「メイド・イン・ベトナム」は、中国の「茶碗」を奪いとるのか?=中国メディア

 中国メディアの長江商報は9日、「“メイド・イン・ベトナム”は、中国のメシの碗を奪いとるのか?」と題する記事を発表した。「ベトナムの経済改革はあなどれない」として、同国に外国の製造業企業が殺到するようになったと指摘した。  記事はベトナム当局が経済改革を懸命に進める理由として、外交官としてベトナム勤務が長く、2000-06年には駐ベトナム大使も務めた中国国際問題研究基金アジア太平洋センターの斉建国執行主任の見方を紹介。  斉執行主任は、ベトナムは人口が増加しつつあり、外資を誘致して就業機会を増加させる必要があると説明。失業率が下がらねば、社会不安が増大し当局への批判が高まるなどの問題が「先鋭化」するからという。  斉執行主任によると、中国では給与引き上げなどの結果、企業にとってはコスト高になった。製造業分野では、中国におけるコストはベトナムよりも35%ほども高くなった。そのため、外資の投資先がベトナムなどに向かうのは「中国が経済の構造改革を実施するにあたって直面する、必然の結果」という。  2014年にベトナム当局が認めた新規投資および追加投資額は前年比19%増の202億3000万ドル(約2兆4000億円)だった。特に製造業分野における外資による投資は、投資総額の71.6%を占める144億9000万ドル(約1兆7000億円)だった。  ただし、広西チワン族自治区社会科学院東南アジア問題研究所の孫小迎研究員は、ベトナムに膨大な製造業企業が向かうことについては疑問を示した。人口が8700万人と少ないことと、工業用地に限りがあること、さらに投資環境もまだ整っていないことが理由という。  孫研究員は、製造業分野ではベトナムよりむしろ、インドが中国のライバルになる可能性が高いとの考えを示した。  ただし孫研究員は「ローエンドの加工製造業が外部に移転していくのは、悪いことではありません」と説明し、「技術こそが工業発展の根源」と強調した。  孫研究員によると、自らが工場労働者の出身であるだけに、製造業を発展するための技術の役割を「深く体験している」という。孫研究員は、「工場で、流れ作業のラインに立って、単純労働を繰り返す若い従業員の姿を見ると、いつも心が痛む」と説明。  その一方で、中国で職業教育が普及しつつあることを高く評価。「将来は、技術訓練が、さらにしやすくなるでしょう」と指摘した。中国では、技術力向上の必要性を叫ぶ声が高いが、孫研究員は業界や企業の技術力向上と、労働者の質の向上が切り離せない関係にあることを、改めて指摘したことになる。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C) Thi Hong Hanh Mac/123RF.COM)
中国メディアの長江商報は9日、「“メイド・イン・ベトナム”は、中国のメシの碗を奪いとるのか?」と題する記事を発表した。(イメージ写真提供:(C) Thi Hong Hanh Mac/123RF.COM)
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2015-02-09 16:15