中国の病院事情と寂しがり屋の中国人 点滴には付き添いが必要

 皆さんは中国の病院に行かれたことがありますか? 中国の病院にどういったイメージを持っていますか? 今回は、中国の外国人用病院ではなく、地元病院での点滴事情。内陸湖北省武漢市での地元病院に関し見聞きした現場コラムです。 ■1. 中国での点滴  中国では病気になると、日本で病気になったときと比較して、医者がやりたがることがあります。それは点滴です。注射は最近では中国でも積極的には打たなくなってきたようですが、点滴は「打ちましょうか?」と中国人医師から聞かれることが多くあります。たとえ風邪でも内服薬を飲むよりも即効性があるためか、点滴が好まれるようです。  内服薬を飲む場合でも、中国の病気には中国の処方薬が良く効きます。ある日本人の方は喘息の気がありました。日本でさまざまな病院にかかったものの、自分に合う薬を処方されませんでした。それが、ここ、沿岸の発展都市でもない武漢市の病院にかかり、処方された漢方薬を飲んだところ、すっきり。中国人医師の見立てと薬が良かったのかもしれませんが、「今までの日本の病院での処方は何だったのだろう」と思えるぐらいに効いたという状況でした。  中国では、衛生面のほか、手術、歯科治療技術などには不安があるものの、地域の大病院(大学付属病院など、中国人の社会保険が利かないような高級病院)であれば、その医療水準はそれほど低くはない印象です。特に、漢方薬の処方、点滴・注射技術の高さには驚くものがあります。  しかし、最高級病院でもない限り、患者の点滴の受け方は日本での事情とは異なります。数日間点滴に通うことを指示されることがあります。  その場合、1日目に医者の診断を受けた後は、病院内の薬局で点滴を購入します。購入した点滴を自分で持って、点滴室に入ります。看護師を呼び、椅子やソファーに腰掛け、点滴を打ってもらいます。個室ではありません。多くの患者が椅子に腰掛け、点滴を打ってもらっています。  2日目の点滴以降は、点滴の購入から始まります。筆者が見た病院では、20人ほどの患者が大部屋のような場所で点滴を打ってもらっていました。海南省海口市の病院を視察した友人によると、「屋根のみで、壁もない渡り廊下でも多くの患者が点滴を打っていたため、野戦病院のようであった」とのことでした。 ■2. 寂しがり屋の中国人  点滴を打ち始めると打つ本数にもよりますが、かなりの時間を要します。ここで中国の病院では、ある特徴的な点滴事情が見られます。それは、多くの患者に付き添いの人がいることです。大人の患者でも付添い人がいます。付添い人となっているのは、家族、友人、恋人などです。風邪の人が点滴を打つ場合でも付添い人が着いて来ているのです。 中国人の友人A「点滴を打っている間、話し相手がいないとつまらないじゃない? 何日も点滴を打ちに行く必要がある場合には、友達が交代で付き添って、話し相手になるのが中国人だよ。付き添いに来てくれる人がいないと寂しいよ」 中国人の友人B「私は絶対に病院には1人では行かない。安心感がない。日本人はどうか知らないが、パートナーや友達を1人で病院に行かしたり、点滴を打たせに行かせる人は、中国人には薄情だと感じる。たとえ風邪でも、パートナーなり、友人なりが病院に付き添って当たり前」  今日も、中国の病院の点滴室は、人いきれに包まれているのでした。以上。(執筆者:奥北 秀嗣 提供:中国ビジネスヘッドライン)
皆さんは中国の病院に行かれたことがありますか? 中国の病院にどういったイメージを持っていますか? 今回は、中国の外国人用病院ではなく、地元病院での点滴事情。内陸湖北省武漢市での地元病院に関し見聞きした現場コラムです。
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2015-01-15 09:15