中国経済、「有史以来の厳しいデフレ局面」の声も

中国政府・国家統計局は9日、2014年12月および同年通年の消費者物価指数(CPI)の上昇率を発表した。12月は1.5%の上昇、通年では2.0%の上昇だった。「有史以来の厳しいデフレ局面」との見方も出はじめた。
国家統計局によると、2014年の各月の前年同月比のCPI上昇率は、9月以来、1%台という状態が続いている。前月比では、3月、4月、6月、11月でマイナス成長だった。また、生産者物価指数(PPI)は2012年下半期以来、マイナス成長が続いている。
そのため、「有史以来の厳しいデフレ局面」といった見方の発表も増えている。国家統計局でエコノミスト責任者の経験もある経済専門家の姚景源氏は「CPIが連続して3カ月以上、あるいは2四半期連続でマイナス成長であれば、デフレ状態と見なされるのが一般的だ。現在のところ、われわれはまだ、デフレ状態になったとは判断していない」と説明。
ただし、2012年下半期以来PPIはマイナス成長を続けており、CPIも1%台となったことから「2015年にはCPIのマイナス成長という事態が発生するかもしれない。われわれがデフレ圧力に強く警戒せねばならないことは、間違いない」と述べた。
姚氏は1929年から33年にかけての米国の大恐慌、日本で20年間続いた経済の停滞を例に、所得の減少、大量失業、負債の増加、資産価値の下落など、さまざまな問題を指摘した。
姚氏はデフレ対策としては、大規模な投資プロジェクトや通貨政策の緩和に頼る、従来の方法では通用しないと説明。例として、工業分野に対する投資について、生産能力が過剰であり、有効需要も大きくないと、効果が期待できない理由を説明した。
姚氏によると、投資については大規模投資ではなく、東部に比べてインフラ整備が大きく劣っている中西部、都市に比べて大きく劣っている農村部に対しての物ならば、補助的な効果が出ると期待できる。
これまでの経験則では、投資総額の30%の消費が発生するので、投資が全くデフレに対する対抗策にならないというのではない。ただし、インフラ投資の主体を地方政府から企業に転換していくといった体制改革が必要という(解説参照)。
姚氏はデフレ圧力に対抗するには「民生の改善による消費の促進」が必要との考えを示した。まず、所得を拡大して庶民が「金を使える」状態になってもらうことが必要であり、次に社会保障を改善して、庶民に「もしもの場合」をそれほど心配せず「金を使ってよい」気持ちになってもらうことが必要だという。
また、電子商取引を発展させ、多くの庶民が「金を使いやすい」環境を出現させることも重要だという。
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◆解説◆
中国ではこれまで、地方政府が多くのインフラ建設のための投資を手掛けていた。現在は見直されているが、域内総生産(GDP)の伸びで地方政府およびその指導者が共産党などの上部組織から評価されるという「成績考課」が大きな原因とされる。
そのため、GDPの引き上げを主眼とした、「経済効率の極めて悪い投資」も多かった。結果として、法律では禁止されていた地方債の「抜け道発行」が盛んに行われた。農民に対する強引な土地徴用は社会問題になった。使える建物や施設を撤去することも多く、産業ごみなどが増加する大きな原因になった。
投資の主体を地方政府から企業に転換していくことは、行政と企業の役割分担をはっきりとさせる行政改革の一環であり、投資を実効性あるものに集中させていく動きでもある。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)
中国政府・国家統計局は9日、2014年12月および同年通年の消費者物価指数(CPI)の上昇率を発表した。12月は1.5%の上昇、通年では2.0%の上昇だった。「有史以来の厳しいデフレ局面」との見方も出はじめた。(イメージ写真提供:123RF)
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2015-01-09 16:15