ファンドオブザイヤー2014、アクティブ型で継続して好成績期待の41本を選定

モーニングスターは2015年1月30日、「Morningstar Award “Fund of the Year 2014”(ファンド オブ ザ イヤー 2014)」を発表した。国内の公募追加型株式投資信託約4700本の中から、独自の定量分析、定性分析に基づき、2014年の運用成績が総合的に優秀であると判断されたファンドを選定し、8部門で各最優秀ファンド1本と、それぞれの部門で優秀ファンド賞(33本)を表彰した。この賞は、1999年の発表から数えて今回が16回目になる。(写真は、最優秀ファンドを授賞した8ファンドの代表者と、モーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏<中央>)
今回は、2014年に国内外で良好なパフォーマンスとなり、資金流入も活況だったREIT型ファンドについて「国内REIT型部門」、「国際REIT型部門」を新設。また、NISA(少額投資非課税制度)開始やラップ口座の人気拡大で分散投資に対する投資家の意識が高まる中、投資比率を機動的に変更するバランスファンドを評価する「フレキシブル・アロケーション型部門」を新設している。
モーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏は、今回の選考を振り返り、「世界的な低金利、実質実効為替レートで42年ぶりの円安など、非常に難しい運用環境だからこそ、運用の優劣がはっきり出る。今回の受賞ファンドは、6回目の受賞となった『フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド』をはじめ、5回目、4回目など複数回数受賞しているファンドが目立つのが特徴。そこには、ファンドマネジャーの優れた運用力だけではなく、調査力、リスクコントロールなどバックアップ体制、また、経営トップの考え方も含めた運用会社の力量もあっての成績。ファンドイブザイヤーの受賞ファンドが、継続して優れた成績を残して投資家の期待に応えていることに価値がある」と語った。
■国内株式型はスパークス「厳選投資」、国際株式型は三井住友アセット「椰子の実」
国内株式型(対象ファンド数:782本)の最優秀ファンド賞は、スパークス・アセット・マネジメントの「スパークス・新・国際優良日本株ファンド<愛称:厳選投資>」。スパークス・アセット取締役の藤村忠弘氏は、「受賞ファンドは愛称のとおり、大型株に厳選投資するファンドで、13銘柄程度という限られた銘柄に集中投資している。これまでは、当社は中小型株の運用で賞をいただいていたが、今回、大型株に投資するファンドで最優秀をいただけた意義は大きい」と喜びを語った。
国際株式型(同:1034本)の最優秀ファンド賞は、三井住友アセットマネジメントの「三井住友・アジア・オセアニア好配当株式オープン<愛称:椰子の実>」。三井住友アセット常務執行役員の今井真吾氏は、「2010年に優秀ファンド賞、2回目の受賞で最優秀賞をいただいた。ファンドはアジア・オセアニアの好配当株式に投資しているが、企業への直接訪問にこだわって運用している。これからも有望銘柄を発掘して、好パフォーマンスを提供していきたい」と語っていた。
■債券型は日興アセット「月桂樹」、高利回り債型は野村アセット「野村インド債券ファンド」
債券型(同:892本)の最優秀ファンド賞は、日興アセットマネジメントの「高金利先進国債券オープン(毎月分配型)<愛称:月桂樹>」。日興アセットの常務執行役員兼CIO-ジャパンの辻村裕樹氏は、「関係各位のご協力を得て、2003年8月の設定から11年半で運用資産4500億円のファンドに育てていただいた。10年以上の運用期間で1000億円以上の残高があるのは国内ファンドで1%程度しかない。分かりやすい内容で、パフォーマンスが良いということで多くの販社で取り扱っていただいている。今後も皆さまのご期待に応えていきたい」と喜びを語っていた。
高利回り債券型(同:661本)の最優秀ファンド賞は、野村アセットマネジメントの「野村インド債券ファンド(毎月分配型)」。野村アセットCIO(最高運用責任者)の河岸正浩氏は、「受賞ファンドは、インドルピー建ての公社債に投資するファンドと、インド企業が米ドル建てで発行する債券に投資するファンドに投資するFOF(ファンドオブファンズ)。2011年11月にスタートするまではルピー建て債券投資はライセンス取得から苦労したが、昨年5月に誕生したモディ内閣のもと経済成長への期待が高まり、インドの投資環境が好転。2億円で設定したファンドが現在では265億円規模に成長した。運用は、東京とシンガポールの拠点が共同で行っているが、この運用体制も評価していただいた。引き続き、パフォーマンスとクオリティの向上に努めたい」と語っていた。
■国内REIT型は三菱UFJ「三菱UFJ Jリート」、国際REIT型はフィデリティ「フィデリティ・USリート」
国内REIT型(同:93本)の最優秀ファンド賞は、三菱UFJ投信の「三菱UFJ Jリートオープン(3カ月決算型)」。三菱UFJ投信執行役員の島村均氏は、「受賞ファンドは2004年の設定だが、国内のREIT市場は、経営破たん、官民による市場救済、東日本大震災、そして、最近の日銀による買い入れと、様々な局面を経験してきている。また、J-REITは50銘柄前後だが、個々の銘柄の値動きやバリュエーションに特徴があり、注意深く運用しないと数10%もパフォーマンスに差が出る場合がある。REIT各社との1対1の対話を基本に、“負けを少なくする運用”で、安定運用の期待に応えていきたい」とファンドを紹介した。
国際REIT型(同:215本)の最優秀ファンド賞は、フィデリティ投信の「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」。フィデリティ投信の取締役兼代表執行役社長のJudy Marlinski(ジュディー マリンスキー)氏は、最優秀ファンド賞の受賞を喜び、「引き続き、長期に安定した高いリターンが提供し続けられるよう運用に努め、皆さまのご期待に応えていきたい」と語っていた。
