中国経済に「貿易伸び悩み」の衝撃・・・東南アジア諸国の「猛追」も影響

 中国では、輸出用商品を扱う中小企業を中心に「不況感」が漂っているという。貿易額の伸び悩みだ。海関総署(中国税関)の発表によると、2014年通年の貿易総額は前年比2.3%増で、政府が年初に目標として掲げた7.5%には、遠く及ばなかった。中国メディア・人民日報系の人民網が報じた。  中国(大陸部)の14年通年の貿易総額は前年比2.3%増の26兆4334億5787万元(約499兆2600億円)だった。年初目標の7.5%増には遠く及ばなかった。また、3年連続で年初目標が未達成となった。  輸出が4.9%増、輸入は0.6%と輸入額が減少したため、貿易黒字は前年比45.9%増の約2兆3500億元(約44兆3800億円)だった。  しかし、貿易額の伸び悩みで、輸出用商品を扱う企業、特に「従来型商品を扱う中小企業」の間で不況感が漂っている。上海市でアパレル製品を生産する企業の経営者は「収益がどんどん下がっている。輸出で利益を得ることは難しい」、「現在はなんとか赤字を出していない状態。好転しなければ会社を閉鎖する」という。  従来型商品の輸出が難しくなったのは、東南アジア諸国の猛烈な「追い上げ」の影響が大きいという。中国製品と同一の品質の品を、より安く販売しているので、競争に勝つのは容易でない。  中国政府は増値税(売上税)の払い戻し率を引き上げるなどで、輸出業者の利益を増やそうとした。しかし、効果はなかった。税の優遇を知った国外の取引先が値引きを要求したからだ。中国企業が恩恵を得ることはなかったという。  中国の輸出企業が、苦しい価格競争に直面している原因のひとつに、中国国内における人件費の上昇がある。労働力への需要増加、最低賃金の引き上げ、少子化などで、中国における人件費は過去10年間あまりにわたって上昇し続けた。  人件費上昇が特に顕著なのが製造業だ。都市部における平均賃金(年)は2013年、平均で5万1474元(約97万2100円)だった(法人形態をとらない個人経営者による雇用を除く)。鉱業では6万139元(約115万9400円)で前年比5.6%増、製造業では4万6431元(約87万7100円)と額では鉱業労働者よりも多いが、前年比11.5%と「2けた成長」だった。  人件費の上昇で、生産方式が労働力集約型の「従来型商品」を扱う企業が、特に苦境に立たされたと考えられる。  記事は2013年における日本貿易振興協会(JETRO)の調べとして、上海市の一般労働者の月給(基本給)は495米ドル(約5万8400円)で、ジャカルタの労働者の2.05倍と紹介。マニラとでは1.88倍、バンコクとでは1.35倍、ハノイとでは3.19倍、プノンペンとでは4.9倍、ヤンゴンとでは6.97倍と紹介した。  中国は一時期、貿易総額が前年比で35%以上という、猛烈な急成長を示したことがある。中国政府・商務部の孫継文報道官は14日、「貿易分野で30年以上続いた高度成長時代は、ひとたび去りて、またもどらず」と述べた。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)
中国では、輸出用商品を扱う中小企業を中心に「不況感」が漂っているという。貿易額の伸び悩みだ。海関総署(中国税関)の発表によると、2014年通年の貿易総額は前年比2.3%増で、政府が年初に目標として掲げた7.5%には、遠く及ばなかった。中国メディア・人民日報系の人民網が報じた。(イメージ写真提供:123RF)
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2015-01-27 16:00