アドバンスデザイン、データ復旧のパイオニアとして高い技術力で業界牽引

データ復旧サービスのアドバンスデザインは、2015年に創業20周年を迎える。データ復旧サービスのパイオニアとして、業界トップクラスの技術力で高い信頼を得ている。同社は情報セキュリティ分野においても各種データ消去製品を製造販売し、それら製品は官公庁から大企業・中堅・中小企業まで幅広く企業の情報漏えい対策の要として活用されている。同社が昨年末新たに発表した磁気データ消去装置は米国国家安全保障局(NSA)の厳格な認定検査において欧米企業以外で初めて合格。世界の同等製品の中で最も高い処理能力を持ち、かつ、NSA評価リストの中で最も小型軽量な製品だ。同社代表取締役の本田正氏に、創業以来、業界トップを走り続けてきている同社のサービス概要について聞いた。写真はアドバンスデザイン株式会社代表取締役 本田正氏。
――2015年6月に創業20周年を迎えられるデータ復旧サービスのパイオニアですが、そもそもデータ復旧サービスをスタートした経緯は?
アドバンスデザインの創業前に別会社を経営していた時、とても重要な設計データを記録していたHDDが突然壊れて動かなくなるという経験をしました。当時は今よりもずっとパソコンの動きも遅く、設計の計算には丸1日かかるような時代です。私は失ったデータを復旧してくれる会社を探しましたが、1993年当時、日本国内でデータ復旧を行っている会社は1社もありませんでした。この時、日本国内で同じような悩みを抱えている方々が大勢いるのではないか、と感じたのが始まりです。
一方で海外に目を向けてみると、当時私が調べただけでも30社以上のデータ復旧企業が存在していましたが、私はその内、アメリカ・カナダにある約20社を直接訪ねて各社の内容をヒアリングしました。結果、カナダのトロントに本社を置くデータ・リカバリー・ラボ(後のアクション・フロント)の技術がもっとも優れていて、信頼できると感じましたので、彼らと技術協力をすることで、日本においてデータ復旧サービスを提供開始することにしたのです。
その後、米国の大手HDDメーカーであるSeagate Technologyが自社でデータ復旧サービスを行うにあたって、世界のデータ復旧会社をリサーチし、実際にデータ復旧のコンペを経た結果、アクション・フロントが選ばれました。結果、技術者もろともアクション・フロントはSeagateの1事業部門になりました。カナダのアクション・フロントの技術陣とは今でも良好な関係を継続しており、結果的に当社は、Seagateの提携先として今に至り、かつ、日本におけるデータ復旧のパイオニアという位置を築いているのです。
――貴社は創業後20年を経ても、依然としてデータ復旧業界でトップクラスの技術力を誇っていますが、それは、HDDの世界的メーカーであるSeagateとの業務提携の効果ですか?
Seagateからの技術協力は、確かに当社の技術を押し上げる要因の一つではありますが、それは一部に過ぎません。実際にデータ復旧依頼を受けるHDDメーカーは、Seagate以外にもWestern Digitalや東芝があり、また、SSDに見られるようなメディアの多様化、RAIDなどのシステムへの対応も必要となります。最近では、クラウド化の拡がりとともに、サーバの仮想化における技術革新も見られます。
20年にわたってサービスを提供してきているため、この間に培ってきた経験の蓄積が大きいと感じます。1995年以降に登場した様々な記憶装置の復旧を手がけてきているので、それらの技術の蓄積、そして、物理障害で決定的な要素となる部品の在庫などにおいても、後続の同業他社が追い付けないほどの品揃えがあります。
その意味では、あらゆるOS、メディア、フォーマット、システムなどにおいて、対応不可能なものはないということを常にめざして、技術研さんを重ねてきました。「他社でできないと言われたものでもあきらめずに、一度、当社にご相談してほしい」と自信を持って言える、という自負を持って仕事をしています。
長年、官公庁や国内のトップクラスの企業からリピーターとしてお取引いただいているという結果も“技術力”を示す一つの表れだと考えております。また、大手企業のグループ会社からの受注も安定的に入ってきます。大手企業では、データ復旧の実績が記録され、サービスの対応力が関連企業間で共有され大きく評価されているようです。
――御社の強みは?
