準備率の再引き下げが行われる可能性は依然ある。しかし、CPIの底入れ傾向が明確化し、経済が回復軌道に乗った後は、膨大なマネーストック、不動産価格の上昇などの問題に直面するだろう。これら要因で、金融政策の緩和余地が狭まり、今後中国政府は金融政策の調整でより慎重な姿勢に傾くと見られる」との見方を示している。(編集担当:陳建民)
中国国家統計局が8月9日発表したデータによると、7月の中国の消費者物価指数(CPI)は前年同期比で1.8%上昇し、上昇率が30カ月ぶりの低水準となった。インフレ圧力の低下により、政策緩和の余地が広がった。しかし、国内外では物価の上昇要因が集中して現れており、中長期的なインフレ圧力は依然消えていない。一方で、政府は「安定的経済成長の維持」を一段と重要な位置に据えた。
china,economic
2013-12-16 10:15