これぞ日本企業の精神!  「すべては技術と理念の刷新にかかっている」と有識者=中国メディア

 中国人経済評論家の呉暁波氏はこのほど、日本のタオル・メーカー「ホットマン」とその製品を絶賛する文章を発表した。人件費の安い国に生産拠点を移すという風潮に追随せず、ひたすら高級品質を追及したと指摘。顧客から「20年使っても新品同様」との声が寄せられているとして、「世に斜陽産業というものは存在しない。あるのは斜陽の企業と斜陽の人だけだ」との主張を改めて繰り返した。  呉氏はまず、しばらく前に発表した、日本製の炊飯器や洗浄機能付き便座を論評した文章に対して、大きな反響があったと紹介。多くの読者が、物づくりに対する日本人の「純朴な哲学」を詳しく論じたり、敬服したりしたという。呉氏はその上で改めて、「ならば世界には、20年以上使っても型がくずれず、柔軟性や弾力性も新品同様のタオルがあるのです。あなたは信じられますか」と、改めて読者に問いかけた。  呉氏が紹介したのは、東京都青梅市に本社を置く「ホットマン」という企業だ。まず、同社の創業は140年以上前で、当初から繊維製品を扱ってきたと紹介。さらに、日本では1970年代になっても、タオル業界は(技術面などで)それほど発展していなかったが、同社は欧米と同様な高級タオルを生産することを目標にしたと紹介した。  呉氏は日本で名声を勝ち得た企業の典型的なパターンのひとつとして、歴史はあるが、過去の一時期に品質面で世界に遅れを取っていることを痛感し、追いつき・追い越すことを目標に、長年にわたり努力を続けたホットマンに注目した。  さらに、日本における経済環境について「人件費が極めて高いことは、皆が知っていることだ。だから、多くのアパレル・メーカーは工場を人件費が安い国に移した」と紹介。ホットマンの違ったところは、安直に価格競争に乗り出すのではなく、「一貫して、高品質の製品を追及した。原材料にも徹底的にこだわった」、「“メイド・イン・東京”を貫いた」、「実験と検証、改善を繰り返した。素晴らしいデザインに加え、吸水性の優秀さ、耐用性や柔らかさを兼ね備えたタオルを生み出した」と論じた。  呉氏は、ホットマンのタオルが利用者から強い支持を得ていると強調。多くの顧客が、「子どもの時から20年も使っている自分のタオルが、柔軟剤も使っていないのに、何度洗ってもごわごわになったりしない」と表明していると紹介。さらに、同社のホームページには「赤ちゃんの時から使っていたタオルを思い出の品として、お嫁入りの時に持って行きましょう」といった文言があったと、驚きを込めて伝えた(編者注:サイト更新のため、現在はない)。  呉氏は、ホットマンの過去を振り返り、現状を紹介した上で、「これぞ、日本の製造業者の地に足がついた精神!」と絶賛。前回の文章で称賛した洗浄機能付き便座もタオルも含め、「いずれも、いわゆる伝統産業だ。しかし『夕暮れ時』や『利を得ることができない』状態にはなっていない。技術と理念により刷新していくことに、すべてはかかっている」と評価した。  呉氏は文章の結びの部分で、持論である「世に斜陽産業というものは存在しない。あるのは斜陽の企業と斜陽の人だけだ」との主張を改めて書き添えた。(編集担当:如月隼人)(写真はホットマンのウェブサイトの画面キャプチャ)
中国人経済評論家の呉暁波氏はこのほど、日本のタオル・メーカー「ホットマン」を紹介する文章を発表した。(写真はホットマンのウェブサイトの画面キャプチャ)
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2015-02-02 14:45