データに関する4つのソリューションを提供していますので、データに関するあらゆる相談にお応えできるということです。「データ復旧」はベースとなる事業ですが、この他にも、近年情報漏えい防止のために需要が高まっている「データ消去」、そして、高い生産性で製品提供している「データコピー」、HDDや磁気テープ、光ディスク等の異なる媒体からデータを変換する「データコンバージョン」など、データのトータルソリューションを提供しています。
データ復旧については、セキュリティに関する国際規格ISO27001や品質に関する国際規格ISO9001の認証を取得。クラス100クリーンルーム、レーザー顕微鏡など世界最高水準の設備を完備しています。
また、データ消去については、サービスを提供するばかりでなく、製品も製造しています。その製品のひとつ「MagWiper MW-1」という磁気データ消去装置が米国の国家安全保障局(NSA)の認定検査に合格しました。欧米以外の企業がNSAの認定を受けた初めてのケースです。
「MagWiper MW-1」は強力な磁界を照射することによって、ハードディスク等の磁気メディアに記録されていたデータを全て消去します。電力チャージ時間は約15秒で、0.1秒の間にデータを完全に消去してしまいます。
また、パソコンのUSBポートに接続するだけでHDDやSSDのデータ消去が実行できる「DataSweeper2 Handy」も近日発売予定となっております。手のひらサイズで持ち運びに便利で、HDD/SDDを自動識別し、最適な消去方法での並列消去が可能になっています。
このようなデータ消去ツールが必要とされるのは近年の情報漏えい事件の頻発によって、会社のデータが記録されているPCのリース返却や破棄などに、従来にも増して神経を使うようになっていきているという事情があります。当社では、データの消去後にメディアをそのまま再利用する「リユース型データ消去」、また、データ消去後にメディアを破棄・資源リサイクル化するための「リサイクル型データ消去」のどちらにも対応しています。
――データ復旧のパイオニアとして、ユーザや業界に対して思いなどはありますか?
まず企業・個人ユーザともに、データの重要性を再認識する必要があるように感じています。講演などをさせて頂く機会があり、その時に必ず申し上げるのは「必ずバックアップをしてください」ということです。企業であれば重要データの喪失によりその企業の存続が危ぶまれる可能性があり、また、個人ユーザであれば、大切な家族の一生モノの写真データを失う可能性がある、という認識が必要です。
話が若干脱線しますが、これは企業における“コンプライアンス”の考え方に近いように思います。情報漏えいにより企業の信用・信頼を失うリスクに近しいものがあり、企業はそのための対策をするのが当たり前の時代となってきているのです。
また、おそらく多くのユーザは、そもそも「データ復旧」という言葉・サービスをご存知ないかと思います。結果的にデータを諦めざるを得なかったという方々も少なくないかと思っております。データ復旧というサービスをご存知の方であっても、いざインターネットで調べてみると、どの業者に依頼すればいいのか、選択に困るであろうと想像できます。
近年データ復旧業界は拡大を見せ、個人で経営されているような会社を含めると100社以上はあるかと考えられます。中には復旧率や取引実績における誇大広告が過ぎる企業も多く見られ、また技術力についても上から下までかなりの幅があるように思います。データ復旧業者の選択は大変重要です。万が一データを喪失した際には、その会社のホームページだけではなく、口コミや評判、実際に利用したユーザの声なども併せて、客観的に調べる必要があるように感じます。データ復旧業界の普及と認知度向上、今後は業界全体の技術力向上、健全化も併せて必要だと感じています。
【取材後記】
データ復旧はパソコン等の普及によって需要が増大し、サービス提供会社の数も増えている。日本データ復旧協会(DRAJ)のまとめでは、データの復旧率は75%ほどだという。アドバンスデザインの本田氏によると「東日本大震災で水没したPCのデータ復旧にも取り組みましたが、その時の復旧率は20%程度でした。海水に浸かり、泥まみれになったPCですが、それを使ってきた企業にとっては、受注データなど、今後の事業継続になくてはならないデータです。取り出せるデータがゼロだった場合は、当社の報酬もゼロになりますが、当社としては受け入れ能力の及ぶ限り、データ復旧作業にあたりました」という。
水没したPCからのデータ復旧では復旧率100%の望みは薄い。それでも、最大限の努力を傾注して、データの復旧に取り組むのが、データ復旧の現場の実態だという。データ復旧率だけが、データ復旧会社の能力を判定するモノサシではないことがわかる。あくまでも誠実に、顧客の要望に応えたいという愚直な姿勢が感じられたインタビューだった。(取材・編集担当:徳永浩)
データ復旧サービスのアドバンスデザインは、2015年に創業20周年を迎える。データ復旧サービスのパイオニアとして、業界トップクラスの技術力で高い信頼を得ている。
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2015-01-26 11:15