■バランス型は大和住銀「タフ・アメリカ」、フレキシブル型は新光投信「グローバル・アロケーション」
バランス型(同:581本)の最優秀ファンド賞は、大和住銀投信投資顧問の「タフ・アメリカ(為替ヘッジなし 毎月決算型)」。大和住銀投信投資顧問副社長の河合俊明氏は、運用の再委託先であるニューバーガー・バーマン代表取締役社長の大平亮氏とともに檀上にあがって喜びを分かち合った。「受賞ファンドは、アメリカを丸ごと買うことをコンセプトにしている。アメリカ経済はリーマンショックからも力強く復活したように、文字通り“タフ”。投資家の皆さまにコア商品として投資していただけるよう、ニューバーガー・バーマン社とダッグで、全力で運用にあたりたい」と語った。
フレキシブル・アロケーション型(同:98本)の最優秀ファンド賞は、新光投信の「グローバル・アロケーション・オープンBコース(年4回決算・為替ヘッジなし)」。新光投信商品本部副本部長、商品企画部部長の酒井隆氏は、「受賞ファンドはブラックロック社のファンドに投資し、世界の株式や債券への投資比率を、市場の環境変化に対応して柔軟に見直すという運用をしている。ブラックロック社の同種のファンドは残高が10兆円もあるほどの巨大なファンドになっている。当ファンドも、運用実績を積み重ね、投資家の方々のコア商品となれるよう努力していきたい」と語っていた。
■優秀ファンド賞は全33本
国内株式型の優秀ファンド賞は4本で、アバディーン投信投資顧問の「アバディーン日本小型株ファンド」、野村アセットマネジメントの「ストラテジック・バリュー・オープン<愛称:真価論>」、大和証券投資信託委託の「ダイワ好配当日本株投信(季節点描)」、三菱UFJ投信の「優良日本株ファンド<愛称:ちから株>」。
国際株式型の優秀ファンド賞は5本で、国際投信投資顧問の「グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド<愛称:健次>」、岡三アセットマネジメントの「アジア・オセアニア好配当成長株オープン(毎月分配型)」、アムンディ・ジャパンの「日興レジェンド・イーグル・ファンド(資産成長コース)」、JPモルガン・アセット・マネジメントの「JPMアジア・オセアニア高配当株式ファンド<愛称:アジアの風>」、三菱UFJ投信の「次世代米国代表株ファンド<愛称:メジャー・リーダー>」。
債券型の優秀ファンド賞は7本で、インベスコ・アセット・マネジメントの「インベスコ オーストラリア債券ファンド(毎月決算型)」、大和住銀投信投資顧問の「短期豪ドル債オープン(毎月分配型)」、明治安田アセットマネジメントの「パン・パシフィック外国債券オープン」、ブラックロック・ジャパンの「ブラックロック・ワールド・インカム・ストラテジー<愛称:BR Win>」、ドイチェ・アセット・マネジメントの「DWS グローバル公益債券ファンド(毎月分配型)Bコース(為替ヘッジなし)」、東京海上アセットマネジメントの「東京海上・円建て投資適格債券ファンド(毎月決算型)<愛称:円債くん>」、ニッセイ アセットマネジメントの「ピムコ世界債券戦略ファンド(毎月決算型)Bコース(為替ヘッジなし)」。
高利回り債券型の優秀ファンド賞は5本で、フィデリティ投信の「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」、国際投信投資顧問の「エマージング・ソブリン・オープン(毎月決算型)」、DIAMアセットマネジメントの「DIAM新興資源国債券ファンド<愛称:ラッキークローバー>」、ドイチェ・アセット・マネジメントの「DWSユーロ・ハイ・イールド債券ファンド(毎月分配型)Aコース(円ヘッジあり)」、イーストスプリング・インベストメンツの「イーストスプリング・インドネシア債券オープン(毎月決算型)」。
国内REIT型の優秀ファンド賞は2本で、三井住友トラスト・アセットマネジメントの「J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)」、新光投信の「りそなJリート・アクティブ・オープン<愛称:日本のツボ>」。
国際REIT型の優秀ファンド賞は3本で、日興アセットマネジメントの「ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)」、大和証券投資信託委託の「ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコース(為替ヘッジなし)」、三井住友アセットマネジメントの「アジア好利回りリート・ファンド」。
バランス型の優秀ファンド賞は2本で、フィデリティ投信の「フィデリティ・世界インカム株式・ファンド(資産成長型)」、三井住友トラスト・アセットマネジメントの「コア投資戦略ファンド(成長型)<愛称:コアラップ(成長型)>」。
フレキシブル・アロケーション型の優秀ファンド賞は5本で、国際投信投資顧問の「トレンド・アロケーション・オープン」、DIAMアセットマネジメントの「クルーズコントロール」、シュローダー・インベストメント・マネジメントの「シュローダー・インカムアセット・アロケーション(毎月決算型)Aコース(為替ヘッジなし)<愛称:グランツール>」、キャピタル・インターナショナルの「キャピタル・エマージング・ストラテジー・ファンドDコース(毎月分配/為替ヘッジなし)」、みずほ投信投資顧問の「インカムビルダー(毎月決算型)為替ヘッジなし」。(編集担当:徳永浩)
モーニングスターは2015年1月30日、「ファンド オブ ザ イヤー 2014」を発表した。(写真は、最優秀ファンドを授賞した8ファンドの代表者と、モーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏<中央>)
economic,company
2015-01-30 20:30