レアアースの価格低迷・・・中国で「不法採掘」に原因の見方

中国政府・工業和信息化部(工業と情報化省)は28日、北京市内でレアアース類生産業について、政府方針を業界に徹底させるための会議を開催する。不法採掘の取り締まりなどが重点的な議題になると見られる。
会議に出席するのは、レアメタル関連の業界団体メンバー、国務院法制弁公室、中国証券監督管理委員会(証監会)、省・中央直轄市・民族自治区のレアアース産業部門の責任者、レアアース関連主要6社など。
中国は2010年7月にレアアース輸出の規制を強化すると発表。同年9月には沖縄県の尖閣諸島(中国呼称:釣魚島)近海で日本の海上保安庁巡視船への中国漁船衝突事件が発生。日本への輸出は、事実上ストップした。
レアアースの国際価格は2011年1月ごろから高騰した。しかし同年7月からは価格が暴落。種類によっても異なるが、2012年には価格高騰以前の価格水準になるものもあらわれた。
価格高騰と暴落には、投機的な動きも影響したとみられるが、中国ではその後も続いた価格の低迷の原因は「違法採掘による供給過多」との見方が広まった。中国紙・経済参考報は2014年8月、中国で不法採掘されているレアアースは、合法的採掘量に匹敵するほどの量だ」とする業界関係者の声を紹介した。
中国におけるレアアースの主要産地のひとつである江西省の一地域では同年12月までに、レアアース採掘権の許認可を巡る不正で、党政府幹部20人以上が失脚した。
工業和信息化部が28日に行う会議では、国務院法制弁公室の関係者が出席する。「法律に関連する議題」が取り上げられるのは確実で、政府側から法令順守の要求や不法採掘の取り締まり徹底が説明されるとみられる。
工業和信息化部が発表した会議の内容には、2016年に始まる第13次5カ年計画を「さらに一歩、明確にする」とも書かれているため、レアアースの生産量管理を今後も長期にわたって継続するとの政府意向が明らかにされる可能性もある。
レアアース鉱床は多くの場合、放射性物質を含む。その場合、放射性物質が環境に入り込まないようにするためには、多くのコストを必要とする。レアアース埋蔵量が全世界の3割程度の中国が、生産量では9割以上になったのは「汚染処理を無視したため、低コストで生産し、安価に販売したから」との見方がある。
その後中国でも、レアアース生産にともなう環境保護の規則が強化されたが、「違法採掘の場合は野放し状態」とされる。28日の会議では、「レアアース産業と環境問題」についての政府側指示が示される可能性もある。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)
中国政府・工業和信息化部(工業と情報化省)は18日、北京市内でレアアース類生産業について、政府方針を業界に徹底させるための会議を開催する。不法採掘の取り締まりなどが重点的な議題になると見られる。(イメージ写真提供:123RF)
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2015-01-26 17:15