中国の家事情 家探しから引越し、大家さんとの関係まで(後編)

家は不安だらけの海外で拠点となり安息できる城です。先回家探しから引越しまで紹介しましたが、今日はさらに中国の家事情について気をつけるべき点を見てみましょう。
■暮らしを見つめる”大家さん”
もし大家さんが近くに住んでいる場合、しばらくは大家さんが何かと理由をつけて様子を見に来ます。
実際その口実づくりのために「3房1庁」の一部屋を倉庫にして、家具や自分の物を置いておき、残り部分を貸し出して「倉庫の物を取りに来た」とか言って見に来る大家さんも結構います。半分は好奇心、半分は自分の家を汚く住むのではないか、という不安からなので、ここは快く歓迎して逆に仲良くなって下さい。
一般的に日本人が普通に住んでいれば、大抵はすぐに満足してくれます。良い関係ができ、「この人なら安心だ」となってくると、もう来なくなりますのであまり心配する必要はありません。
ただ、私の以前の大家さんは突然荷物を取りに来たかと思うと布団を干しだし、「仕事が遅くなって家に帰りたくない時はこの部屋(倉庫に使っている部屋)に泊まるから」とか、「正月に親戚が帰ってくるからその時ここに泊まらせて」などと言い出したこともありました。
このあたり、プライベートの境界が日本と比べて低い中国人にとっては当たり前のことなのですが、日本人にとってはちょっとびっくりしますよね。まあこれは習慣の違いですから、受け入れられないところはその旨きちんと伝えましょう。大家さんも理解してくれますよ。
■適当に(しかも大目に)請求される電気・水道代
契約が済んだからと言ってホッとしてはいけません。次は電気・水の料金です。
中国の家の公共料金は一般的に大家さんに支払いますから、どのように計算しているのか、メーターはきちんと単独になっているか、不審な動きはしないか、などきちんと確認しましょう。
このあたり、きちんとしているのが当たり前の日本人には考えられないことですが、中国では「きちんとしていないのが当たり前」なのです(特に田舎では)。
私のいる福建・福州市のど田舎などは、一戸建て(5階建て)の1、2階部分に自分が住んで、3-5階部分を貸し出す大家さんも多く、このようなケースでは家にメーターが1つしかついていないため誰がいくら使ったのか正確な額がわからず、大家さんが適当に(しかも大目に)請求してくるケースが多々あります。メーターを設置すればよさそうなものですが、面倒くさがってしてくれません。
ではメーターがついていれば安心かと言うと、実はそこにも落とし穴があります。こういうこともありました。以前わたしが住んでいた家は独立したメーターがついてはいたのですが、自分が使ってもいない時に水のメーターが動くのです。調べてみると、どうやら住居として貸し出している家の下にある倉庫スペースの分と一緒になっているらしいのです。もちろん下にもメーターはついているのですが、工事が雑だったのかあるいはわざとそうしているのか、とにかく二重に請求できる仕組みになっていました。最初の時点でしっかり確認しましょう。
■責任の所在が実に曖昧な修理
まだ貸し手と借り手の権利・義務が確立されていない中国(あくまで私が住んでいる福建)では、もし家の設備や配管など、修理が必要になった時が少し厄介です。責任の所在が実に曖昧なのです。
例えば、家の様子を見に来たり、家の使い方や掃除の仕方など気に入らないことがある時などは「私は大家で、ここは私の家だ」と権利を主張しますし、修理が必要になったりなど自分に不利な状況になると「ここはあなたが借りているでしょ」と義務を放棄するのです。このあたり、どちらが担当するかについてはできれば契約する時にはっきりさせておくことをお勧めします。
まあ次から次へ、とにかくいろいろ起こる中国ですが、それも含めてぜひ楽しんでいただきたいなと思います。中国でも家賃の上昇が激しい昨今ですが、現地で安心できる自分の城を確保できるといいですね。皆さんのお役に立てば幸いです。(執筆者:高山 翔 提供:中国ビジネスヘッドライン)
家は不安だらけの海外で拠点となり安息できる城です。先回家探しから引越しまで紹介しましたが、今日はさらに中国の家事情について気をつけるべき点を見てみましょう。
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2015-02-03 13:00