中国人を雇う時に、「面接に来た人は『なに人』?」と聞く不思議

中国で仕事をしていると不思議な場面に遭遇する事が多々あります。そんな中でも面白いのが、新しく人を雇い入れる時です。
例えば中国の蘇州(上海から近い都市)という都市の日系工場で新しく人を入れようと面接を行うと、大体の人事担当者(日本人)が面接に同席させた中国人スタッフにタイトルのような質問をぶつけてきます。
「彼は蘇州人と言っていますが、蘇州人ではありませんね。あの発音は南京の方で育った発音です」
日本人には理解ができないこのやりとり(質問をぶつけているのは日本人ですが)、どういう意味があるとお思いでしょうか?
■同じ方言を話す人間で固めないと職場が回らない
これも日本人には理解が難しい事なのですが、例えば蘇州という都市で蘇州生まれの蘇州育ちの中国人スタッフが大勢を占める会社の場合、そこに蘇州以外の生まれ育ちの中国人が新しく入ってくると混乱を招きます。
日本人でも地縁というものは重視されますが、中国の地方の都市はその比ではありません。何より200キロも離れればお互いの方言で話したのでは会話が成立しないという国ですので、「地元の出」同士でなければ心を許したコミュニケーションは成立し得ません。
■もともと他人を信用しない人たちに同郷以外の人を信用しろという方が無理
上記小見出しのように、元々他人を信用しないのが中国人の標準形ですので、よそ者を「信用して仲間として受け入れろ」と日本人が言った所で、言うことを聞く道理がありません。
蘇州には「蘇州語」という立派な「独立言語」がありますので、先輩の中国人スタッフが蘇州語で会話をしてしまうと、新人の「南京人」はその輪に入ることなど到底できません。「新人さん南京の出だから、しばらくは俺たち標準語で会話してあげようよ」なんて考え方は微塵も持たないのが中国人というものです。
日本にも方言があり、東北の人と沖縄の人が方言で会話をしたならば、恐らく円滑なコミュニケーションは成立しないかもしれません。ですが、ここで協調を図ろうと標準語なりを駆使してコミュニケーションを図ろうと努力するのがわれら日本人というものです。
良い悪いではありません。中国というのはそういう人たちの集まりです。どこかで「彼はなに人?」という不思議な質問を耳にされた時には、このコラムの事を思い出して頂ければと思います。(執筆者:高橋 亮 提供:中国ビジネスヘッドライン)
中国で仕事をしていると不思議な場面に遭遇する事が多々あります。そんな中でも面白いのが新しく人を雇い入れる時です。
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2015-01-23 10:30