スイスフラン歴史的暴騰、この先どうなる?=為替王

 スイスフラン円が、2015年1月15日夜、1フラン約115円から約155円へと、わずか20分の間に、値幅40円も暴騰しました。 ■今までのスイスの為替政策  スイスは2011年9月、フラン高の流れを阻止するために、ある一定水準よりもフラン高が進まないよう上限を設定する為替政策を発表。具体的には対ユーロ(EUR/CHF)の為替レートが1.20を超えてフラン高(ユーロ安)が進まないように無制限に為替介入をおこなってきました。 ■突然のスイスフラン上限撤廃  2011年9月以降はスイスの徹底抗戦により、EUR/CHF=1.20が上限でそれよりフラン高(ユーロ安)が進むことは一切ありませんでした。ところが、2015年1月15日、スイス当局が突然、スイスフランの上限設定を撤廃することを表明。 ■スイスフランの暴騰  上限撤廃発表をうけて、フラン買いが殺到。スイス当局による「フランの上限維持」を信じて大量にフラン売りをしていた投資家が慌ててフランを買い戻ししたこともあわさって、フラン上昇が加速。過去に例がないほど、スイスフランは暴騰。 ■スイスフラン投資で多額の利益?  対ユーロで暴騰したフランは、対ドルでも対円でも暴騰。対円では、1フラン約115円だったのが一気に約155円へ約40円も動きました。もし1万通貨単位保有していたら、日本円で約115万円の価値だったのが、20分で155万円の価値に跳ね上がった計算になります。 ■他の通貨でもこんな暴騰があるのか?  「為替ってこんなに動くなら怖い」と感じられた方もおられるでしょう。このような現象は、普通の先進国の通貨で起きることはまず考えられません。スイスは為替レート制限という、相場の流れに反する人為的な政策を3年以上も取り続けていたため、その無理な政策の反動が生じて、極端な変動が生じてしまいました。 ■今後のスイスフラン見通し  この先、注目されるのは、スイスよりもユーロの動向。ユーロ圏では来週22日に金融政策発表が予定されています。そこで、ユーロ圏が日本のような(米国が昨年までとっていたような)大規模な量的緩和に踏み切るかどうかが注目されます。もし踏み切れば、(昨年10月末、日銀の量的緩和発表で円安が進んだように)、ユーロ安が進行する可能性があります。であれば、ユーロを売った資金は必ずどこか別の通貨に向かいますから、米ドルや日本円などメジャー通貨だけでなくスイスフランにも向かうと考えられます。もしかすると、スイス当局はそのことを察知して、先んじてフラン高の上限撤廃を決めたのかもしれません。(執筆者:為替王)
スイスフラン円が、2015年1月15日夜、1フラン約115円から約155円へと、わずか20分の間に、値幅40円も暴騰しました。
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2015-01-17 00:30