増加する中国人観光客に真の「おもてなし」を

日本経営管理教育協会が見る中国 第341回--宮本邦夫(日本経営管理教育協会名誉会長)
大晦日の暮れ時に銀座の中心部を散策した。LEDのイルミネーションが輝く中で、目立ったのが中国人観光客である。しかも、一昔前のように大勢のグループではなく、家族、恋人など個人観光客の多さである。その日の朝日新聞に「訪日中国客8割増」という記事が出ていたが、それを実感した次第である。その記事によると、訪日客の増加は、尖閣問題、歴史認識などの政治・外交とは別だと考える中国人が多くなったことによるという。もちろん、円安、日本政府のビザ発給要件の緩和策なども大きな理由である。
理由はどうであれ、中国人観光客が増加することは大いに歓迎すべきことである。そして、訪日中国人観光客が、帰国して日本の良さを口コミでPRしてくれたら、政府間の関係改善にも寄与するかもしれない。そのために我々は日本人としてなにをすべきであろうか?それは、日本的な「おもてなし」を意識して実行することである。つまり、真の「おもてなし」とは何かを考え、具体的には、どうすべきかを明確にして実行することである。
私は「おもてなし」について、次のように考えている。中国人観光客に接する人たちは、ぜひ参考にしていただきたい。
「おもてなし」は、日本的文化によって醸成されたものであるので、特に“和”“察し”“時として過剰”など、日本文化の特徴との関連性が強い。具体的に言うと、① 相手を心から歓待する意思表示をする、②「言葉」よりも「態度・姿勢」を重視する、③相手に対する気遣い、心遣いを表す、④度が過ぎると「過剰サービス」となる恐れがある、⑤自発的しかも自然にでてくるものである、などが日本的「おもてなし」と言えるだろう。
「おもてなし」を実行する上での基本事項としては、以下の5点が挙げられる。
① お……思いやりを持って(相手を思いやることが基本)
② も……漏れなく(誰に対しても平等・公平に)
③ て……手抜きなく(きちんと手順を踏んで)
④ な……和やかに(いつも平常心で)
⑤ し……親切に(心を込めて)
また、「おもてなし」は裏返せば「うらがあり」ということで、さらに次の事項にも留意する。
① う……憂いなく(くよくよせずに)
② ら……楽々と(余裕を持って)
③ が……我慢して(嫌なことでも前向きに)
④ あ……あるがままに(虚勢を張らずに、ごく自然に)
⑤ り……凛として(すきなく身を引き締めて)
写真は中国人観光客で賑わう免税店。(執筆者:宮本邦夫・日本経営管理教育協会名誉会長 編集担当:水野陽子)
大晦日の暮れ時に銀座の中心部を散策した。LEDのイルミネーションが輝く中で、目立ったのが中国人観光客である。しかも、一昔前のように大勢のグループではなく、家族、恋人など個人観光客の多さである。その日の朝日新聞に「訪日中国客8割増」という記事が出ていたが、それを実感した次第である。
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2015-01-14 11:30