中国人と面子(メンツ)[家編] 中国人にとって家は人生の成果

 よく「中国人はメンツを重視する」と言われます。もちろん日本人も気にはしますが、中国人の場合は日本人よりもっと気にします。それがよく表れているのが「家」です。 「もしも私が家を建てたなら、小さな家を建てたでしょう……」  小坂明子の名曲「あなた」の出だしの部分です。日本人の場合、たとえ小さくても機能的で住みやすい家がいい、という価値観が少なからずあると思いますが、中国の場合そうではありません。  中国の家は日本と比べて面積も高さもとにかく大きい! 私が住んでいる福建の場合、一戸建ては少なくとも4階建て以上が標準です。面積も広く、友人宅の一階にある客間などは広すぎてバトミントンができるくらいです。もちろん国土が広大なことや価値観の違いもあるのですが、メンツを重んじる国民性が「人より大きく、人より高く」の家建てにつながるのです。 ■自分の家は少しでも高く見せたい  こんなエピソードがあります。私の友人の中国人の家は(私が思うに)4階建てなのですが、以前彼女が別の人と話している時に「私の家は5階建てだ」と言っていました。どうやら、最上階から屋根に上る部分へ出るために階段が数段あるのですが、その部分も含めているようなのです。  その時は「そんなものか」と思ったのですが、別の機会に彼女と歩いていてたまたま建築中の家を見かけたので、私が例の部分も含めて「この家は5階建てだね」と話しかけると彼女は「いや、あれは4階建てだよ」と言うではありませんか。 「でもほら、あそこの一番上4階より上にも少しあるよね。」と言うと彼女は、「あそこは普通数えないんだよ」と、平然と言うのです。その時「なるほど、自分の家は少しでも高く、人の家は少しでも低くしたいんだな。」と思ったものです。 ■機能性よりメンツ重視の結果……  また、先ほど述べたように大抵が4階建て以上の家ですが、いったい何家族住んでいるんだろう、と思いませんか?  実はその大きな家に1家族とか、老夫婦2人しか住んでいない、というケースがほとんどなんです。必要以上の部分まで建てているわけです。そのため豪華に見える家も実は3階から上は内装をまったく仕上げずコンクリート打ちっぱなしで置いてある家がほとんどです。つまり、「人より高く」というメンツのために家を建てる結果、こういうことが生じるわけです。実際、友人も「家の管理や清掃が面倒だ」と嘆いていました。  中国人にとって家とは、もちろん自分が住むためのものなのですが、半分は人にこれまでの自分の人生の成果を見せ、どれだけのことを成し遂げてきたかを強調するためのものだ、とも言えるのです。それで中国の人と接する時は、相手のメンツをつぶさず立ててあげるのがコツです。中国では、互いにそうすることで、人間関係を成立させているのです。(執筆者:高山 翔 提供:中国ビジネスヘッドライン)
よく「中国人はメンツを重視する」と言われます。もちろん日本人も気にはしますが、中国人の場合は日本人よりもっと気にします。それがよく表れているのが「家」です。
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2015-01-28 09:45