「日本と同じ轍を踏むな」と有識者・・・中国高速鉄道は拡大するほど赤字!?=中国メディア

 中国メディア・新華網は1月27日、中国の京滬(北京―上海)高速鉄道が開業からわずか3年あまりで黒字を出して「世界を驚かせた」と報じた。しかし、中国国内の専門家からは「中国高速鉄道は拡大すればするほど赤字が出る」との懸念も出ているようだ。  中国メディア・新京報は29日、上海金融・法律研究院の傅蔚岡院長の「中国高速鉄道は日本と同じ轍を踏むな」とする評論記事を掲載した。記事はまず、京滬高速鉄道の前に黒字を出していた高速鉄道として日本の東海道新幹線について紹介。1964年に開業した東海道新幹線も3年目で黒字転換したものの、日本の高速鉄道路線が増えるにつれて黒字を生み出す力が低下し、「大阪-博多間路線以降に作られたすべての路線が赤字になっている」とした。  新幹線が赤字になった理由として政治的な要素を挙げ、東海道新幹線が人口密集地、産業発展地域を結ぶ高速鉄道だったゆえに高い利用率を確保できた一方で、以降は政治家が選挙で当選するために“票集めの材料”として建設するようになり、人口が少なく利用率が低い路線が次々できたと解説した。  また、東海道新幹線着工時の1960年は自動車利用率がわずか5%で、77%が鉄道輸送を利用していたが、2007年には鉄道利用が29%まで下がったというデータを紹介。鉄道のシェアが大きく減ったことも赤字経営の一因とした。  そのうえで、中国高速鉄道が今後注意すべき問題点を指摘。14年末現在で時速200キロメートル以上の高速鉄道路線が約1万9000キロメートルあるのに対して、黒字を出しているのがわずか1318キロメートルに過ぎないこと、今後高速鉄道建設が人口の少ない辺鄙(へんぴ)な地域にまで広がっていくことを挙げ「こういった地域でどのように黒字を出すのか、正視しなければならない」とした。  また、高速鉄道と並んで急速に整備が進められている高速道路についても同じ現象が発生しているとし、全国の高速道路の赤字額が11年の323億元(約6091億円)から13年には661億元(1兆2464億円)と倍増したことを紹介した。そして、中央政府が経済未発展地域の発展を促すためとして高速鉄道を建設するうえで「厳格なコストや収益の分析を行う」など、日本の高速鉄道や中国の高速道路と同じ轍を踏まないよう深く考える必要があると指摘した。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真は「CNSPHOTO」提供)
中国メディア・新華網は1月27日、中国国内の専門家から「中国高速鉄道は拡大すればするほど赤字が出る」との懸念も出ていることを伝えた。(イメージ写真は「CNSPHOTO」提供)
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2015-01-30 11:30