JPX日経400、1口1千円程度の小口でETF=日興アセット

2014年1月6日から算出が始まった新株価指数「JPX日経インデックス400(JPX日経400)」は、日本の株式市場に変革を迫る画期的な株価指数として評価が高まっている。年初から新指数に連動する動きをめざすインデックス・ファンド(公募投信)やETF(上場投信)の設定も相次ぐ。「JPX日経400」について、関係者に評価と期待を聞いた。
日興アセットマネジメントは2014年1月28日に新指数に連動するETF「上場インデックスファンドJPX日経インデックス400(愛称:上場JPX日経400)」を東京証券取引所に上場させる。同社ETFセンター長の今井幸英氏に、新指数が市場に与える影響等について聞いた。
――いち早く、新指数に対応したETFを立ち上げた狙いは?
新ETF「上場JPX日経400」の開発に入っていた昨年12月に欧米で複数の海外証券会社を訪ね、「JPX日経400」について話を聞いたところ、彼らはそろって「面白い」と評価しました。日本の市場関係者の中には、当初、新指数に対して積極的に評価する声は必ずしも多くはなかったのですが、海外では非常にポジティブな反応だったのです。これは、ETFの企画を進める上で、大きな自信になりました。
日本のETFの取引所売買は、市場参加者の50-60%を外国人投資家が占めるという状況です。海外の証券会社がポジティブに評価するということは、すなわち、潜在的なニーズが期待できるということです。
海外投資家が評価しているポイントは、ROE(株主資本利益率)やガバナンス(企業統治)という指標で採用銘柄をスクリーニングするという発想が、株価指数として新しいという点でした。日本の企業が海外の企業と比較してROEが低いこと、また、上場企業の一部でガバナンスの不備が表面化したことについては、かねてから問題視されてきていました。今回の新指数は、ROEなどを使って企業を選別し、日本に新たに「クオリティ・インデックス」というコンセプトを導入する点で優れているという評価でした。
――「JPX日経400」に対応するETFの利用方法として、貴社が想定されている利用方法は?
2013年11月に出された「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議 報告書」において、株式のパッシブ運用のベンチマークとして「JPX日経400」等の利用を検討すべきということが取り上げられています。中長期投資を行う年金基金等の運用において、重要な指標として意識されるようになっていくものと期待しています。
また、私見ですが、やはり、中長期的な資産運用においては、内容の良い企業への投資が、最終的には市場平均を上回り、良い運用成績につながる可能性は高いと思います。これまでの日本の株価推移をみると、「成長株」への投資で市場平均をアウトパフォームし続けることは難しいという評価もありますが、株式投資の大原則として、内容の良い企業に選別投資するという考え方は間違っていないと思います。「NISA」などを使って中長期に資産形成を考える投資家にも、適した株価指数であると思います。
代表的な日本株指数である「東証株価指数(TOPIX)」は時価総額加重平均で計算されていますので、大型株の変動の影響を受けやすい指数といえます。また、「日経平均株価」は、代表銘柄の株価の単純平均をベースにしていますから、値段の高い値嵩株の動きに影響を受けやすいという傾向があります。
「JPX日経400」は、ROEなど企業の成長余力に着目して銘柄が選定されている点のほか、個別銘柄の組入上限を総資産の1.5%以内とするという規定があるため、時価総額ベースでは大型株よりも中型株により大きな資産配分が期待されるといった特徴があります。このように、指数の仕組みによる違いも意識して、運用に取り入れていただきたいと思います。
――新たに設定するETF「上場JPX日経400」の特徴は?
「上場JPX日経400(銘柄コード:1592)」は、新指数「JPX日経400」に連動することをめざすETFとして2014年1月28日に上場します。新ETFの特徴は、まず、信託報酬を0.1%以内(税込:0.105%以内)に設定し、運用コストが極めて低くなっていることです。日本株に中長期にわたって投資していく場合、運用コストを抑えた商品性が望ましいと考え、より低いコスト構造にしました。
また、国内組成のETFであるため、通常の株式と同様に全国の証券会社を通じて投資することが可能です。1日に1度しか売買機会のない公募投信とは異なり、取引所において値段を決めて売買することが可能です。株価指数に連動するETFなので、1日の間でも高値と安値の差があります。タイミングを計って売買されたい投資家の方々の有効な投資ツールになると思います。
「上場JPX日経400」は1口=1000円程度の小口で売買することができます。NISA口座で100万円の非課税投資枠をできるだけ枠いっぱい使って投資したいとお考えの方々にとっても、とても使いやすくなっています。時間分散投資で少しずつ残高を積み上げていくこともできます。
――「JPX日経400」が浸透するスピードについての考え方は? また、新株価指数が浸透することによる株式市場に与える影響は?
新指数の定着には一定の時間がかかるかもしれませんが、国内外の投資家の注目度は高いものがあり、早期に投資家に浸透する可能性も十分にあると思います。ETFについていえば、私はETFの普及活動に約6年前から取り組んできましたが、最近になってようやくETFの市場認知が高まってきたと実感できるようになりました。「JPX日経400」も、指数として認知が高まるには、関係者が辛抱強く、認知活動を地道に繰り広げる必要があるでしょう。
また、「JPX日経400」は、市場に認知されることによって、企業がROEを意識した経営に力点を置くようになり、それが、市場の成長を促すエンジンにもなっていくという効果が期待されます。運用会社として当社は、今回のETF新設をはじめ、公募投信でも「JPX日経400」に連動する追加型投信「インデックスファンドJPX日経400」を1月31日に設定します。新しい株価指数を活用した商品を組成、提供して投資家ニーズにお応えするとともに、新指数の認知拡大にも役立つような取り組みを進めていきたいと考えています。(編集担当:徳永浩)
日興アセットマネジメントは2014年1月28日に新指数に連動するETF「上場JPX日経400」を東京証券取引所に上場させる。(写真は、日興アセットマネジメントETFセンター長の今井幸英氏。サーチナ撮影)
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2014-01-22 19:00