モーニングスターカンファレンス2015、1000人超の個人投資家が集い資産運用の新時代を実感

 モーニングスターは2015年1月17日、東京国際フォーラムで「モーニングスターカンファレンス2015 ~2015年の投資環境~」を開催し、1000名を超える来場者を集めた。会場の熱気から、個人投資家の資産運用に関する関心の高まりを感じさせた。基調講演を行ったモーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏は、「2015年は市場の変動率が高まると考えられることから、コーシャスリー・オプティミスティック(慎重ながら楽観的)に臨む必要がある」と語り、資産運用の重要性を説くとともに、リスク管理の重要性についても言及した。また、フィデリティ投信、ドイチェ・アセット・マネジメント、ニューバーガー・バーマン、日興アセットマネジメント、三井住友アセットマネジメントが特別講演を行い、2015年の世界の市場の見通しを紹介した。(写真は、「モーニングスターカンファレンス2015」の会場の様子) ■2015年はコーシャスリー・オプティミスティック  モーニングスターの朝倉氏の基調講演は、「『大きな潮流の変化』を的確にとらえる資産運用法」というテーマで行われ、「世界の株式や債券市場に大きな価格変動の可能性がある中で、変動期に備えたキャッシュの比率を意識しながら、分散投資を心がけたい。資金の分散を考えるときには、世界の市場の時価総額で約半分を占める米国(米ドル)資産を意識した成長投資分野に資産を振り向ける一方、債券投資などによるインカム収入を目的とした資産にも資金を入れてキャッシュを手元に残すようなポートフォリオを考える局面だ」と2015年を総括した。  成長分野への投資では、時価総額加重平均インデックス以外のスマートベータやアクティブ運用の活用をすすめ、中小型株式への投資による分散を提案。また、世界的な低金利で各国の国債での利回りが見込みにくいことから、ハイ・イールド債や社債、ハイブリッド証券、あるいは、MLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ=主に北米で天然ガスや石油のインフラを展開する事業体に投資して安定したキャッシュフローの獲得をめざす事業体で上場している)などの活用を検討したいとした。 ■米国経済に死角なし  フィデリティ投信の商品マーケティング部長の太田創氏は「米国経済の見通しと、2015年に注目すべき資産クラス」をテーマに講演し、「米国経済に死角はない。企業収益、個人消費、そして、雇用はリーマンショック時の水準に戻り、成長を続けている。住宅市況はリーマンショック前に戻っていないものの、4つの成長エンジンが力強さを取り戻している」と語った。また、米国企業のROE(株主資本利益率)が14.6%であり、世界平均の12.1%から頭抜けて高いことを紹介。また、今後も企業収益が2ケタ成長する見通しにあることから、史上最高値に来ている米国株価も下がりにくい状況が続くだろうと見通した。そして、「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」、および、「フィデリティ・USリート・ファンド」を取り上げて商品内容を説明した。 ■欧州は緩やかな経済成長  ドイチェ・アセット・マネジメント運用部チーフ・インベストメント・オフィサーの戸田敦子氏は、「欧州経済、投資環境と注目の資産クラス」をテーマに講演し、「ユーロ圏経済のけん引役であるドイツを中心にユーロ圏は緩やかな景気回復が続き、今後も欧州中央銀行(ECB)のデフレ回避等を目的とした金融緩和策の政策が継続によって、緩やかな回復が続く」という見通しを示した。欧州の経済成長は、構造改革による労働コストの低下で産業競争力も改善、アイルランドも経済支援状態から脱却も果たした。今後はフランス、イタリアの構造改革の進展、ECBの包括的な追加金融緩和策による景気の底上げが期待されるとした。ギリシャの問題で2月末まではボラティリティが高まることが考えられるが、その後、徐々に落ち着いていくと見通した。そして、欧州のハイ・イールド債券、REITに注目できると語った。 ■個人向けヘッジ・ファンド戦略  ニューバーガー・バーマン代表取締役社長の大平亮氏は、「米国では75周年を迎えた独立系運用会社で、運用担当者が自らもファンドに投資するルールを設けて投資家と運用成果の利益が一致する体制になっている」と自社を紹介し、同社の運用の特徴のひとつである「リキッド・オルタナティブ戦略」(個人向けのヘッジ・ファンド)について解説した。そして、投資戦略営業部ヴァイス・プレジデントの藤波新氏がオルタナティブ投資について説明し、「金融市場の不安定な動き、ブレを回避する手法として機関投資家の間で広く活用され、個人投資家の投資資産の一部に加えていただきたい」とし、「絶対収益型マルチ・ストラテジー戦略」、「米国株式ロング・ショート戦略」、「グローバル債券ロング・ショート戦略」など、個人投資家が活用できるリキッド・オルタナティブ戦略について紹介した。 ■資産形成を考える際のコア戦略  日興アセットマネジメントのリテール事業本部資産運用サポート第一部長の高野誠氏は、「資産形成の柱となるコア運用戦略」をテーマに講演し、「資産運用のど真ん中に置いておくことができる投資戦略」について語った。高齢化の進展、そして、「2%のインフレ目標」による物価の上昇で、預貯金の実質価値の目減りに備えた「3つのポケット」を考えることを提案。3つのポケットの中で、インフレ時代に重要な「資産形成ポケット」で安定的に世界の成長をとっていくコア運用の重要性が増すと解説した。そして、コア運用の対象として「高金利先進国債券オープン(毎月分配型)<愛称:月桂樹>」を紹介。そして、格付けが高く、相対的に高金利の先進国のソブリン債に分散投資し毎月安定した収益分配を行う「月桂樹」の投資対象国のひとつであるニュージーランドの魅力について解説した。 ■アジア・オセアニアリートの魅力  三井住友アセットマネジメントの株式運用グループシニアファンドマネージャーの秋山悦朗氏は、「中長期的な拡大基調が続くアジア・オセアニアリート市場」をテーマに講演し、自身がアジア・オセアニアのリートに直接投資している経験からアジア地域のリート市場の魅力について語った。アジアの経済成長に伴って、アジア各地で都市化が進展して不動産市場、オフィス市場が成長し、また、活発な貿易の進展によってアジア・オセアニア地域は国際物流拠点としての存在感を高めている。そして、アジア地域のリート市場は、香港、シンガポーロ、オーストラリアで大きく成長している他、中国、インドネシアなどでも制度導入の機運が高まっている。秋山氏は「アジア地域には自然災害リスクがあるが、長期の目で右肩上がりの成長が期待できるアジアリート市場に取り組むことが重要である」と語った。(編集担当:徳永浩)
モーニングスターは2015年1月17日、東京国際フォーラムで「モーニングスターカンファレンス2015 ~2015年の投資環境~」を開催し、1000名を超える来場者を集めた。(写真は、「モーニングスターカンファレンス2015」の会場の様子)
economic,company
2015-01-22 21:45